お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「白石」 胃腸にやさしい温麺
 旅をしていると、日本全国に麺の文化があることが分かる。私の住む諏訪を含む信州は蕎麦が代名詞になっているし、ラーメンといえば喜多方、札幌、和歌山、博多などが列挙されるし、うどんなら讃岐うどん、近年は焼きそばのまちとして富士宮や横手などもクローズアップされている。そんななか、独自の麺文化を誇っているのが宮城県南部の白石市である。

 白石の麺文化といえば、白石温麺(うーめん)である。小麦粉を原料に作るという点ではうどんの仲間になるわけだが、うどんとはまったく違い、むしろ素麺に似たような感じの麺類である。歴史は古く、300年以上前から伝わっているというから、江戸時代には温麺が食べられていた。最大の特徴は他の麺に比べてかなり短めに切りそろえてあるという点だ。

 白石には温麺を食べさせてくれる店がいくつもあるが、それぞれ個性豊かなメニューが並ぶ。もっともオーソドックスなのが温かい汁とともにいただく温麺で、短めの麺がちょうど「ツルリ」と入っていき、実に食べやすい。胃腸を病んだ親のために作られた麺、という言い伝えがあるそうで、飲み歩きに疲れた旅先でふと食すのもなかなかいいものである。

(この項おわり)

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