お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「大阪今池」 屋号のないおでん屋

 大阪市西成区のあいりん地区は、日雇い労働や仕事を持たないおっちゃんたちが街中を歩き、朝から営業している飲み屋が繁盛し、なかには酒の自動販売機の前で飲んだくれている人たちもいる。一般人がおいそれとは足を踏み入れることができないエリアだが、なかには味のある店や意外な店というのが現れる。

 今池の大通りに面した路地の入口に、おでん専門店がある。専門店とはいっても、おばさんが店先の大鍋でおでんを煮、客は保冷庫から瓶ビールなど好きな飲み物を出して飲むというディープさでは界隈屈指の店。ネット等では「深川」という店名のようだが、それを示す屋号は見当たらない。

 大鍋で煮ているおでん種はいろいろある。一応それぞれ分けて煮てはいるものの、しょせんは大鍋なのでいろいろな味が染みつく。関西なので薄味のおでんを期待すると、醤油の色の濃い関東風のおでんが出てくる。ところが、これが美味いのだから驚く。グルメを喜ばせるような味ではないが、おでんだけでこの界隈生き抜いている底力みたいなものを感じさせてくれる。

(この項おわり)

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