湖 南 寺 め ぐ り

                         2015/04/05

私たちが内陣で拝観できるのは丈六阿弥陀如来坐像です。身の丈が一丈六尺ある阿弥陀如来です。

 つまり、仏教というのは大きく分けて三つのカテゴリーから成り立っているのです。

1. 哲学の完成。「空」の哲学の完成をめざします。達成すれば、「仏」になります。拝むのは聖観音。

2. 現世利益の追求。拝むのは十一面観音。

3. 未来利益の追求。極楽往生を目的とする。拝むのは阿弥陀如来。

ということになります。

画像50年に一度開帳される本尊・秘仏(写真は2012年の御開帳の際の写真)。まるで海坊主?

画像:藤原時代、重文

御本尊は春日厨子(下の写真)のなかに収められている秘仏です。

写真:本堂、国宝。貞観(じょうがん)年中(西暦859-877)

写真:左の三重塔(国宝)は応永7(西暦1400年、室町時代)建立。

画像:中央釈迦如来座像は平安時代末期、重文

3. 常楽寺

画像:Google Map

 御厨子の中におさめられている本尊は巨大な十一面観世音です。

 十一面観音は基本教典が「法華経」であります。現世利益の実現を願って拝む仏像です。ですから家産の増大、子宝の授与、病気の平癒、等々。なんでもかなえてくださる有難い仏像です・

薬師如来坐像

写真:聖観音立像。10世紀 重文

写真:阿弥陀如来坐像、10世紀 重文

1. 阿弥陀寺

画像:Google Map

現在も京都大学には美術研究会というサークルはあるのですが、このサークルとはあまり関係がなく、「上野先生の徳を偲び仏像・仏閣を訪ねる」ことを目的としての別建て懇親会なのです。

懇親会とはいえ、全員が上野先生による精密な仏教・仏像講義を受講して基本的な知識を身につけていますし、案内役の方々はほぼ全員セミプロですから、リーダーの話を聞くだけでも楽しい会になっています。会ができてから60年ほども経っているので「おじじ・おばば」グループになっていますが、皆さん至極達者で健康でありますから、この会はまだ少し続くことになるでしょう。

 今回は昭和37年卒業の美研8回生が幹事役を引受けてくださいました。訪ねる場所は滋賀県甲賀近辺です。

 まずは甲賀市の阿弥陀寺とそのすぐ隣の檪野寺です。

4. 長寿寺

 蓼科滞在中は京都への旅行時間があまりにも永くて敬遠していたのだが、住居を金沢に移してからは京都は時間的にも金額的にも近くて行きやすくなったので、大学時代のサークル「京都大学美術研究会OB会」の例会に出席してきました。

 このサークルは京都大学教養部の哲学(美学)教授上野照夫先生が昭和3040年代に週末に学生を連れて京都・奈良の古寺巡りをしてくださったことに端を発しているサークルなのです。ですから「美術研究会」とはいっても実態は「古美術研究会」であり、有体にいえば「仏像・仏閣研究会」なのです。

 これで本日は終了です。

 参加者の方々は京都大学時計台記念館「ラ・トゥール」で懇親会に出席されたのだが、私たちは翌日の奈良見物のため、JRで奈良市に向かいました。京都の鴨川沿いの道はピンク色の枝垂れ桜で彩られ、見事な美しさでした。


 では皆様、ご機嫌よう。

 阿弥陀如来というのは主要教典が「阿弥陀経」で、死後の世界での成仏を願って拝む仏像です。極楽往生することを目的とします。

画像:長寿寺パンフレットから

2. 福生山檪野寺(らくやじ)

 聖観世音という仏像は、哲学の完成を願うための仏像です。基本教典は「般若経」、「般若心経」です。悟りを得たいと願う人が拝む仏像です。「観世音」というのは悟りに達する前の仏でありますから、装飾にあふれる美しい姿をしています。

写真:檪野寺(らくやじ)

弁天堂の枝垂れ桜

 釈迦如来というのは釈尊への帰依を(仏教への帰依)を申し述べるための仏像です。

画像:長寿寺パンフレットから 藤原時代、重文

画像:檪野寺絵葉書から 10世紀後半 重文

 薬師如来というのは同じく法華経ですが、目的が病気の快癒に限定されています。

 次は湖南市に移り湖南三山のうち常楽寺と長寿寺です。

画像:檪野寺絵葉書から。12世紀中頃 重文