お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「金沢その2」 コウバコって何でしょう?
 北陸の冬の味覚の王者といえばズワイガニ。北陸では越前ガニという名称が付けられており、最高級のものは値段も跳ね上がる。本場では、茹でたてのカニをいただくこともできるといい、新鮮でなければ食べられないカニの刺身は口の中にとろけるような味覚がたまらない。ただ、本場にはさらに食べられる時期が限定されたカニというのが存在したのである。

 金沢を冬に旅行する機会があり、ぜひとも越前ガニをいただきたいものだと思い、ある小料理屋に入った時のことである。越前ガニを食べたいという私に、板前は「それならコウバコがいいよ」と勧め、越前ガニの子供のような小さなカニをいただいた。中に卵がびっしりと詰まっており、身もそれなりに美味しくいただくことができた。

 ずっと後まで、このカニが何なのか分からなかったが、実はズワイガニの雌だったことを知った。コウバコもしくはセイコガニという名で、資源確保のため漁期も限られている。ズワイガニを一匹まるごと食べるのはたいへんだが、コウバコならちょうどいい大きさ。もしも冬の北陸でこのカニとめぐり合ったら、ズワイガニを差し置いてもぜひ食べることを勧めたい。

(この項おわり)

あの町この味味覚別リスト(B級グルメ、郷土料理などの分類)に戻る