お勧めの旅!47都道府県別ガイドあの町この味

「日之影」 ハチの子はハチの子でも・・・
 信州には「悪食(あくじき)」という食習慣がある。これは、よその土地では食べないようなものまで、信州では食文化に取り入れいることからくる言葉だ。イナゴは有名であるが、このほかにも蚕の繭、ハチの子、ザザムシ(トビケラの幼虫)などが食べられている。今でこそ高級珍味になっているが、かつてはたんぱく質に乏しい山国の貴重な蛋白源だった。

 ハチの子を食べるのは信州ぐらいかと思っていたら、なんと宮崎県日之影町の日之影温泉で「ハチの子のバター焼き」というメニューを見つけた。信州では、地蜂と言われる黒スズメバチの子を醤油で味付けしてご飯と一緒に食べる。米粒大くらいの虫であるが、これがなかなか美味い。そんなハチの子を想像してたのだが・・・。

 目の前に出てきたのは、なんと小指大くらいもある巨大ハチの子だった。むろん、スズメバチの子であることは言うまでもない。悪食の信州人である私も、さすがにびっくりした。よその地方の人ではまず箸をつけることすらできないだろう。ただ、味の方は思ったよりも身が締まっており、淡白な味わいがバターにマッチしていてかなりの美味である。見た目だけで敬遠してはいけない好例といえよう。

(この項おわり)

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