宇和島その２

「宇和島」その２　おめでたい料理・福めん

　世の中にはおめでたい料理というのがいろいろある。正月のおせち料理はその代表的なものだが、ふだん一般的に食べているものでも、よくよく考えると「これは縁起がよさそうだな」という食べ物がある。それが旅先で食べる郷土料理だと余計に「おめでたい」というふうに感じさせられる。今回、宇和島の郷土料理として紹介する「福めん」もそのひとつといえる。

　福めんは「めん」という名がついているが麺類ではない。小鉢に入っているめんと称している部分は糸こんにゃくで作られており、その上にさまざまな具が乗っている。そして一番の特徴はその見た目にある。赤、白、緑などと具がきれいに区分けされて盛り付けられており、それをつきくずして食べるのがもったいないほどの鮮やかさである。

　赤はでんぶ、白は魚のすり身、緑は刻みネギで、これを混ぜ合わせて糸こんにゃくとともに食すとこれがなかなかさっぱりしていて美味しい。それぞれの具は決して珍しいものではないが、それが渾然一体となったところにこの料理のうまさがあるのだろう。ちなみに「福めん」の語源は、下の糸こんにゃくを具で隠す「覆面」からきているとの説があるそうである。

（この項おわり）

あの町この味味覚別リスト（Ｂ級グルメ、郷土料理などの分類）に戻る