西表島その２

「西表島」その２　強烈な潮の香りの珍味

　旅先では時として予想もしないようなものが出てくることがある。その土地独特の食材であったり、あるいは料理法であったりするもので、地元ではごく当たり前に食べているものもあれば、地元の人でも珍味というものもある。本土と気候が違う沖縄県には、そういう独特の食材や料理がたくさんあり、食べ歩きは実に楽しい。

　先島諸島では海の食材が豊富だが、これが独特である。石垣島の料理店でヤシガニの料理があると聞いて驚いたのだが、西表島で私が実際に食べたシャコガイの塩辛というのも一風変わっていた。泡盛の肴に頼んだ珍味３品のなかに入っていたもので、あとの２つはカツオの腹皮、イカだった。

　シャコガイといえば亜熱帯に生息する大きな貝で、うっかり挟まれると命取りになるということは聞いていた。さぞや大味なんだろうなと思って口にすると、強烈な潮の香りが口の中に充満して「おおっ」と思わず声が出た。まあ、合わない人は食べられないだろうが、決して不味くはない。ただ、泡盛より日本酒がよかったなと思った（笑）

（この項おわり）

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