お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「納沙布岬」 北方領土の昆布の味
 北海道といえば、昆布の産地として知られている。この地を旅すれば、海辺で昆布を拾っている漁師さん、海岸や道路に干した昆布がずらり、などといった光景をしばしば目にすることができる。そうした昆布の多くは、出汁用に出荷されるのであるが、もちろん昆布はそのまま食べても美味しい。

 日本最東端にある根室市納沙布岬は、北方領土から最も近いところにある。この岬のレストハウスやお土産屋では、シーズンになると花咲ガニなど、カニがずらりと並ぶ。私も、ここを訪れた時に食堂でカニ料理を味わったが、その食堂でサービスとして出してくれた昆布の佃煮が素晴らしかったのである。身が厚く、歯ごたえと味わい深さは今まで食べた昆布とは比べ物にならないほどだった。

 聞けばこの昆布、北方領土内にある貝殻島で、ある一定期間しか採取できない種類だそうだ。北方領土内といえば、今はロシア国内なので出漁にも特別な手続きが必要だとも聞いた。北方の冷たい海に育った昆布なので美味いのも当たり前かもしれないが、地元でもめったに食べることができない昆布と聞けば、余計にその価値と味わいが深くなるというものである。

(この項おわり)

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