飯島

「飯島」　馬肉を使ったさくら丼

　馬肉を食べるという習慣は全国にそう多くはない。私が旅行した限りでは長野県と熊本県ぐらいであろうか。長野県内には馬肉はふつうに売られており、家庭の食卓にのぼることも珍しくはない。ただ、首都圏などの人からすると、馬はかわいいというイメージがあるせいか、馬肉はどうも敬遠されがちである。

　信州での馬肉の食べ方にもいろいろあるが、代表されるのが馬刺しや馬肉ステーキである。また内蔵料理は「おたぐり」の名で親しまれている。馬刺しはさっぱりとした味わいで、肉にはくせがなく美味である。この馬刺しを一般ウケするようにアレンジしたのが「さくら丼」で、飯島町ではご当地グルメとして売り出し始めている。

　飯島町ではないが、私もさくら丼は何度か味わったことがある。普通の馬刺しよりもやや厚めに肉を切り、甘辛いたれをかけていただくのだが、これが意外とご飯にぴったりなのである。食文化というのは、その地域にとっては歴史でもある。土地の食文化を尊重し、敬遠することなく味わってみるのも旅の醍醐味といえる。

（この項おわり）

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