お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「松山」 点がある、なしで大違い

 今回は書くとよく似ているが、実はまったく別物という味覚のうちのひとつを紹介する。愛媛県宇和島の特産に「じゃこ天」というのがある。これは、いろいろな小魚のすり身を油で揚げた練り物で、さくさくとした歯ごたえがあってとても美味い。松山市を訪れた時、定食の一品として出てきたのだが、定食そのものよりも印象深い味覚として舌に残ったのである。

 「じゃこ天」という名称から、私はちりめんじゃこを使っているのかなと思いこんでいた。しかし、いろいろ調べると、じゃこというのは漢字で「雑魚」。つまり、磯のいろいろな魚をすり身にしているということのようだ。宇和島近海にはホタルジャコという魚がいて、このじゃこ天の原料になっているそうだから、名前の由来もこのあたりからきているのではないだろうか。

 ところで、海をはさんだ広島県徳山市では、「点」を外した「シャコ天」というのを食べた。こちらは、シャコすなわち蝦蛄(しゃこ)の天ぷらのことで、鮨ネタとしてもおなじみの蝦蛄を使っている。当然のごとく見た目もじゃこ天とはまったく違うし、味わいも違う。けれど、両方とも「美味い」という一言に変わりはないのである。

(この項おわり)

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