画像:


平家納経法師品

 
平清盛(1118-81)が一門の繁栄を祈願し
て、長寛二年
(1164)九月、厳島神社の本
地仏である十一面観音に奉納した経巻で
ある。

 金銀の切箔・砂子・芒(のぎ)を散ら
した地に、十種供養の道具である幡(ば
ん)・蓋(がい)や、羯鼓(かつこ)・
笛・磬(けい)といった楽器が描かれて
いる。

日本の箔の歴史


本資料作成にあたり、堀 悦明氏作成による
『黄金物語』を参照させていただきました。




西暦55310月、『日本書記』

――百済の聖明王が欽明天皇に、金銅(銅製金
 メッキ)の釈迦像を送ってきた。

  「仏の相貌(かお)
端厳(きらきら)し」
 と天皇が喜ぶ。

  三十二相八十種好の様式も輸入された。


西暦607年、斑鳩の法隆寺が創建された。

――釈迦三尊像、百済観音像等が百済から輸入
 された。

西暦1164年、平清盛の平家納経。

――巧妙を極めた切箔、野毛の使用。
  別名「厳島経巻」


西暦1183年、『続東大寺要録』

――六月、治承の兵火で焼け落ちた東大寺仏頭
 の再鋳が完成した。使用した水銀は
10,000両、
 金は
1,000両、金箔は100,000枚であった。

画像:

高松塚古墳
天上の星宿図、
飛鳥資料館
直径約1cmの金箔を貼ったのが星で、
それを朱で結んで星座を表わしている。

日本最古のプラネタリウム。

画像:

勢至菩薩像、 
法隆寺大宝蔵殿、
木造、
白鳳時代


台座までクスノキの一本造りで、そ
の上に漆を塗り、
金箔をおく。当初の
ままの漆箔(しっぱく)である。

資 料 (1)

西暦749年、奈良東大寺の大仏

――聖武天皇の命による大仏の鋳造。
  本体は青銅製で、アマルガム法による
 金メッキ


  使われた材料は、

  銅     499t
  金     440kg
     水銀    2.5t
  錫     8.5t

   陸奥の国で砂金の本格的な生産開始。


西暦8342月、仁明天皇の詔勅。

――あまりに華美であることから金箔の使用
 禁止令

  これより先に金箔の製造法は確立された?

西暦931年、『和名抄』(931-938)

――箔を切るための道具、竹刀に関する記述。
  「以竹刀金銀箔也」
  
竹は篠竹の煤で古びたものをそぎわりにして
 作る。


西暦967年、延喜式の禅正式。

――金銀箔泥の飲用と使用の禁止条項
  箔を切るときに使う皮盤についての記述。
 (皮を使うこと)



西暦970年、『宇津保物語』嵯峨院の巻。
「あるはしらかさねのはくちらしたるしらばかま」

――蒔絵、障壁画、仏像のみならず衣服にも用い
 られた。



西暦9997月、一条天皇の御世、大政官符。

――六位以下のものが金銀箔泥を使用した団扇、
 火桶及び螺鈿の鞍の使用の禁止