お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「松井田」 峠の釜飯今昔物語
 その昔、学生時代に高崎から長野まで特急あさまに乗ったことがある。目的は横川駅の峠の釜飯であった。横川−軽井沢の碓氷峠越えは急勾配であるため、横川からは押し上げて、軽井沢からはブレーキがかかるように電気機関車を連結して走る。そのため、両駅で数分間の停車を余儀なくされるのである。

 その停車時間に、横川駅では峠の釜飯弁当が販売される。ものすごい数の売り子たちが一斉に列車に群がり、弁当を販売する。乗客の多くが弁当を買って、軽井沢までの長い道のり、峠越えの風景を見ながら弁当を食べる。旅の醍醐味でもある。発車合図のベルが鳴ると、売り子たちがホームにずらりと並んで、出発に合わせて一斉に「ありがとうございました」と頭を下げるのは横川駅名物であった。

 鉄路が廃線となっても、釜飯は相変わらず大人気である。近くの釜飯専門のドライブインで、20年ぶりに横川で峠の釜飯を食べたが、昔と変わらず素焼きの釜に鶏肉、しいたけ、ごぼうなどで炊き上げ、うずらの卵とアンズが乗った弁当で、小さなパックの漬物付であった。たぶん味も昔と変わらないのだろうが、駅弁として車中で食べていたときの方が美味しいと感じたのは、ロケーションのせいだったのだろうか・・・

(この項おわり)

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