宇和島

「宇和島」　食べられるの？と聞いてしまうモノ

　愛媛県宇和島市には独特の郷土料理というのがいくつもある。いずれ紹介できればと思うが、鯛めしのような美味しいもの、福めんという見た目の美しいもの等々、もちろん近年ではメジャーになったジャコ天もこの地の味覚である。それらと対極にある、郷土料理という言葉がふさわしいかどうかも不明という珍しい食べ物に出会った。

　見た目の美しい福めんとは正反対に、一見するとグロテスクで「こんなもの食べられるのか」と思ってしまうのがカメノテである。磯遊びなどしていると、岩場にへばりついている生物で亀の手に似ていることからそのものズバリの名がついた。もともとは漁師がおやつとして食べていたくらいで、一般の料理屋にも出回ることがない珍品だったそうである。

　ところが、見た目で判断してはいけないのが食べ物である。まず殻をはがすと中から潮の香りただよう汁が出て、これがまずは美味。続いて身をいただくのであるが、この味が貝でもなし、カニやエビでもなし、独特の食感があってまたまた美味。食べ始めたら止まらなくなる逸品で酒の肴にも抜群。当地では「せい」の名で呼ばれている裏メニューのようである。

（この項おわり）

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