高知その２

「高知」その２　豪快！ウツボのたたき

　土佐には美味いものが多い。そして、酒にぴったりの珍味や干物もたくさんある。飲むべーにとっては、これほどの酒飲み天国はないだろう。飲食店も数多く、結構盛っている。土佐の人は日本でも指折りの酒好きと聞く。そんな豪快な気風を象徴する食べ物といえば「たたき」である。最も知られているのは、おなじみのカツオのたたき。これからいよいよ旬を迎えていく。

　ところが、土佐のたたきといえばカツオだけではない。鯨のたたきというのもメニューで見かけた。そしてもうひとつ、ウツボのたたきがある。土佐ならではの味覚といっていいだろう。ウツボといえば、あのグロテスクな姿と獰猛な生態を思い浮かべるが、味のほうはなかなか複雑で、一度食べたら忘れられないものである。

　どこが複雑か。ウツボのたたきも、カツオ同様に火を通して皿に盛られ、さらし玉ねぎやニンニク、しょうがと一緒に食べる。白い身に皮がついており、身のほうはまるで鳥のささみを食べているのではと錯覚するほど肉厚淡白な味。一方、皮はウナギやアナゴのような香ばしさとねっとりした感覚が実に心地よい。この身と皮のまったく違った味覚がなんとも言えず、次に出る言葉は「美味い」の一言だけである。。

（この項おわり）

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