解説 平面バッフルに拘り、ユニットの種類や構成を変えるなどの試作を数回繰り返してきました。 バッフルの不要共振は極厚のバーチ合板で解決する。それでもあまりに面積が広いと振動して付帯音が付いてしまう。 ユニットが取り付けられる面積分を最小限確保し、その面積不足分を補足する為にもフロントショートホーンで60〜70Hz迄の下限に挑戦します。 かなり低めの中低域迄をコンプレョンドライバーでカバーするので低域と中低域との音質差を少なくする意味でも フロントショートホーン採用の音質面での意味が大きくなると考えています。 今迄の試作機の方がバッフル面積広く、計算上は最低域が出易い筈、何故かこのシステムは圧倒的に下限まで低域が出て量感も出ている。 ユニットは振動板とフレームが反作用動作するのでバッフル強度不足で(スタートする陸上選手の利き足が柔らか地面ではダッシュが出来ない) ユニット本来の動きが反作用動作でキャンセルされると考えられる。これはユニット前後の逆相の回り込み低域キャンセルとは違います。 更には完成型のバッフル板+スタンドとの合計質量が今までの試作品に比べて圧倒的に重くバッフル板の最低共振周波数が下がった事による 現象では無いかと推測します。もう充分に低域は出ています、パイプオルガンやコントラバスなどの正確な帯域再生以外では。 元々平面バッフル方式で最低域迄出そうなどとは考えていませんが。 現状での音質は 前回と大きく違う点は .最低域に46cmウーファーを追加 .それに対応して4wAYから5wAYに変更 .パワーアンプを廉価版デジタルパワーアンプ方式のAVアンプから中上級機のアナログアンプ方式AVアンプに変更 JBL2245(18インチ46cmウーファー)2台を最低域用ウーファーとして増設しました。 平面バッフルに方チャンネル2台搭載したJBL2235(15インチ38cmウーファー)の最低域をカバーします。 これで平面バッフル方式の最大の欠点の一つである最低域再生が可能となります。 駆動は今迄の4wAYに低域側を追加して5wAYとしてシステムを組みます。 シアター用などの0.1chとは違い正式メンバーとして組み入れます。 今は止むを得ず中高域ユニットをバッフルの上に載せているので上下のユニット間の距離が1300mmも離れています(汗!)。 最終的には仮想同軸になりますが、その辺の位置関係は今は無視します。 又、今回はMid-lowとしてJBL2206(30cm)を使いますが、それはJBL2235の受持帯域を軽くして良好なピストン領域を確保しようという 新しい取り組みです。受け持ち帯域をどの辺にするのかは試行錯誤する事となるでしょう。 フルデジタルチャンデバによるクロス点の減衰カーブは事実上は垂直になる程に設定できるのユニット間の干渉は避けられる筈です。 もう一つ、コンプレッションドライバーはJBL175/JBL-LE85/コーラルM-100等の1インチドライバーに対して今回はJBL2450Jの2インチを使います。 1インチでは低域の量感に不足を感じていた為です。その意味で今後はJBL2405が非力に感じられるかも知れません。 試聴の印象は低音の量感、反応は申し分有りません。2450Jは頑張っていますがバイラジアルホーン2385Aは全く非力で早くオリジナルの 実用域300Hz程の大型ホーンを付けて上げたいです。2385Aの弱さに助けられて2405は頑張っています。 このシステムで聞けば音像の大きさや音の質量(重さ)も感じられると思います。ドラムセットが等身大で見えて(聞こえて)来ます。 ライブハウス等でジャズ演奏を最前列で聞けばパーカッション類のアタック音に、金管の張り裂ける様な空気感にショックを受けて 感動、動揺する事でしょうが、それに近い生々しさがあります。聞いていると脈が速くなって来るのが分かります。 勿論まだまだ未完成で荒々しい粗雑な音ですのでかなりの時間をかけて調整して行く事になると思います。 既にフルデジタルチャンデバの開発者が来訪されて直接 Jazz-Machine のセッティングを行ってくれました。(4wAY 対応時の時) その効果を簡単明瞭に説明しますと、音が優しく、まとまりが良く、音像も肥大していたのが等身大に近づいて来た。 まるで数頭立ての馬車に繋がれた荒くれ馬が上手く調教されて巧みな御者に寄って走っている様です。 直線は早く、コーナーも高速で安定し、乗り心地が良く長く走れる。 何とJazz-Machineでクラッシックも聴ける様になって来ました。 全体のグレード、品質が上がって来たと言えるでしょうか。 |
|
仕様 1.ユニット : 最低域 JBL 46cm 8Ω 2245H(プロ用) 1個搭載エンクロージャーを2台 低音 JBL 38cm 16Ω 2235H(プロ用) 2台 中低音 JBL 30cm 8Ω 2206H(プロ用) 中音 JBL 2450J コンプレッションドライバー(プロ用) JBL バイラジアルホーン 2385A(プロ用) 高音 JBL ホーンツイーター 2405(プロ用) 2.エンクロージャー方式 : .平面バッフル 低域再生限界周波数(理論値)70Hz .平面バッフル+ショートフロントホーンで80Hz付近迄を再生 .約80Hz以下は JBL 2245(46cm)2発のサブウーファーで補正 3.ネットワーク : .フルデジタルチャンネルデバイダー使用による5Wayマルチアンプ方式 (スピーカー単体での特性と室内音響特性を測定して補正する機能を有する) 製品名 SSC デジタルオーディオプロセッサー (ロールオフ特性-6dB〜-120dB) (ディレイ回路による位相特性補正) (レベル調整/極性切り替え) 2245H =20Hz 〜80Hz 2235H = 〜200Hz 2206H = 〜350Hz 2450J = 〜10KHz 2405 = 〜20KHz 4.使用アンプ : AVアンプ pioneer VSA−AX5Ai 2台/10chによるアンプ駆動 5.使用D/Aコンバーター : M-AUDIO PROFIRE-610 1台 SSC専用機サンプルレートコンバーター 1台 CARAT-SAPPHIRE styleaudio HI-END MINI DAC 1台 6.ノートパソコン : WINDOWS7対応/IEE-1394インターフェース装備 |
画像と補足 | |
バッフル部分は完成しています。 中域ドライバーとホーンは仮付けでバッフル上部に載せています。 今後、このバッフル全体にフロントショートホーンを取り付け、 その開口部の中心にオリジナル製作する中域ホーンが取り付きます。 完成は未だ先となりそうです。 46cmサブウーファー2台が追加されました。 |
アンバランスな程に背が高い。 |
バッフルを自立させるスタンドは鉄で特注製作しました。 105mm木製柱で挑戦しましたがバッフルとの取付強度が不安で 止む無く非常に希ながら鉄という素材を使いました。 鉄製スタンドとバッフルは10mmのボルトナット16本で止めています。 この画像の状態で既に120Kgあります。 完成すると200Kg近くになる事でしょう。 |
バッフルはバーチ合板24mm厚3枚重ねの72mm厚。 バッフル板だけでも運ぶのが苦痛で危険を伴います。 鉄スタンドは錆止めと塗装を行います。 キャスターもφ100/耐荷重75Kgを6個使う事になります |
46cmユニットを強靱に受け止めるエンクロージャーは 全面にバーチ合板を採用、バッフル60mm厚/その他30mm厚。 補強板の補強をする程に強力な不要振動対策を行っています。 エンクロージャーの何処を叩いても鳴く様な箇所はありません。 |
ユニットを含めると1台60Kg有りますので一人での持ち運びは不可能。 大型キャスターを付けて移動式にしています。 今はスペースの関係でウーファーを重ねて使用。 単体測定では25Hz-3dB/20Hz-9dB迄伸びていますので充分です。 シアター用などの効果音は要りません、音楽用として充分な低域再生と 解像度を備えており満足しています。 |
現在のシステムの様子 |
完成イメージのラフスケッチ |
SSC デジタルオーディオプロセッサーの概要機能を下記に示します。 従来のアナログ式チャンネルデバイダーや単機能デジタルチャンネルデバイダーでは考えられなかった様な 高度なセッティングが容易に出来てしまいます。 まるで一生をかけてマルチアンプ方式をまとめ上げて行くと言っていたのは過去の物となりつつあります。 ネットから高品質な曲をダウンロードして再生するPCオーディオにも対応しています。 ホームシアターなどでは多チャンネルセッティングの難解さを自動測定/補正するAVアンプの機能は最早常識となっている様に ピュアオーディオの世界でもこの様な機材の手伝いを借りてハード的な基本セッティングは機械任せとし、 後は自身の官能表現をどう生かすかにエネルギーを傾注出来るのは一考の余地があるのではと考えさせてくれる きっかけとなってしまったシステムとなりました。 |
フルデジタルチャンネルデバイダーでJazzMachineを駆動しています。 |
フルデジタルチャンネルデバイダーによるシステム構成です(SSCのマニュアルを抜粋)。 上記画像はこのシステム構成により接続されています。 |
フルデジタルチャンネルデバイダー ノートパソコンによる演奏中に出す画面です。 .左のツマミは入力切り替え .右のツマミは音量調節 .中央は入力レベルインジケーターで6本は各々の帯域を表します 画面は6Wayでそれぞれ左右に分割しています。 .中央やや右の丸いボタンで設定モードに入ります。 .中央やや左の丸いボタンで保存ファイルの再生モードに入ります。 演奏させるにはノートパソコンを立ち上げてこの画面を出す必要が有ります。 |
フルデジタルチャンネルデバイダー設定画面です。 全体はブロックダイヤグラムの様に構成されていて感覚的に理解しやすい構造になっています。 .左端が入力端子 .右端が出力端子 .左から順に入力切り替え(デジタル/アナログ/アナログフォノ(EQ付き) .次ぎにクロスオーバー周波数/カーブ/ゲイン/遅延等の設定 .スピーカーシステムの測定/補正 .室内環境の測定/補正 おおまかな概要ですがこれらの設定項目があります。 右端の周波数特性はスピーカー単体の測定データーです。 これを補正して全体としてフラットな特性にして行きます。 |
クロスオーバー周波数/カーブ/ゲイン/遅延等の設定画面 .2Way〜6Wayの切り替え .クロスオーバー周波数の設定 .各ユニットのレベル調整 .各ユニットの前後位置(Delay)調整 .各ユニットの極性切り替え これだけならBEHRINGER−DCX2496や他のデジタルチャンネルデバイダーにも似た様な機能はあります。 この設定に限ってもSSCには他に無い(DEQXにも無い)優れた機能があります。 例えばクロスオーバー周波数の接点を重ねたり離れたりさせる事が出来ます。 ダブルウーファー使用時の2.5Wayなどのディージーチェーン接続が可能です。 JBLエベレスト6600のダブルウーファーの様な使い方が可能です。 |
スピーカー単独特性を補正する為に測定する為の画面 .マイクゲイン .レベルメーター .測定周波数範囲 .測定時間 .左右チャンネル切り換え .周波数特性/グループディレイ/位相の各グラフ表示 .ファイルの保存 |
スピーカー単独で測定の後に補正する為の画面 .特性の滑らかさ .周波数補正範囲 .振幅の補正範囲 .群遅延の補正 .周波数特性と補正範囲の表示 .ファイルの保存 測定と補正は何回か繰り返してベストな値を測定保存します。 室内音響特性の測定と補正も同様な手順で行います。 |