松阪

「松阪」　肉も内臓も天下一品の牛肉

　狂牛病が猛威をふるっているなかで、世界にその名をとどろかせるブランド・松阪牛は、牛肉離れとはまったく無縁の人気を誇っている。日本全国に地名がついた名物牛は数多いが、知名度という点では松阪牛は群を抜いている。松阪市内のすき焼きやしゃぶしゃぶ、ステーキの店では、松阪牛を扱っていることだけで店のハクが違ってくる。老舗も数多い。

　ブランドをありがたがるわけではないが、松阪牛はその名を冠した専門公社があるように、地元の味覚として大切に扱われている。そんな松阪牛の肉と内臓を両方楽しんでみた。まず、サーロインステーキであるが、値段の高さが当然と思わせるような肉の柔らかさと脂の美味さ。思わず「こんな牛肉ってあったのか」と口走ってしまうほどの滑らかな舌触りだった。この肉にソースは不要である。

　一方、松阪牛のホルモンを専門に扱っているという焼肉屋にも行ってみた。このホルモンがまた、いつも食べているゴムのような味気のないホルモンとはまったく別物。炭火で焼いたのだが、脂がどんどんしたたり落ちてくる。その濃厚な味わいは初めてである。同じ内臓である心臓も生でいただくことができたが、こちらはさっぱりとした味。まさに恐るべし松阪牛！といった感想である。

（この項おわり）

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