金沢

「金沢」　天然物にこだわりたい逸品

　北陸・金沢へ冬に旅をしたことがあるが、その時もっとも強烈な印象を残した味覚がブリ。天然のブリがこんなにも旨いものとは・・・、そういう感動にひたることができたのである。その味覚を楽しませてもらったのが、金沢市街地にある近江町市場だった。市場で営業している食堂でブリの刺身やカマを注文して賞味した。

　天然ブリは、身も大きく一見すると締まっているような感じだった。しかし、口に入れてみるととろけるような舌触りのうえに、ブリ独特の脂の乗った味覚がいっぱいに広がり、思わず満面の笑みを浮かべて「旨い！」と叫びたくなるほどであった。私の住む長野県では、天然のブリを口にすることはなかなかできないし、鮮度も多少なりとも落ちてしまうので、ここまで旨いブリは食べたことがない。

　もうひとつ、ブリの真価はカマやアラにもある。カマの焼き物は刺身などとは比べられないくらい、すごい脂の量だったが、魚の脂なので全然くどくなく、ほどよい旨さなのだ。それからアラ。今回は食べなかったが、ブリ大根に代表されるように、煮炊きをすれば旨みを十分に出してくれる。日本海の冬の味覚を代表する魚だけのことはある。

（この項おわり）

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