タイトル 「 過去からの手紙 」 -990305〜 by.穂積 桂司
■ 第一楽章 〜プロローグ Vol.1 〜
□ 第一話 〜 冬の章 〜 シズマ・エドワード 〜
・・・ぼくは、たぶん・・・不幸な子供だったのかもしれないと
最近考えるようになった。
自分ではそんな事思いもしなかったのだけれど。
・・・ある、ひとりの人との出会いが。ぼくの人生の全てを変えた。
そう、変えてくれたのはきっとあのひとの、たった一言の言葉なのだ。
たったひとことの・・・それでも、ぼくの人生の全てを変えてしまう程の
「ちから」を持っていたひとことを・・・ぼくはけして忘れないだろう。
ミスター・カタセタム。 その人に、初めて会ったのは、秋でした。
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ヴァイオリンは3歳の頃から習い始めていたけれど、それほど熱心だったわけではなかった。
・・・単に、教養のひとつとして。「礼儀作法」や「テーブルマナー」などの、「夏木家の人間として」覚えなくては
いけない事柄の一つというにすぎなかったのだ。5歳の子供にも、やるべき事は山の様にあった。
音楽はけして嫌いではなかったが、さほど重要ではなかったのだ。 家に来る、多様な客達の相手をしなければならないときなどには、「当たり障りの無い話題」として手頃だった。 ・・・ぼくはそういう子供だった。昔から。
それが。突然。・・・世界は変わった!
いや。変わったのは、ぼく自信だ。
僕の中の何かが変わった! それはきっと、良い変化だったと今でも思う。・・・
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