
- 序章
- 私のSRXはさかのぼること10余年前、私がまだ学生だった頃に先輩から譲り受けたものです。
SRXの前、私は「TDR250」というヤマハのオートバイに乗っていました。
しかしTDRが北海道へのツーリングの帰りに故障したことをきっかけに、運命の歯車が動き始め
- ます(笑)
- 出会い
- 北海道から大阪に戻った時、私は途中で立ち寄った京都の吉野家にウエストバッグを忘れてきた
ことに気がつきます。しかし取りに行こうにもTDRは故障中。
そのため先輩に頼んで借りたのがこのSRXでした。
その道すがら、初めて乗るロードスポーツの楽しさに私は夢中になり、帰りの宇治の山中では
- 居合わせたCR-Xと紳士的な?バトルに興じる有様(笑)
寮に帰った時、先輩に「(タイヤを見ながら)俺、こんなとこ使ってね〜よ!」と叱られました。
- ファースト・インプレッション
- それからしばらくして、先輩からこのSRXを安く譲り受けます。
その頃の印象ですが、車体のバランスが良くコーナーをひらひらと「舞う」感覚が当時とても新鮮で、
- コーナリングの探求心をかき立てられるものでした。
また単気筒なので燃費も良く、TDRに比べるとかなり航続距離が伸びました。
ただ乗り慣れてくると、もう少しエンジンパワーが欲しくなります。
- 初めてのエンジンブロー
- ご機嫌でSRXを楽しんでいたある日のこと、当時出来たばかりの舞鶴自動車道を使って丹後半島
- へ仲間とツーリングに出かけました。
その中にはGSX-R1100やZX-10など、動力性能では勝ち目の無いオートバイも一緒だったので
- すが、無謀にも高速道路で彼らについて行こうと試みます。
その結果オイル消費が異常に早くなったためエンジンを開けてみると、シリンダーとピストンが傷だ
- らけになっていました。とほほ・・・。
- そして深みへ
- エンジンの修理にあたり、悪魔が囁きます。「どうせなら、ヨシムラのキットを入れれば?」
今にして思えばこの時に純正のオーバーサイズにしていたら、私の未来は大きく変わっていたかも
- しれません(笑)
ここからSRXは本格的なカスタムの道を歩み始めます。
- ヨシムラ ST-1
- このキットの内容は412ccの高圧縮ピストンとST-1のハイカムというもので、チューニングの度合い
- としてはさほど高くないのですが、その効果は思いのほか大きなものでした。
ノーマルとはまるで別物の、回して楽しいとてもスポーティなエンジンに生まれ変わります。
- そしてマフラーは、POSHのカーボンスリップオンサイレンサーという組み合わせでした。
このPOSHのスリップオン、その排気音は「一キロ先から聞こえる」と仲間内で言われるほど大きな
- ものでした(笑)
- 二度目のエンジンブロー
- 回るエンジンは回したくなるのが人情?
信州への帰省の途中、NSXに中央道で遭遇。よせばいいのに後ろについて行こうとします。
30分程その状態を続けたところ、急にエンジンがパワーダウン!
- 慌ててクラッチを握るとエンジンから異音が・・・。
当時の私に「学習能力」という言葉はありませんでした(笑)
高速を50〜60キロくらいでだましだまし走行し、なんとか帰宅。
近くのお店でエンジンを開けてもらうと、店の人には「よく動いてたね〜」と一言。
いや、持ち主思いのオートバイですな(笑)
- カスタムショップへ
- いじる楽しさを知ってしまった私には、この状況もあくまでポジティブなものでした(笑)
いろいろと雑誌を調べた後、「モトサロン」(現AAA)にカスタムを依頼。
その内容はエンジンはもちろん、吸排気系の全面変更という大掛かりなものでした。
詳細は600用クランク、コスワース621ccピストン、ALSILシリンダースリーブ、ホワイト
- ブロスレース用ハイカム、FCR39パイ二連キャブレター、オリジナルスーパートラップ
- 二本出しマフラーというもの。
- カスタムは難しい
- 上記の内容はほぼレース用に匹敵し、その結果大幅なパワーアップを果たします。
特にパワーバンドに入った時の加速は強烈で、2STのそれを確実に凌駕するものでした。
しかしながら、エンジンの回転が落ちるタイトコーナーでの開け始めでは、スロットル操作に気を使
わないと息継ぎをするなど、日常良く使う領域では扱いづらさも感じました。
またパワーアップによってサスやブレーキが頼りなく感じられるようになり、ブレーキパッドやブレー
- キディスクを替えるなどの対策が必要になりました。
- 更なるカスタム
- 強力なエンジンへの対応と運動性の向上を目指し、今度は足回りの強化を図ります。
ホイールは前後テクノマグネシオのマグネシウム、フロントフォークはフォルセライタリア、前後の
- ブレーキキャリパーをブレンボヘと変更。リアサスはWPをという内容でした。
さらには今まで若干上過ぎたステップも適正な位置のものに変更。
この頃にようやく「走る・曲がる・止まる」のバランスの大切さを痛感するようになります。
- パワーよりも
- 低回転での扱いづらさに閉口した私は、改善のためにデチューンを決意します。
それはカムを今よりも中低回転型のヨシムラST-1に、キャブレターはツキを良くするため35パイに
- 小径化するというものでした。
これが功を奏してどんな場面でもパワフルで扱いやすいエンジンに生まれ変わり、ここで初めて
- 満足のいくトータルバランスを実現しました。
- 三度目は予想外
- その後調子よく乗っていたのもつかの間、車検の際にAAAに持ち込んだところ、なんと白煙を噴く
- というのです。その原因はどうも数日前にSRXでジムカーナをやったため?
極低回転から一気に高回転までエンジンを回すジムカーナは、エンジンに与えるダメージが大きく、
- 特にボアの大きなシングルではピストンが首を振ってしまうのです。
仕方なくさらにオーバーサイズへと変更しました。
- 見た目も気になる
- 車体のバランスが整ったところで、替えたくなったのがスーパートラップのマフラー。
前々からどうしてもその音と見た目が気に入らない。これは個人的なセンスの問題だから仕方が
- 無いのです。
そんなわけでスラクストンの二本出しマフラーに変更。キャブセッティングはそのままでオッケー
- でした。
- その後のカスタム
- この頃にハマり始めたのがインターネットオークション。今まで高くて手が出なかったものや、レース
- 用の一品ものが安価で手に入るようになります。
これによって憧れだったAPロッキードのラジアルポンプ・ブレーキマスターや、ウイリーのアルミスイ
- ングアームなどを次々と購入します。
- 憤 慨
- そのスイングアームですが、カラー等の製作が必要だったため神奈川にある某ショップに取り付け
- を依頼しました。
しかし乗ってみるとどうもスイングアームあたりからこすれるような音がします。
- 良く見るとマフラーとスイングアームが干渉して、せっかくのスイングアームが削れていました。
ショップに連絡すると、こちらでは取り付け時に確認しているのでそんなはずは無いと言います。
しかし干渉しているのは事実ですし、こちらでは何もいじってはいません。
持って来るように言われましたが、いい加減バカバカしくなったので、こちらでマフラーステーに
- カラーをかませて対処しました。
これについて私は未だに根に持っています(怒)
- レースに参加
- ある日のこと友人にいきなり、一週間後にスポーツランド山梨で行われる「3on3」に出ないか、と
- 誘われます。
当時私はレース経験などほとんど無く、革つなぎすら持っていない有様。
こんなんで大丈夫かと思いながら、急いでつなぎを注文しました(笑)
レース当日、緊張しつつコースイン。直線ではリッタースポーツ勢にバンバン抜かれるものの、
- 下りの各コーナーでは思ったほど差は開きません。
自分のSRXの以外なポテンシャルに、実は自分が一番驚いていました(笑)
そして勝手に?ライバルと定めた2STレプリカに勝負を挑み、何度かパスする事に成功。
カスタムのコンセプトに掲げた「打倒2STレプリカ」を果たすこととなりました。
- その後のSRX
- こうして振り返るといろんな出来事があったなぁ、とつくづく思います。
そんなSRXもビューエルを購入以降は第一線を退き、昨年夏には車検が切れて現在休眠中。
しかしながら車両の仕上がりは、自分としてはベストと思える状態にあります。
そのため乗らないのはもったいないが、乗るのも何だかもったいない、というジレンマに陥って
- います(笑)
先輩から譲り受けた時の走行距離が7千キロ程で、現在は7万キロを超えました。
次の目標は・・・「目指せ10万キロ!!」かな?
達成はいつになるか分かりませんが、出来るだけ長く乗ってやりたいと思っています。 (終)
