第23章「最後のクリスタル」
A.「忍術」
main character:ろう・ふぁみりあ
location:いんたーみっしょん

 

 

 はい、ろう・ふぁみりあです。

「久しぶりのティナ=ブランフォードです」

 ・・・あれ、本当に久しぶりな感じが。

「そうねー。前回のいんたーみっしょんは学園編で、私はあまり目立ってなかったし、あとがきには出番すら無かったし・・・ううっ」

 えー、なんというかマジでごめんなさい。
 ティナさん呼んでる余裕が無かったので。

「しくしく、どうせ私は居ても居なくてもいい女・・・こうしてだんだんとフェードアウトしていくのよ・・・」

 あ、スネちゃった。
 そう言えば前章の後書きと言えば、一つ言い忘れた事が。

 なんで無理矢理、外伝をねじ込んだかというと、ミシディアの長老を “祈りの塔” へ篭もらせるためだったりします。
 原作ではセシルさんがパラディンになったあと、伝説の剣に刻まれていた例の予言だがなんだかな言い伝えを見て、塔に篭もる長老ですが、そこの所をすっかり忘れてたので。

「・・・なんか、ミシディア関連抜け多いわね。セシルパパとか」

 う。
 ・・・ま、まあうっかりしてたのはその二つだけ、だとは思いますが。思いたい。

 とゆーわけで、わざわざ長老さんを登場させて、エビフライの伏線を張ったというわけです。

「エビフライ言うな」

 いや、だってあれ、なんかエビに似てません!?
 私、魔導船が発進するシーンを見て「黒いエビフライが海中から出てきたー!」って叫びましたもん。

 

 

******

 

 

 ―――さて、前フリはこんなところで。じゃあ、とりあえず本題に行きましょうか。

「今回のいんたーみっしょんは、後書きでも少し触れたエブラーナの忍術についてです」

 エブラーナの忍術についてなんですが、実はこれエブラーナの歴史と密接な関係があったりします。

 なのでエブラーナの国の興りから解説しますが、発祥は大昔にシクズス(FF6)のドマ国と争って負けた国のサムライが落ち延びて、フォールスで国を作ったという設定にしようかと。ここら辺は今適当に考えたので、のちのち設定が変わる可能性大ですが。

「せんせー、教科書(設定資料集)と全然、設定が違うんですけど」

 だから、今更そんなこと言われても。

 ・・・あ、でもNTT出版の設定資料集についてはマジで後悔。
 FFIF始める時に、持っては居たけど紛失してしまってどこにも見つからなかったんですよねー、これ。
 もしも、これがあれば世界設定かなり違っていたかもしれません。

 さて、そんなわけでFFIFでは元々サムライの国だったエブラーナですが、サムライたちは近隣一帯を支配した後、なんと世界征服に乗り出します。

「ガストラみたい」

 まあ、国が順調に勢力拡大していったら、最終目標は世界征服でしょう。
 太閤様だって日本を統治したら朝鮮出兵に乗り出しましたし。失敗したけど。

「じゃあ、エブラーナもやっぱり・・・?」

 当然、失敗しました。
 とりあえず海を越えて手近な大陸に攻め込んだんですが、そこはバロンの領地。
 そのバロンと激突して、その戦争が最近まで続いていたと。

「あれ? でも、エブラーナって一度滅ぼされたのよね?」

 うい。
 けれど、実は戦争の始まりの頃、バロンとエブラーナの戦力は拮抗してました。
 エブラーナの主戦力はサムライで、バロンの主力は貴族が所有していた騎士団―――なんですが、個体戦力ではサムライの方が圧倒的に上でした。

「バロン負けてるじゃない」

 ただ、バロンには虎の子の竜騎士の存在があったので。
 数は少ないですが、空からの攻撃にサムライたちは対抗手段が殆ど無く―――弓矢程度じゃ、目玉とか急所を上手く狙わない限り飛竜は落ちません―――陸戦では勝利しながらも、竜騎士を擁する貴族の強襲に撤退するという、一進一退の攻防が続いていました。

「あれ? 忍者は?」

 その頃の忍者は、主に諜報専門で、バロンに忍び込んで情報を探り、逆に偽情報を流して攪乱するくらいしかやってませんでした。

「暗殺とかは?」

 あんましやらなかったかな。
 成功しても失敗しても、警備が厳しくなって後々やりにくくなるから。
 ただ、国王や有力貴族の暗殺計画くらいは、何度か立てたかも知れない。

 さて。そんなわけでバロンとエブラーナの戦力は天秤のように微妙に釣り合っていたわけですが、その均衡を崩したのがバロンの暗黒騎士。
 新たに投入された暗黒騎士はサムライに対して有効な戦力となりました。

 遠くから放たれるダークフォースの刃に、刀が届かないまま倒れるサムライ軍団。
 なんとか近づいても、ダークフォースの恩恵受けた鎧は多少のことでは貫けず、その闇の剣によって返り討ちにされていく始末。

 圧勝していた陸戦が全く勝てなくなり、エブラーナは敗北敗走を繰り返した挙句、ついには城を落とされてしまいます。
 そうやって、エブラーナは一度滅んでしました。

「だけど忍者が取り返すのよね?」

 いえす。
 その頃の忍者は戦闘能力は低かったんですが、諜報専門だけあって隠れたり潜んだりする事は得意だったんですよ。
 それでエブラーナ各地に潜伏して、エブラーナの地を治めるためにバロンから派遣された領主に対して色々と厭がらせをしていたと。

「厭がらせって・・・」

 本当に最初は嫌がらせレベル。木の上から石を投げたりとか、悪い噂話を流したりとか―――酷くても、火を仕掛けるくらい?
 なんですが、その厭がらせがだんだんと発展していき、ただの厭がらせが、敵を倒すための手段へと変化していきます。それこそ先程ティナさんが言ったような ”暗殺” の仕方とか、敵を効率よく倒すためにはどうすればいいかを模索していき―――それで戦闘能力を高めに高め、最終的には領主やその部下を皆殺しにして、エブラーナの城を取り返してしまいます。

 それ以降、サムライに成り代わって、忍者達がエブラーナの国主となって今に至ると。

「サムライが勝てなかった暗黒騎士に、忍者達は勝てたの?」

 いいえ。
 単純な戦闘能力ならば、戦闘方法を身に着けたとはいえ、忍者よりサムライの方が上です。当然、暗黒騎士達にもまともにぶつかって勝てるわけがありません。

 だから、それらとは直接戦わず、夜襲を仕掛けたり補給を断ったりするなどして、搦め手で対抗しました。
 今までにない忍者の攪乱戦法に、バロンの軍団は良いように弄ばれ、それでもエブラーナの本土まで攻め込んで追いつめ、何度か城を落としたものの、また以前と同じように忍者達はゲリラ活動を繰り返し、城を奪い返します―――というのが、近年までのバロンとエブラーナの戦争、と。

 

 

******

 

 

 さて、ここからが本題です。

「あれ? まだ本題に入ってなかったの?」

 今回の本題は “忍術” だって自分で言ったじゃないですか。

「そう言えば、エブラーナの国の成り立ちは解ったけど、忍術について全く触れてなかったわね」

 さて、先程述べたように、初期の忍者には戦闘能力はなく、密偵としての技能しかありませんでした。
 そして “忍術” というものもなかったわけですが、その忍術の元になった技術が存在していたのです。

「技術?」

 うい。
 密偵として必要な技術を4つに体系化した “忍遁術” と呼ばれるものです。

 それぞれ。
 戦闘術、潜伏術、逃走術、隠形術と呼ばれます。

「・・・ “戦闘術” って、さっき戦闘能力は無いって言わなかった?」

 戦闘術と言っても、護身術に毛が生えたようなものです。
 まあ、攻撃は最大の防御ということもあり、敵を打ち倒す方法も含まれていますが、あくまでも基本は “敵を倒す” のではなく “敵に倒されない” ことを主眼に置かれています。
 さらには “戦術” なんかもここに含まれ、戦争の時に敵の施設に火を放って攪乱する方法なども含まれていたりします。

「潜伏術って言うのは?」

 密偵―――スパイ、って言った方が解りやすいかも―――として、敵の領域に侵入するための技術。
 変装術や、他人に取り入るための方法などが主ですな。

「逃走術は・・・逃げるための方法よね?」

 ですね。
 逃げる時の走り方から始まって、逃走経路の選び方とか、逃げる時に気をつけなければならない事。
 あとは追っ手を捲く方法なんかも含まれます。

 最後の隠形術は、その名の通りに隠れるための技術。
 隠れると言っても、単に姿を消すだけではなく、人混みに紛れ込むとか、とにかく敵の目を欺く技術です。

 これら4つの技術を状況に応じて組み合わせ、忍者達は敵の情報を探って国に持ち帰っていたのですよ。

「魔力―――念気だっけ? は使わないの?」

 魔法みたいな忍術を使うようになるのはもっと後ですね。

 さて、この忍遁術ですが、時代が移るに連れてその名称を変えていきます。

  “忍遁術” は単に “遁術” と呼ばれるようになります。
 4つの術もその性質から、火遁、水遁、風遁、土遁と呼ばれるようになっていきます。

「・・・戦闘術が攻撃的な “火” で、逃走術が疾風の “風” っていうのはまだ解るけど、潜伏術が水遁っていうのは?」

 水って言うのは色んなものに溶け込んだり、染みこんだりするじゃないですか。そこから。

 で、バロンの暗黒騎士団によってエブラーナが一度滅びた後、忍者達はエブラーナに潜伏し、バロンに対してゲリラ活動を進めていたわけですが、そこでこれらの遁術はより攻撃的なものへと変化していきます。

 その術の内容も、火遁水遁など、名についた属性に相応しく、火や水、風と言った地形や現象を利用したものとなっていきました。

「現象を利用すると言うと、雷がゴロゴロ鳴っているところに避雷針を立てて “雷神の術” ! とか?」

 色々と勘違いしてた私の嫌味ですかそれ!

 ・・・でまあ、それらの忍術を利用してバロンからエブラーナを取り返し、忍者国家エブラーナが出来たわけですが。
 その後、バロンとの戦争が激化して、けれど戦力的にはバロンの方が上なので、その後も何度か城を取られたり取り返したりしていたのですが、バロンとの戦争が始まってしばらくした後、エブラーナに一人の魔道士が現れます。

「魔道士? ミシディアの?」

 そう。
 その魔道士は心優しい魔道士で、長らく続く戦争に心を痛め、どうにかしなければならないとエブラーナを訪れました。
 そして、打倒バロンのために協力することにしたのです。

「え、それおかしくない? 戦争を終わらせたいなら、バロンの方について、エブラーナを滅ぼしちゃった方が手っ取り早いでしょ」

 うわ怖いこと言ってる人が居る!

 ・・・まあ、言いたいことは解りますが。ただ、エブラーナは何度潰しても忍者が野に潜んでゲリラ戦法繰り返すだけで、完全に滅ぼすことはできないので。
 だからその魔道士はエブラーナに協力し、バロンを滅ぼせないまでも、両者の戦力が拮抗すれば、戦争も停滞し、上手く行けば停戦にまで持ち込めるんではないかと考えたわけです。

 で、そのために魔法の技術をエブラーナに伝えたわけですが、エブラーナの忍者達には魔法の素養はありません。
 だからその魔道士は考え、遁術をベースに僅かな魔力だけで大きな効果を上げられる術を開発しました。

「それが “忍術” ってわけね?」

 いえす。
 そういうわけで、忍術の中でも “遁術” をベースにしたものはそれぞれ火遁、水遁、風遁、土遁と呼ばれています。

「ああ、じゃあエッジが使った “雷迅の術” に “雷遁” とかついてなかったのは・・・」

 遁術を元にした術ではなく、新しく生み出された忍術だからです。
 ちなみに遁術は先に挙げた四属性しか無く、 “雷遁” とか “木遁” とゆーのはありません。

 あとエッジさんが使った “火炎手裏剣” や “爆裂手裏剣” は炎を使った術ですが、手裏剣術に分類されるため火遁ではないです。

 エブラーナでは、手裏剣や投げナイフなど、物を投擲する技術をまとめて “手裏剣術” 。忍者刀やくないを使った技術を “忍剣術” と言いますが、これらはエブラーナが一度滅ぼされた後にできた戦闘用の技術で、遁術とは別系統のものとなってます。

「まとめると、忍術って言うのは元々は諜報活動のための技術だったのが、そこに魔力が加えられたことによって、今のようになったということね」

 元々が某落第忍者で、現在の忍術が某ナルトだと思って頂ければ(笑)。

 ―――あ、ひとつ言い忘れてた。
 エドさんが使った “乱れ雪月花” や、オーディンさんやセシルさんが使う “斬鉄剣” なんですが、あれは忍者のものではなく、サムライの技だったりします。

「斬鉄剣はともかく乱れ雪月花も? あれって幻術がどうの言っていなかったっけ?」

 ・・・サムライが幻術使ったって良いじゃないですか。
 ほら、某るろ剣に出てきた “心の一方” とかそんな感じで。

「・・・まあいいけど。あ、それで忍術はまあまあ解ったけど、エッジやジュエルが使っていた “忍法・壁抜けの術” って、普通の忍術とは違うの?」

 忍術の上位版が忍法。

 忍術を開発した魔道士なんですが、あの後エブラーナの当主と結ばれて子供を生みます。
 そんなわけで、魔道士の血を引くエブラーナ王家の人間は、忍術よりもさらに魔法に近い “忍法” を使えるというわけです(ジュエルさんも使えるのは、彼女も王家の血を引く、エドさんとは親戚筋の人間だったから)。

 ただし本編でも説明した気がしますが、魔法が “世界” に要請するのに対して、 “世界” を欺くのが忍法、ということになっています。

「欺く?」

 そう。無いものを有ると言ったり、有るものを無いと言ったり。
 壁抜けの術だったら “この壁は通り抜けられる” と世界を騙して通り抜けたり、 “天地無用の術” なら “重力なんて存在しない” と錯覚させる。
 場合によっては魔法よりも強力ですが、魔法のように何度も繰り返して使えたりはしません。

 ―――さて “忍術” についての解説はこれで終わり。
 ただ、いつもどおりになにかと穴があるだろうし、もしかしたらいつの間にか設定が変わってるかもしれないので、その場合はツッコミお願いします。

「読者にツッコミをお願いしておくってのもどうなんだろう」

 

 


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