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「北秋田」 マタギの里のクマの鍋
 「マタギ」の里として知られる北秋田市の旧阿仁町。豪雪地帯で山深いこの里では、マタギと呼ばれる猟師たちが山の獣を追いかけ、生計を立てていたという文化が伝わる。とくにクマはマタギたちにとっては格好の獲物になり、今も狩猟が続けられているという。秋田犬ももともとは狩猟犬として育てられてきたそうである。

 この阿仁町の山間に打当(うっとう)温泉という一軒家の温泉施設がある。ここでその名も「マタギ鍋」というのを食べさせてくれる。中に入っているのはクマの肉。マタギが猟をしてきた天然ものとのふれこみがあった。温泉でくつろいだあと、さっそくマタギ鍋を注文してみることにする。鍋の汁は味噌仕立てでかなり甘口。クマ肉に合うように工夫されているようである。

 クマ肉は初めて味わうが、最大の特徴は脂身である。これは口の中に脂独特の味覚が広がり、表現は難しいが「すごい効きそう」という感じ。肉単独だときついが、味噌スープと夕顔、ネギ、セリといった野菜を一緒に食べると脂とマッチして美味しい。赤身の部分は馬肉でも豚肉でも牛肉でもない、歯ごたえのある独特の味わいである。いずれにしろ、野趣あふれる鍋料理には違いない。

(この項おわり)

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