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円環状ボードで遊ぶ3人用チェス

 こんな画像を見かけて、「おやっ?」と思いました(図1)。

図 1

 調べてみると、3 MAN CHESS in the round という3人でプレイする変形チェスのようです。六角形の盤で遊ぶ3人用のチェスはみたことがあったような気がするのですが、円環状の盤面のものは初めて見ました。いったいどんなルールなのか、上記のページに記載されているのを読んでみました。なお、以下の図は公式ページでルールを解説するために使われている図を半分のサイズに縮小し、トリミングさせていただいて使わせていただいています。

 図2が初期配置です。(ルールブックには「キングは白のマスに置く」と書かれていますが、公式ページの図ではグレーのマスにキングが置かれた図で統一されています。図1の写真ではキングは白マスに置かれています。) 1陣営が用いるコマのセットは通常のチェスとまったく同じです。プレーする順番は、時計回りに白→灰色→黒の順番になります。

図 2 図 3

 図3は白のキングがチェックメイトされた状態です。図が小さいので、部分的に大きな図で説明します(図4)。

 仮にこれが灰色の手番の直後だった場合、次は黒の手番ですから、黒のナイトは灰色のクイーンかルークを取ることができます。(まあ普通はそういうプレーはしないでしょうけれども。)そうすると白のキングは危機を脱することができます。一方、この盤面が黒の手番の直後だったとすると、白のキングは逃れられません。

図 4

 ここで白のプレーヤーがゲームから退場します。盤面に残っている白のコマは、キングも含めて全てその場に残され、自ら動くことはありません。(それ以降、白には手番は回らない。)残った2陣営のプレーヤーは、白のコマを盾(遮蔽物)として使うこともできますし、その場所に行きたければ「取る」(キャプチャする)こともできます。

 コマの動きは通常のチェスと同じです。キングのキャスリング、ポーンのアンパッサン(En Passant)も通常のチェスと同様に存在します。ただし、初期状態でいきなりルークどうしが取り合ったりしないように、陣営の境界の一番外側には堀(moat:太い緑色の線で表現)が設けられており、通常はそこは乗り越えることができません。(ある条件を満たすと、そこに「橋」が架けられて通れる場合があります。例えば、図4の例のように白が敗退していなくなっている場合、白の両側の「堀」は存在しないとみなされます。)

 また、陣営の境界の外側から2マス目と3マス目には小川(creek:細い緑色の線)があり、ポーンは小川を越えて「取る」(キャプチャする)ことはできません。他のコマ(大ゴマ)は移動の際に小川の影響は受けません。ポーンも、中央を通過した後は小川の影響はありません。ポーンは、最外周まで進むと、通常のチェスと同様に「成る」(プロモートする)ことができます。

 図5はルーク(将棋の飛車)の動きになります。中央の黒い部分は「マス」ではないので、移動するコマはそこに留まることはできません。図5の青く色付けされた部分が白のルークが進める範囲で、赤いマスにいるコマがキャプチャできる相手のコマです。図6、白のビショップ(将棋の角)と黒のビショップが互いに相手を捕える位置にあることを示しています。将棋の角のコマの利きも初心者にはわかりにくいと言われますが、円環状ボードの斜めの利きはさらに難しいですね。

図 5 図 6

 ナイト(八方桂馬)の動きも、中央を越える駒の利きはとてもわかりにくいです。通常のチェスではナイトの動きは必ず盤面の色が異なるマスに利いているいるのですが(図7)、中央を越える動きでは色が変わりません(図8)。

図 7 図 8

 最後にクイーン(飛車と角を合わせた動き)の利きです(図9)。通常のチェスでも十分に強力なコマですが、円環状ボードのクイーンの利きの広さは驚異的(脅威的)です。

図 9

 詳しいルールは公式ページをご覧ください。ルールはよく考えられていると思います。本当のところはプレイしてみないとわかりませんけれども。 

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2019.12.15 hhase