金沢は私の生れ故郷なのだが、冬の間、天候が悪くて表日本の快適さはない。では悪いことばかりかというとそうでもない。食べ物がうまい。近江町市場に出かけて観察すればすぐわかるが、金沢人は食べ物に関する支出が格段に多いし、魚の種類も豊富である。わけてもズワイガニの美味しさはとびきりだが、値段もとびきり高い。

 11月中は好天が続き、卯辰山の紅葉を楽しんだのですが、12月に入るや、曇天で雨模様となり、シベリヤから寒気団が押し寄せると、寒くてつらい北陸の冬になってしまった。霙(みぞれ)が降ってくると写真をとる気分にもなりませんから、しばらくは写真もなし。


 そうそう新居に光フレッツを入れたので、かねてから注目していたLumix FZ1000(ライカの日本版)を価格ドット・コムで購入した。NTTから補助金が出てカメラの価格が4万円も安くなり、¥38,000で買うことが出来た。こんな立派なカメラを手にいれたのに写真を撮る機会がなくなってしまい、残念です。


 では皆様、ご機嫌よう。

金  沢  短  信   (1)

                     2014/11/19

 いろいろ考えた末にやはり伊豆高原がよろしいな、と結論をだして大蔵大臣に相談したら、たちまち否決されてしまった。どうやら女には「夢未来構想にもとづく男型腹決め提案」に反対する「女型胸先三寸」があるようで、その胸先三寸とは要するに「金」なのだ。「金」がかかることにはすべて反対するのである。老人が死ぬ前に自分で稼いだ金をすべて使ってしまおう、と目論見をたてても、これは畢竟「越すに越されぬ箱根の山」なのだ。娘も瞬時に結論をだしたが、大蔵大臣と同意見であった。つまり、「女型」思考方法にはブレがないのだ。

 結局、大蔵大臣の実家が所有している金沢市のマンションの一室があいているから、「そこに住みなさい」と指示が出た。賃料・管理料はタダだが、光熱費・通信費は自分でだしなさい、という条件だった。まあ、年金生活者にはとてももったいないような魅力的な条件ですが。

 1119日に水抜きをし、電気のブレーカーを落し、別荘を「死んだ」状態にしてから、車で250km金沢まで走りました。

 先月11月の中頃、生まれ故郷の金沢市に引っ越ししました。

 昨年の冬が異常気象だったせいか、ひどく寒くて、家のなかはセントラル・ヒーティングの温風で暖かいのですが、床下はヒーティングなしですから、忘れもしない20131231日、突然水道管が凍ってしまった。水道のカランをひねっても水が出なくなったのです。すべての水道管は凍結防止帯をまきつけて通電しているというのにです。頭にきますよね。

 寒冷地にお住みの方はこのようなときに感じるパニックをご理解していただけるだろうと思うのですが、そのまま凍結した水道管を放置すると、氷の圧力で鉄製の水道管が破裂するのです。そうなると破滅的な事故になりますから、凍結した水道管が破裂する前に直ちに解凍させる必要があるのです。

 その日はなんと大晦日でした。知り合いの水道屋に電話して来てもらい、かちかちに凍り付いている地下室にツルハシを使ってなんとか入室し、凍結箇所を解凍してもらいました。どうやって解凍するのかって? 大きな変圧器を持ち込み、水道管を巻いていた断熱材をはずし、クリップを凍結箇所をはさんで水道管に食い込ませ、あたかも水道管をニクロム線に見立てて電流を流すのです。鉄製の水道管は発熱し、氷が溶けるのです。

2. 第二案ですが、温泉好きの私はやはり温泉第一ですから、温泉となるとやはり別府ということになります。昨年すでに実地検分いたしましたから、様子はわかっています。最高なのは昔の一流ホテル、改造されて現在はマンションになっている鉄輪のバーデンハウスです。ここがよい。別府にはアパートも沢山あるのだけれども、6ヵ月の短期貸し出しはやっておらず、また60歳以上の年寄りには難しい制限がつく。何時死なれても貸料が取り立てられるように保証人を立てる必要があるとか、等々問題が多いのだ。

これでことなきを得たのですが、年が明けてからもトラブルが続き、排水管が二箇所で凍結、排水ができなくなりました。さらに先日解凍した水道管が再度凍結するなど、トラブル解消に約一週間使い、疲れ果てました。

 原因は最近頻発する極端な異常気象の所為だと思うのですが、そもそも蓼科の家も建ててから30有余年たって老巧化してきたことにも原因がある、という判断をくだしました。日本の山地で旭川なみの寒さを誇る蓼科に、冬も住み続けるという私の酔狂ぶりにも無理があったのです。

 幸い私の原稿書きも119日に終了したので、静かな蓼科に居続ける必要もなくなっていました。そこで冬の間は蓼科から逃げ出すことにしました。

 逃げ出す先はどこか、いろいろ考えましたよ。

1. 伊豆高原で冬用の別荘を買う人がいます。伊豆高原は冬の間は天気がよく、温泉もあるのでここが最有力候補となりました。私には一戸建ての別荘を買う資力はないのですが、むかしからある中古マンションの一室を買うことくらいならなんとかなりそうです。

写真:兼六園のなかでも人気抜群の徽軫(琴柱、ことじ)灯籠

写真:琴柱灯籠なのですが、右下を見てください。珍客青鷺がいます。