<XB9S>
まずは初めて所有したXB9S('04)について。
購入前に試乗した時の感想は、とにかく「面白い」の一言。
コンパクトな車両とはいえ、SRXと比べればさすがに大柄で車重もあるのだが、
それを感じさせない軽快な動きをする。
エンジンは予想に反してパワフルかつよく回る。
ただシフトダウン時のエンジンブレーキには多少の慣れが必要だったが、うまく回転を
合わせれば問題ないレベルであった。
15分程の試乗であったが、その素性の良さを十分確認することが出来た。
さて実際に所有してみると、その汎用性の高さに驚く。
車重が軽く、重心も低いため取り回しは楽。また足付きも良好で、'04モデルの9Sは
初めからローダウンされている(現在のScgと同じ)ため身長166センチの私でも、
両足がほぼべったり付く程である。
ハンドルの切れ角は一般的なリッターレプリカと同等といったところか。
正立フォークのネイキッドに比べると、若干少なめである。
エンジンフィーリングは低い回転からでもトルクが湧き上がり、信号発進などでは蹴飛
ばされたような加速をする。
かといって扱いづらい訳ではなく、比較的のんびりとしたペースでもエンジンにせかされ
ることなく、独特の鼓動を感じながら楽しく走ることが出来る。
クラッチは少々重いので、普通クラッチレバーは二本がけの私も、四本がけで使って
いた。今なら'06モデルのパーツを使用すれば軽くすることが可能なので、'06以前のモ
デルでは交換がお勧めである。
フロントのリムオンディスクブレーキは効き、タッチともに良好で、全く不満は感じない。
なお当初ハードブレーキング時にディスクから「カンカン」という音が出ることがあった
が、200キロほど走行してあたりが出れば、自然に解消される。
リアブレーキはあまり効くほうではない。リアはあくまでもコーナーでの姿勢制御のため
に使うという思想なのだろう。、個人的にはもう少し効いても良いと思った。
サスペンションはローダウンされているためにスプリングが少々固め。
底付きさえしなければ、もう少しやわらかくても良い。
'06のScgでは改良を加えたらしいので、機会があれば試乗してみたい。
ハンドリングは基本的に軽快。コーナー手前できちんと荷重移動をするオーソドックス
な乗り方との相性が良いようだ。
倒しこむきっかけをしっかり作って積極的に操れば、驚くほどくるくると旋回する。
高速道路での直進安定性は意外に高い。路面に張り付くような感覚である。
また多少の横風にあおられても、重心が低いせいかしっかりした安心感がある。
燃費は最高で26km/ℓ、通常でも20km/ℓを切ることは無かった。
積載はバグスターのタンクバックと純正リアキャリア&GW製テールバックを使用。
他に純正のサドルバックも有るのだが、よほど荷物が無い限りこれで十分であった。
なお一般的なタンクの場所が樹脂製のエアクリーナーカバーになっているため、磁石式
のタンクバックが使用できない。
シートは足付きを重視してかなり薄く作られ、またがると結構硬く平面的。
また後席からかなりえぐれた形状なので、お尻がぴったりとはまる感覚である。
私はすぐに純正オプションのシートにしてしまったため、純正のままあまり長距離を乗
る機会がなかったが、ちょっと辛そうである。
タンデムはしたことがないので分からないが、後席が狭いので長距離は辛いだろう。
全体としてはScgにも言えることであるが、あくまで足付きを重視するか、快適なシート
と動きの良いサスペンションを取るかが悩み所である。
ただこのクラスのロードスポーツでここまで車高の低いものは他にないため、ユーザー
の間口を広げることには成功したと思われる。
最後に繰り返しになるが、XB9Sは'04モデルから標準でローダウン仕様となっている。
よって足付きやシートの形状、走行フィールなどは年式によって異なるのでご注意いた
だきたい。
XB9S ('04)