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菱形の箱

 布施知子さんという折り紙作家がいらっしゃいます。折り紙というのも様々なジャンルがありますが、布施さんはその中でもユニット折り紙の大家で、箱や多面体の作品がたくさんあります。

 折り紙の多面体や箱というのはとても美しいのですが、ユニット折り紙というのは苦手です。とにかく同じものをたくさんたくさん作らなければいけない、というのがとても苦痛なのです。そこで、布施さんの作品の中でも、一枚折りの多面体や箱がとても気に入っています。

 中でも特に好きなのが、本日ご紹介する菱形の箱です。これは、普通に私たちの身の回りにある1対ルート2という比率の長方形(シルバー長方形)1枚から折ることのできる箱で、比較的簡単ながら見栄えがよくて、とても気に入っています。

 これは布施さんの作品なので、完成品の写真だけをご紹介して、折り方に関しては本をご紹介するにとどめようと思ったのですが、10冊くらい持っている手元の布施さんの本の中を探しても折図が載っていません。(といっても布施さんの本はもっとたくさん出版されています。)そこで、折り方の途中経過を写真で簡単にご紹介しようと思います。説明は不十分ですので、私の説明でわからない方は本を探していただけたらと思います。

 図1
 長方形の紙を縦に二等分するように谷折りします。この菱形箱は完成すると外側も内側も用紙の同じ面だけが見えるようになります。最初に折るのは、紙の裏側(完成すると見えなくなる側)からはじめます。
 今回は、A4のサイズの方眼紙を使って折ってみました。
 図2
 紙の右下を最初の折り線にあわせて、紙の左下が尖るように折ります。これで30度、60度の角度が折れます。
 図3
 紙の左下の頂点を、図2で折った用紙中央の頂点に合わせます。図2で見えている折線がちょうど谷折になります。
 図4
 同じ頂点をすこしずらして折ります。こうしてできるひとまわり小さな正三角形が、出来上がりの菱形箱の底のちょうど半分になります。また、ずらした分の幅が、出来上がりの菱形箱の高さになります。適当な巾で折ってみてください。
 図5
 図4の折り線を一度ひらいて、図3の折り線で折りなおします。その後で、図4でつけた折り線で谷折します。これが箱の側面になります。
 なお、写真ではわかりにくいですが、この段階で菱形の左上および右上の線(写真でちょっと影が見えているところ)に沿って谷折の折り線をつけておいてください。
 図6
 図5でつけた、箱の左下の側面の下の折り線にあわせて、用紙の上半分を左上から右下に向かって折ります。
 図7
 図6で見えている、最初の長方形の2つの直角の頂点をあわせるように、右上から中央下に向かって折ります。斜めに見えている折線が、谷折になります。(最初に図1で長方形を縦に二等分した折り線です)
 図8
 菱形箱の側面を、左上、右上、右下、と谷折しておきます。このままでは側面同士がつながりません。
 図9
 ここで一旦、右上、左上、左下の順に図2のところまで開きます。折り線がついています。これ以降、側面と側面の角を折り出しながら再び箱の形に組んでいきます。
 次の写真は向きが変わります。
 図10
 この図だけが向きが変わります。画面右上に見えている角が、前の図の左下の、最初に折るべき角です。側面が垂直に固定されるように、余った部分を写真のように畳み込んで処理します。  
 図11
 再び元の視点に戻ります。このように、右下と左下の壁を垂直に立てながら、左下の角を折り線に沿って戻します。
 図12
 次に左上の角を折り込むのですが、ここでも菱形の左の頂点の部分の壁が垂直になるように、余った部分を畳み込む必要があります。これは写真のように畳み込みます。
 図13
 左上を畳み込みました。これで菱形箱の下の頂点と左の頂点の部分は完成です。
 図14
 最後に、右上の部分を折り込みながら、菱形箱の上と右の頂点の部分の処理を行います。いままでの2つの頂点の処理と同じように、残りの側面が垂直になるように余った部分を畳み込みます。
 図15
 これで箱の形ができました。最後に、あまった部分を箱の底に折り込みます。これによって見栄えがよくなるのと同時に最後に折り込んだ部分がめくれてしまうのを防ぎます。
 図16
 完成です。お疲れ様。

 同じ大きさの用紙を使って、図4で折る巾を調節することによって、ぴったり合うふたを作ることができます。

 身の回りにある比較的大きくて丈夫なシルバー長方形というと、新聞の折込チラシ広告の紙などが便利です。ただしチラシ広告の紙は折り線が見にくいため、最初はきれいなコピー用紙などを使って練習してみたほうがよいと思います。折り方がわかったらチラシ広告などいらない紙で作ると、ちょっとした屑物入れなどにお勧めです。

 布施さんの一枚折の箱というと、ほかにも正三角形の箱とか直角二等辺三角形の箱とかもあるのですが、作りやすさと出来上がりの安定度と見栄えという点で、この菱形箱がとても気に入っています。

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2003.01.05 hhase