呼子

「呼子」　名物のイカ活造り

　今年（平成１３年）３月に佐賀県北部を旅し、呼子町へ立ち寄った。目的は、呼子の名物であるイカの活造りを食べることにあった。全国有数のイカの水揚げを誇るこの町では、イカ料理を売り物にする料理屋やレストランがたくさんあり、それを見ただけでも「ああ、ここはイカなんだな」と納得させられてしまう。

　そのうちの１軒に入って、イカ活造り定食を注文する。まずびっくりするのは、大皿にまるごと乗せられたイカ。活造りで食べるのは身の部分だが、頭頂部や足（ゲソ）もついたまま、皿に敷かれた氷の上にどーんと乗っている。その迫力に圧倒されてしまう。しかも、足はまだピクピク動いている。この店には生簀があり、ここで泳いでいるイカをさばいているから生きていて当然だろう。

　新鮮なイカは、独特の匂いやニチャっとした感触はなく、コリコリっとした歯ざわりが広がったかと思うと、すぐにとろけてしまう。つきなみながら「美味い」という表現しかない。頭頂部やゲソだってムダにはせず、こちらは天ぷらにして出してくれる。身が引き締まって、これまた歯ざわりがよく、「いつも食べているイカ天って、いったいなんなんだ」と思わせるような別物の味覚である。

（この項おわり）

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