markaudio社ユニット使用
Alpair10Bass+Alpai5Fullrange-2Wayスピーカーシステム






13cm2Wayスピーカーシステムの正面
ピアノ鏡面塗装により鏡の様に周囲が写り込んでいます



ラウンド構造の特徴的なデザイン




独立型バナナ対応端子とバイワイヤリング対応方式の端子



右側SPの背面は完全に鏡になっています



不要共振対策の補強板が見えます
構造的な補強では無く音質チューニングの為の構造です



中央の白い部分を境に両側に見える黒い部分はバーチ合板の
長所を生かし欠点を補う為にこの機種に初採用した振動吸収素材です




ウーファーの背厚を避ける為のツイーター用バックキャビティー



組立時の様子です
100%バーチ合板使用の構造が理解できます
側板曲面もウッドウイルオリジナルのバーチ合板製です




内蔵のネットワークです。
設計から試聴チューニングを繰り返して10ヶ月を要して完成させました



この規模のシステムとしては異例の高品質のパーツを厳選して採用しました
性能を推し量るのは必ずしも大きさでは有りませんが、
コイルやコンデンサーの大きさで分かる方には分かる筈です




 概 要
 
 このシステムに採用したAlpair10Bass(ウーファー)とAlpair5Gray−Fullrange(ツイーター)は香港のmarkaudio社の製品です。
 日本国内の担当者は等工房の作品を試聴されてその高品質を認めて下さりました。同時に同社のユニットも試聴する機会に恵まれて
 その高品質に驚き、markaudio社のユニットとウッドウイルのエンクロージャーを使ってシステムを組んでみようと言う事で
 この作品の制作に取りかかりました。

 markaudio社について簡単な説明です。
 Mark Fenron 51才 英国人です。旧EHJordanで働いていた設計者の1人です。 主に小型フルレンジを担当していました。
 EHJordan EADと言うスウェーデンの会社への買収を契機に独立。 MarkaudioとしてAlpair5を発売、現在に至っています。
 現在は香港をベースにMark Fenron Trading のオーナーとして、音質にこだわった Alpair シリーズをメインプロダクトに設計、製造をしております。
 お父さんはJaguar v12エンジンの設計者であり、エンジニアのDNAを強く引き継いでいる印象です。
 と言う事でユニットの外観から何かを想像された方もいらっしゃるのでは。

 
 既にAlpair5Gray−Fullrange(ツイーター)は”ModelAoki”に採用して素性は理解していました。
 良いタイミングにウッドウイルではバーチ合板を100%使用した”標準ラウンドエンクロージャー”を開発発表していましたので
 このエンクロージャーを採用する事にしました。同社のユニットのパフォーマンスを生かし切るには最適なエンクロージャーと考えます。

 エンクロージャーの設計に関しては標準型が有りますので後は内容積とバスレフチューニングと全体の音質チューニングだけで済みます。
 同社のユニットは比較的小型のフルレンジの品揃えが多いのですがAlpair10Bassというウーファーが有りますのでこのユニットを使った2Wayとする
 目標設定を行いました。フルレンジのシステムではウッドウイルの技量を充分に発揮出来ないか!との懸念もありました。

 Alpairシリーズは外観から分かる様に特殊な何層にも渡る金属振動板を採用しており、それが音質を決める最大のポイントとなっていると
 想像します。その他ユニットを構成するフレームやその他の各パーツを高度な次元で吟味採用している事により、
 個性的では有りますが非常に解像度の高い音楽再生を実現してくれます。
 従来の同等品クラスでは聞こえなかった(理解できなかった)演奏者の演奏技法や音楽表現が分かるのがその証と言えると思います。

 ウッドウイルの顧客は圧倒的にクラッシックファンが多く、つまり各種のアコースティク楽器や声楽を高度で癖の無い音質で
 再現できなければなりません。弦楽や木管、金管にパーカッション、ピアノに声楽のソプラノからバス迄各種有る訳です。
 金属振動板独特の華やかさや冷たさが前に出てはなりません。解像度を生かしながら癖を取るチューニング作業は簡単では有りませんでした。
 ラウンドエンクロージャー特有の吸音材を極小使用量で済む為に生かされる鮮度の高いスピード感の有る音は容易に得られましたが、
 その特徴がユニットの癖を増長させるという難問を吸音材では無く振動吸収板をエンクロージャー側板内部に張ると言う事で解決し、
 定在波対策では無く、音質調整の為に微妙な吸音材を底板内部に張り付ける事でエンクロージャーのチューニングは完成しました。

 次はネットワークです。ウーファーをダイレクトでツイーターをハイパスコンデンサー1個で済む様な簡単な事ではとても済みませんでした。
 Alpair10にはフルレンジが有る程ですので帯域幅が広い、Alpair5Grayもフルレンジですのでこちらも受け持ち帯域が広い。
 どの点でクロスオーバーさせれば各々のユニットの特徴を生かせるのか??。コンピューターシュミレーションで全てを解決する最近の

 設計手法では特性は揃っても音質は分かりません(大体において設計者が音を知る訓練をしていない)。
 クロスを2KHz〜6KHz迄の広範囲で試行錯誤しながら確かめて行きます。Alpair10を高域まで使い過ぎると中域が甘くなります。
 Alpair5Grayを低く使い過ぎると線が細くなります。その点を探し出す、クロスオーバーの減衰特性はどうするのか。
 その様にして最適クロスポイントを探し出しました。
 次は使用パーツの選択です。高性能ユニットの欠点!!チープなネットワークパーツを使うと直ぐに機嫌が悪くなる。
 そっぽを向いてしまいます。例えば最初に使ったユニットメーカーが自信を持って開発した特殊珪素鋼板コイルはご不満で
 全く元気が出ない、次ぎにノマールな太径OFC空芯コイルを、これも力強さや分解能がお気に召さない。
 止む無くハイエンドクラス向けの太径銅箔空芯コイルを採用と各パーツはこの様にして試行錯誤して決めて行きました。
 最後に問題となったのはAlpair5Grayが持つ高域でのピーク特性です。問題はこのピークポイントの音圧が高いだけでは済まずに、
 無線機などの高周波回路設計時には常に考慮するピーク周波数の偶数次/奇数次の帯域にも影響を与える事です。
 このピークが微妙に全帯域に渡り子音を強調させてしまいます。対策として特殊ディッピングフィルターにて減衰させる事とします。

 以上のチューニング作業にはエンクロージャー完成から10ヶ月以上の期間を要しました。
 産みの苦しみを味わいましたが出来上がった作品は素晴らしい作品となりました。
 解像度の高さ/鮮度の高いスピード感がある音/癖の無い独特のきらびやかさ/タイトな音も優しい音も再現する。
 弦楽、ピアノでは今まで感じなかった表現を感じる事でしょう。ジャズやポップスも締まった張りのある再現をします。
 オールジャンルで水準以上のパフォーマンスを再現してくれる作品となりました。
 是非ウッドウイルまで脚を運んで試聴して下さい。


 仕 様
 1.使用ユニット:markaudio社
          Alpair10Bass(約13cm口径ウーファー)
          Alpair5Gray−Fullrange(ツイーター)

 2.周波数特性:40Hz〜30KHz
 3.入 力:70W(max)
 4.インピーダンス:4Ω
 5.音圧レベル:86dB
 6.寸法(最大値):W220/H460/D290mm
 7.端 子:バナナ対応大型独立型(バイワイヤリング対応)
 8.エンクロージャー:フィンランドバーチ合板100%によるラウンドエンクロージャー
            バスレフ型
 9.仕上げ:黒色ピアノ鏡面塗装(特注により木目仕上げも可能)
 10.価格:36万円(ペア)