サッカーしょうぎ
2014年の大晦日に、お年越の買い物に行ったときにサッカーしょうぎというボードゲームに目がとまりました。パッケージを見て、買おうか買うまいか迷ったのですが、買わずに帰りました。帰宅してネットで検索してみると、YouTubeにサッカーしょうぎ〜ルール編〜、サッカーしょうぎ〜勝つためのコツ編〜、サッカーしょうぎ〜親子対決編〜といった動画があって、それを見ていたら欲しくなって、大晦日の夕方にもう一度お店まで行って買ってきました。
上記の公式動画以外はこのゲームについて詳しく書かれているページがあまり見つけられなかったので、ルールの説明を書いておこうと思います。
図 1 【作】水沢 三太&二三八
【人数】2人
【用具】
選手ゴマ 6個×2色(以下の説明図では青と赤の五角形で表します) ボールゴマ 1個(以下の説明では黄色い○で表します) ゲーム盤 5×8マス(図1) 選手ゴマとボールゴマはそれぞれのマスに入ります。プレイを記録するため図1のようにタテヨコにアルファベットと数字を振りました。(オリジナルのボードゲームにはこの表記はありません。)B0,C0,D0の3マスが赤のゴール、B9,C9,D9の3マスが青のゴールです。B1,C1,D1が赤のキーパーエリア、B8,C8,D8が青のキーパーエリアです。ゴールにボールを入れれば1点になります。
図 2 【準備】
図2のようにコマを配置します(青が先手の場合)。C5の選手がボールを持っています。ボールが選手と重なっている場合、選手がボールを持っていることになります。【ゲームの目的】
ボールをゴールにシュートして入ったら1点です。点が入ったら、取られた側が先手になって初期状態に戻してゲームを再開します。先に2点取ったら勝ちです。【ゲームの進め方】
先手と後手が交互に2手ずつ動かします。1手でできることは、選手ゴマを動かす ボールを持った選手ゴマを動かす(ドリブル) ボールを動かす(パス) 選手ゴマを動かしてボールを奪う です。ルール上許されている連続移動(ジャンプ)の途中でボールを奪った場合も、連続移動が終わるまでで1手とみなします(後述)。
一回の手番は「なるべく30秒以内に」というルールがあります。つい長考してしまいがちなので、これは大事だと思います。
「しょうぎ」という名前が付いているゲームですが、相手のコマを「取る」(捕獲する、キャプチャする)ことはできません。盤面上の選手ゴマの数は増えたり減ったりしません。ただし相手にボールを奪われた選手ゴマは、裏返されて「1回休み」になります。
【詳細ルール】
【1】選手ゴマの動かし方
1-1.基本の動き
タテヨコななめの空きマスに移動できます。将棋の王将やチェスのキングと同じです。移動先にボールがあれば、ボールと選手ゴマを重ねます。(ボールを取ったことになります。)1-2.ジャンプ
味方や敵のコマ1つを飛び越えることができます。着地点が空いているときに限ります。着地点にボールだけがあるときにはそのマスでボールを取ることになります。1-3.連続ジャンプ
ジャンプした後に続けてジャンプできる場合は、連続ジャンプすることができます。ただし連続ジャンプは、最初のジャンプがタテヨコならばタテヨコのみ(将棋の飛車の動く方向)、最初のジャンプがナナメならナナメのみ(将棋の角が動く方向)、連続ジャンプできます。連続ジャンプは好きなところでやめてかまいません。1-4.キーパーエリア
自陣のゴールの前の3マスがキーパーエリアです。キーパーエリアには選手ゴマを1つだけ置くことができます。キーパーはキーパーエリアの外に出て行ってもかまいません。キーパーエリアが無人になってもOKです。
キーパー選手ゴマは入れ替わっても構いません。
キーパー以外の選手ゴマは、1手目にキーパーエリアに入ることはできますが、2手目で外に出なければなりません。自分の手番が終わった時にキーパーエリアに選手ゴマが2つあってはいけません。
キーパーは、キーパーエリア内で1手目でボールを持つことはできますが、2手目にキーパーエリア内でボールを持ったまま手番を終了してはいけません。ボールを持ったままキーパーエリアから出るか、ボールを蹴ってキーパーエリアからボールを出さなければなりません。
敵のキーパーエリアに1手目で侵入したら、2手目ではキーパーエリアから出なければなりません。ただし、ボールを持ったまま1手目にキーパーエリアに侵入し、2手目でシュートするのはOKです。ボールを持ったまま2手目に敵のキーパーエリアに侵入して手番を終了するのは禁止です。1-5.ゴール
キーパーエリアの後ろの3マスがゴールです。ここには選手ゴマは入れません。ボールを持った選手ゴマが、キーパーをジャンプしてボールごとゴールに飛び込むことはできません。【2】ボールを蹴る(動かす)
シュートできる シュートできない 2-1.ボールは8方向に蹴ることができる
ボールを持っている選手ゴマは、ボールをタテヨコ斜めの8方向に蹴ることができます。ボールは味方や相手の選手ゴマを飛び越えることはできません。味方の選手ゴマにパスすることもできます。相手の選手ゴマに渡すことはできません。相手のゴールにボールを入れればシュート成功で1点獲得します。2-2.シュートの例外
ゲーム版の4隅のマス、例えばA1からはB0のゴールにボールを蹴ることができます。ただし、B1に相手の選手ゴマがいる場合はA1からB0にシュートすることはできません。【3】ボールを奪う
3-1.フリーボール
選手が持っていないボール(フリーボール)は、ボールがあるマスに選手ゴマが入るとボールを取ることができます。
3-2.ボールを持った敵選手ゴマを飛び越すとボールを奪える
ボールを持った敵選手を飛び越すことでボールを奪えます。奪われた選手ゴマは裏返して、1回休みになります(次の自分の手番の最初に表に戻します)。連続ジャンプの途中でボールを奪った場合、そのまま連続ジャンプを続けることができます。3-3.ボールを持った敵選手ゴマをはさむとボールを奪える
ボールを持った敵選手を味方の選手ゴマ2つでタテヨコにはさむとボールを奪えます。ナナメにはさんでもダメです。ゲーム盤の4隅は特別で、ここだけはエンドラインと味方のコマではさむことができます。3-4.複数の敵選手ゴマをいっしょにはさむ
ボールを持った敵選手と、それ以外の敵選手がタテヨコに並んでいる場合、いっしょにはさむことでボールを奪えます。挟まれた選手は全員1回休みになります。3-5.自分からはさまれる場所に入って手番が終了すると、ボールは奪われる
ボールを持った選手が敵にはさまれる場所に移動する場合、1手目ならばボールは奪われません。連続ジャンプの途中ではさまれても奪われません。2手目が終了したときにはさまれる位置にいたら、その時点ではさまれたコマは裏返って1回休みになります。はさんだコマのどちらにボールが渡るかは、ボールを奪う側が決められます。
【実戦例その1:1点目】
高校生の息子に対戦相手になってくれと頼んで、一緒にルールを確認して、2〜3回シュートが決まるくらいまでテストプレイをしてみた後、「じゃあちゃんとやってみようか」と言って、プレイの記録を取りながら(記譜)初めて対戦してみたプレイ記録を紹介します。
記譜の表記はその場で思いつきで決めましたので、それも合わせて説明します。基本的にはA1,B2のようにマスの位置をアルファベット(A〜E)と数字の2文字で表します。移動はA7-A6のように、移動前の位置と移動後の位置を書くことで、どこからどこに動いたかを書くことにしました。
先手、後手それぞれ1回の手番に2手ずつ動かします。これを1ターンと呼ぶことにします。
第1ターン
先手がA7→A6、A6→A5と左ライン沿いに選手を上げました。記譜で、移動前(A7)と移動後(A6)の間に書いたハイフンの記号は、ジャンプではない普通の移動を表します。後手は中央の選手をセンターサークルまで進めました。注)実は後手は、1手目C2-C3の後、A2・C2・C4・C6!・C4・C2・A2 と連続ジャンプでボールを奪うことができます。なので先手は最初にボールを持っている選手をそのままセンターサークルに残すのは危険です。
第2ターン
先手、プレッシャーをかけられたのでボールをパスしました。b(C5-A5)の表記ですが、先頭のbがボールを表します。ボールがC5からA5に動きました。C5のアンダーラインはその位置の選手がボールを持っていることを表します。ボールの行先のA5にもアンダーラインがあるのは、味方にパスしたという意味になります。
先手の2手目、C5・C3とジャンプしました。ジャンプは中点・で表記します。タテヨコのジャンプなのか、ナナメのジャンプなのか、座標を見ればわかるので、記号では区別しないことにします。後手は先手の次のパスb(A5-C3)を警戒してB列の選手を割り込ませました。
ボールの持っているという表記は情報としては冗長で、無くてもプレイは再現できます。でも、ボールを持っている表記があると、記譜をざっと見たときにボールの支配状況がわかって楽しいですし、記譜を追うときのミスも防げます。アンダーライン表記は、手書きで記譜を書くときには楽ですが、テキストエディタで書くのには向いていません。アンダーラインのかわりにカギカッコでくくるようにしてもいいかもしれません。
第3ターン
先手、このままだとB4-A4、A4・A6! とボールを奪われてしまいそうです。なのでb(A5-E5)fと、E5にボールを蹴ってフリーボールにしました。表記でカッコの右側にfと書いているのは、ボールがフリーになったよということを強調するためです。(E5にアンダーラインがないのでそれでもフリーボールになったことはわかるのですが。) 続いてE7-E6 とフリーボールを取りに行きます。後手がボールを拾いに行ったら、すぐに奪える位置をキープしました。後手は第4行の2選手が1つずつ動きました。
実は後手のこの回のプレイは問題が2つあります。1つ目は、B2・D2とジャンプすれば、1手でこの盤面の状況にすることができますので、1手損しています。2つ目の問題はB列ががら空きになってしまいました。青のB7にボールが渡ったら、タテにまっすぐロングシュートされてしまいます。
第4ターン
先手、フリーボールを拾って(E6-E5)、再び左サイドにボールを戻します。後手はパスを警戒し、パスコースをふさぐように2選手を動かしました。
このままだと後手はE2・C2・C4・A4・A6! というジャンプ攻撃で1手目でボールを奪って大変有利な状況が作れます。
第5ターン
先手、ゴール前まで選手を進め(C3-B2)、またボールを奪われないようにサポートに入ります(B7-A6)。狙いは次の1手目でA5・C3・A1またはE1とコーナーに飛び込んで、そこから2手目のシュートです。後手はジャンプ攻撃を防ぐべく、E2-D3-C3と動いて守りました。
しかし、赤はB4、C3、D2とナナメに1列になっています。タテヨコの連続ジャンプには絶好のフォーメーションになっています。
第6ターン
先手、ボールをキープした選手が1歩前に出て、連続ジャンプで一気に踏み込みます。先手、チャンスです。後手、コーナーからのシュートを防ぐためにキーパーが寄り、さらにE2・C2からのシュートを防ぐため、C2に守りに入ります。
第7ターン(先手)
先手、いったんバックパスでボールを逆サイド(左)に戻し、攻めを立て直そうとしました。終了図(左図)で、次にA5・C3・A1またはE1に飛び込む作戦です。しかし、後手がそれを黙って許すはずがありません。
第7ターン(後手)
後手、1手目でライン際に寄って(B4-A4)、2手目にジャンプしてあっさりボールを奪いました。 A4・A6!で、ジャンプの後でアンダーラインになっているのでボールを奪ったことがわかるのですが、強調するために!マークを付けています。奪われた選手は1回休みになります。図ではXで表しています。
先手は前線に選手を送っていてディフェンスが弱いので絶体絶命です。先手、調子に乗って不用意に動きました。痛恨のミスです。
第8ターン
先手、かたちだけでもディフェンスを、ということで2選手を左に寄せますが、その間をすり抜けてナナメのシュートが美しく決まりました。
【実戦例その2:2点目】
先手は1点取られてしまいましたが、気を取り直して試合再開です。相変わらず序盤が隙だらけのプレイですが、第5ターン終了時にこんな状況になりました。
これはチャンスです。以下、こんな風にプレイが進みました。
第6ターン:先手1手目
ボールをC4に蹴り出します。第6ターン:先手2手目
A6の選手が連続ジャンプでボールを拾って攻撃位置に飛び込みました。実は、第6ターンの1手目でb(E6-A6)とパスしてからジャンプしても同じです。
第6ターン:後手
このままだとシュートされてしまうので、守りますが…第7ターン:先手1手目
ジャンプで逆サイドに行って、第7ターン:先手2手目
シュートです!第7ターン:先手終了時
こんな記譜になりました。第7ターンの先手、素直にA2-B2に寄って、b(B2-D0)goal、とシュートすることもできます。派手に逆サイドからシュートしたかったのでこんなプレイになりました。
【実戦例その3:3点目】
ここまでのプレイで得点がが1対1になりました。次に点を入れたほうが勝ちです。3点目は記譜を全部載せます。図は第4ターンが終了したところです。次の第5ターン、先手はどうプレイすべきでしょうか?
第3ターンの先手、派手にジャンプしてボールを奪ったのですが、その後どう攻めたらよいのかわからず、敵のコーナーにボールを蹴り込んでみました。(このゲーム、ボールを持っているのもプレッシャーがかかるのです。)後手はボールを拾いに行きます。
第4ターン、先手は連続ジャンプで選手を前線に送り、一方でE列最後尾に選手を戻します。後手はライン際を慎重にドリブルして上がってきました(図)。
第5ターン、先ほど前線に送り込んだ選手が1手目でジャンプし、2手目のジャンプでボールを奪います。次にD2に動いてタテやナナメのシュート、E2に動いてナナメのシュート、とチャンスがあります。キーパーエリアに2選手を入れられればすべて防げるのですが、ルール上キーパーエリアには手番終了時には1選手しか置けません。「ゲームセット」です。
いかがでしょうか。初めてのプレイなので、「ヘボしょうぎ」ですが、面白さの雰囲気が伝わったらいいなと思います。楽しいです。例えば選手ゴマとして将棋の駒を流用し、ボールゴマにはおはじき等のマーカーを使い、ゲーム盤は方眼紙か何かで自作すれば、テストプレイをしてみることもできると思います。この場合、選手ゴマは片方のチームは「歩」を、もう片方のチームは例えば「金」と「銀」を使う、という風にすれば、区別もつきやすいと思います。
このゲーム、じっくり研究すると膠着してしまって面白くなくなる気がします。あくまでも30秒ルールを守って、スピーディーにプレイすべきなんだろうなと思います。