お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「高知」その1 のれそれ、って何それ?
 土佐は、日本有数の酒飲み王国である。日本酒も数多いが、その飲み方も豪快だ。箸けんという酒席の遊びは、負ければ酒を飲み干さなければならないというものだし、盃にも「べく杯」という穴が開いていたり、底がとがって置けないものがある。料理も皿鉢料理に代表されるように豪快さが売り物。そして、酒の肴にぴったりの珍味も非常に数多いことが特徴だ。

 そんな、土佐の珍味から今回は「のれそれ」を紹介する。見たことも聞いたこともないこの珍味。小鉢に入れられて出てきた時も「なんだこれ?」と思ってしまうほどだ。何かの稚魚が盛られているのである。これをちり酢でいただくという簡素なもの。小鉢に入っているときは分からないが、一匹つまんでみると、のっぺりとした細長い魚であることが分かる。

 正体不明と長く言われ続けていたが、どうやらアナゴの稚魚らしい。食べてみると淡白というか、はっきり言って味はないに等しい。つるつると飲み込むさまは、まるで平べったいところてんか葛きりを食べているかのようだ。出てきた時は透明だが、時間が経つにつれて白くなっていく。土佐でも水揚げされたときでないと食べられないというまさしく珍味中の珍味といえよう。

(この項おわり)

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