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道楽者コラム 第13話


B級(ご当地)グルメを味わおう

  B級グルメあるいはご当地グルメという言葉が一般的になって久しい。今や観光の大きなキーワードにもなり、各地でB級(ご当地)グルメの発掘や開発というのが行われてきている。平成二十一年に行われたB級グルメグランプリでは、開催地・秋田県横手市の横手やきそばが金賞に輝いたが、このグランプリにはさまざまなB級グルメが顔をそろえ、大盛況だったそうだ。

 B級グルメグランプリで一躍有名になったのが、同じやきそばでも「富士宮やきそば」である。ラーメンの「喜多方ラーメン」、そばの「信州そば」、うどんの「讃岐うどん」などとともにブランドとしてしっかりと確立され、私の近所のスーパーでも販売されている。太めの麺に削り粉をふりかけるのが一番の特徴で、私も今ほど有名でなかったころ、ご当地で味わったことがある。グランプリで評判となって以来、今では富士宮市にわざわざやきそばを食いに多くの観光客が訪れるという。観光地である富士山麓や富士五湖に近く、箱根や伊豆半島にも容易に足を伸ばせるという場所も幸いしている。

 旅行の計画を立てる際に食の情報を得ることは不可欠なのだが、その地域のホームページや観光ガイドブックを見ていると、「こんなものがあるのか」と驚かされることがしばしばある。今回のB級グルメグランプリで第三位に入った津山ホルモンうどんも、それまではほとんど知る人はおらず、私も今年中国地方への旅行を企画(その後事情により中止)した際に偶然発見したB級グルメだった。メジャーとなって諏訪地方のイベントでもホルモンうどんがお目見えするようになったが、やはり最初はご当地で食べなければ意味がないと思っているので食指が伸びなかった。

 喜多方ラーメンや宇都宮餃子も、ご当地である喜多方市や宇都宮市で食べるのと、自分の住んでいる地域で買って食べるのでは全然違う。「せっかく旅行に行ったら美味しいものを食べたいのに、旅先でわざわざラーメンや餃子を食べるのか」というご意見もあろうかと思うが、いかに地域に根付いているのかを知るというのも旅の楽しみである。喜多方市では朝から営業しているラーメン屋も数多く、喜多方市民は朝食にラーメンを食べているのに驚かされるし、宇都宮の餃子専門店のなかには餃子のみでビールはおろか、ライスすら置いてない店すらあるが、お客さんがひっきりなりし訪れてにぎわっている。

総菜屋さんのゼリーフライ そんなB級グルメのなかで、私が極めつけと思っているのが「ゼリーフライ」である。これは埼玉県行田市周辺でのみ食べられている料理で、ゼリーというのはお菓子のことではない。ちょうど小ぶりのコロッケというような感じなのだが、中身がコロッケよりもさっぱりしており、独特の食感がある。行田市ではおなじみの料理で総菜店や精肉店には当たり前のように売っているが、行田市を少し離れるとその存在すら知られていない。行田市にはもうひとつ「フライ」と呼ばれるお好み焼きの仲間のような料理もあり、当地を訪れた際には両方そろっていただきたいものである。

 B級グルメ、あるいはご当地グルメというのは、どこの土地にも存在する。まだまだマイナーなものも数多いだろうし、それを旅先で発見するのもおもしろい。旅先の飲食店に入って、聞いたこともないようなメニューがあったら、迷わず注文してみてはいかが?