パターンあやとりの世界


第3章:三本指パターンあやとりにおける様々な装飾処理・終了処理

3.ダンスの舞台 [終了処理]

 「ダンスの舞台」という美しい伝承あやとり作品があります。

Fig.3-31 : 「ダンスの舞台」
  1. 人差し指の構え
  2. 全ての指を向こうへ1回転ひねる
  3. 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取り、小指を外す
     (=小指の輪を、人差し指の輪の下から上へ通して親指に移す)
  4. ダンスの舞台の終了処理
    1. 小指を人差し指の輪の下を通って親指の輪に上から入れ、
      親指の向こうの2本の糸を掌に押える
    2. 親指で、人差し指の手前の糸を人差し指近くで取る
    3. 親指で2本の糸をナバホ取り
    4. 人差し指の向こうの糸を親指で取って人差し指を外す
      (親指から外した2本の糸を蝶番にして人差し指の輪を親指側に折り返す感じ)
    5. 人差し指で、親指と人差し指の外側の糸にかかる2本の糸を向こう側から取る
       取るのは手順3で親指からナバホ取りで外した2本である
    6. 親指を外し、人差し指と小指で展開する

 間違えずに取ると、最後に展開したときにいきなり完成形が現れるすばらしいあやとりです。後半の「ダンスの舞台の終了処理」、これはよく出てくる手順なのですが慣れないとわかりにくいので簡単な図を描いてみました。

Fig.3-22a:「ダンスの舞台」の終了処理
小指で親指の向こうの2本の糸を押えている前提で、
  1. 親指に輪(赤)が2つ、人差し指に輪(青)が1つかかっている。
     緑のマルの糸を親指で取る
  2. もともと親指にかかっていた2本の輪(緑のマル)を外す(=ナバホ取り)
  3. 親指で人差し指の向こうの糸を取って人差し指を外す
  4. 人差し指で緑のマルの2本を取って親指を外す

以下は余談ですので読み飛ばしていただいて結構です。

  後のページの「アムワンギヨの終了処理」でご説明しますが、この手順はナウルではこんな風に取ります。(今度は右手の図だと思ってください。)

Fig.3-22b:「アムワンギヨ」の終了手順
右手の親指に青の輪が2つ、人差し指に赤と緑に塗り分けた輪が1つかかっていると思ってください。
  1. 親指の2つの輪(青)の下から人差し指の手前の糸(緑)を左手でつまんで引き出す
  2. 人差し指の向こうの糸(赤)も(緑と)一緒につまみ、人差し指から外す
  3. 親指の青の2つの輪を小指に移し、つまんでいる赤と緑の輪を親指にかけて左手を離す
  4. 人差し指で緑のマルの2本を取って親指を外す
  5. 人差し指で小指の手前の2本の糸を取って、親指を外す

  同じ操作になっているのがわかるでしょうか。(実際にやってみるとわかると思います。)


 この「ダンスの舞台」も終了処理の前に3本の指の輪をひねっていますが、仮にひねらないとどうなるか、実験してみましょう。

Fig.3-33a:人差し指の構えからひねらないでダンスの舞台
  1. 人差し指の構え
  2. 親指を人差し指の輪に上から入れ、小指の手前の糸を取る
  3. 小指を外す
  4. 「ダンスの舞台」の終了処理

 これは、「人差し指の構え」から人差し指の輪を通して親指と小指の内側の糸を取り合って人差し指を外したのと同じ結果になりました。


 次に、親指・小指を半回転向こうへひねってみましょう。以下、小指の糸を人差し指の輪の中から親指に移す処理も含めて「ダンスの舞台」の終了処理と呼びます。

Fig.3-33b:外側の指だけ半回転ひねる
  1. 人差し指の構え
  2. 親指と小指を向こうへ半回転ひねる
  3. 「ダンスの舞台」の終了処理

 「7つのダイヤモンド」と同じパターンができました。前節の「親指と小指を取り合う処理」では、1回転ひねると同じ結果になりました。「ダンスの舞台」の終了処理の場合、1回転ひねると、射影図としては「ダンスの舞台」そのものと同じパターンになります。

 では、1回転半ひねったらどうなるでしょうか。ダイヤ型がもっと増えるでしょうか。面白い結果にはなりますが、残念ながらダイヤ型が増えるということはありません。


 次に、「ナウルの太陽」と組み合わせてみましょう。

Fig.3-34a:「ナウルの太陽」→外側の指を半回転→「ダンスの舞台」
  1. ナウルの太陽
  2. 親指と人差し指と小指を向こうへ半回転ひねる
  3. 「ダンスの舞台」の終了処理

 糸の上下は異なる箇所がありますが、射影図としては「ダンスの舞台」と同じものができました。

 ということは、ナウルの太陽の後でダンスの舞台を取ると…(長いあやとりひもに変えたので色が違います)

Fig.3-34b:「ナウルの太陽」→外側の指を1回転→「ダンスの舞台」
  1. ナウルの太陽
  2. 親指と人差し指と小指を向こうへ1回転ひねる
  3. 「ダンスの舞台」の終了処理

 ダイヤ型を増やすことができました。


 さらに、「ナウルの太陽」を2回やってみましょう。

Fig.3-35a:「正ナウルの太陽」2回→「ダンスの舞台」 Fig.3-35b:「正ナウルの太陽」「逆ナウルの太陽」→「ダンスの舞台」
  1. 正ナウルの太陽(1回目)
  2. 正ナウルの太陽(2回目)
  3. 親指と人差し指と小指を向こうへ1回転ひねる
  4. 「ダンスの舞台」の終了処理
  1. ナウルの太陽
  2. ナウルの太陽
  3. 親指と人差し指と小指を向こうへ1回転ひねる
  4. 「ダンスの舞台」の終了処理

 ちょっと複雑になってしまいました。


 もう1つだけ試しておきましょう。「ダンスの舞台」の最終形は小指と人差し指に2本ずつの糸がかかっています。これを親指と小指に構え直すと、ナウルの終了処理をすることができます。 

Fig.3-36a:「ダンスの舞台」から「ナウルの終了処理」
  1. ダンスの舞台
  2. ナウルの終了処理
(すみません説明になっていません)

 「ダンスの舞台」は完成されたデザインなので、ナウルの終了処理を加えると蛇足な感じがしますが、中央に配置するパターンによってはこの終了処理を付け加えたほうが良くなるものもあります。


 実は「ダンスの舞台」は4本指や5本指の構えから始めるともっと素晴らしいのですが、それは4章以降でご紹介したいと思います。

[← 前へ] [↑ 目次へ] [次へ →]


2021.05.08
長谷川 浩(あそびをせんとや)


(c)2021 長谷川 浩
ご質問、コメント等はこちらへ