帯広

「帯広」　十勝のファーストフード

　丼もののなかで、いちばん多く食べるのが牛丼である。一方で、豚肉を使ったカツ丼は、若いころはよく食べたものであるが、今はずっしりともたれるような感じがして、なかなか触手が伸びない。もちろん、駒ヶ根市のソースカツ丼のような美味しいものもある。豚肉を使って、牛丼のようにあっさりとした味覚はないものか、と思っていたところで出会ったのが、この豚丼だ。

　豚丼は、薄切りの豚肉を焼き、甘辛いたれにつけたものを、丼に乗せて出してくれる。十勝の中心・帯広にある店が始めたそうだ。名前は知っていたが、当地を訪れるまでは、帯広の数店舗だけが出している郷土料理かと思っていた。ところが十勝をドライブし、いろいろなレストラン・食堂に寄ったが、どこでも豚丼は当たり前のようにメニューにある。当地では、牛丼よりもポピュラーな丼もののようだ。

　私が初めて食べたのは、大樹町にあるショッピングセンター内のレストランだったが、醤油ベースのたれは見た目よりもあっさりしていて、ピリ辛の味わいがご飯にマッチしてなかなか美味しかった。牛丼とはひと味もふた味も違う丼ものである。肉を一枚ずつ焼かなければならない点で、牛丼よりも手間がかかる料理かもしれないが、ぜひとも全国にこの丼を広げてほしいものである。

（この項おわり）

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