気仙沼

「気仙沼」　鮮烈な海の香り・ホヤ

　私が初めてのひとり旅をした気仙沼で、この強烈な海の味覚と出会った。今まで味わったことのないような独特の風味に驚かされてしまったものである。それ以来、やみつきとなってしまった。気仙沼の「たび白書」でも書いたが、この町では鮮魚店の店先に当たり前のように並んでいる。しかし海のない長野県では、まずお目にかかることがない、それがホヤである。

　ホヤは、パイナップルのような形をしている海の生き物で、見た目にはちょっとグロテスクな感じがする。旬は夏で三陸海岸の名産であり、新鮮でなければ生臭さが強調されてとても食べられないそうだから、やはり東北とくに三陸を旅した時でないと味わうことができないのであろう。

　気仙沼で食べたホヤは、キュウリと一緒に三杯酢であえてあった。口に入れたときの鮮烈な海の香りがなんともいえず、しかも日本酒にぴったり合うのだからたまらない。それから、キュウリも単なる添え物ではなく、一緒に食べることでさらにホヤの旨さが際立つのだから不思議である。あの鮮烈さを敬遠する人もいるが、食べたことのない人はぜひ体験してもらいたい絶品である。

（この項おわり）

あの町この味味覚別リスト（Ｂ級グルメ、郷土料理などの分類）に戻る