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長崎県島原半島には個性豊かな郷土料理がいろいろある。島原といえば、雲仙普賢岳の噴火災害が記憶に新しいところであるが、この山は有史以来たびたび噴火し、そのつど大きな被害をもたらしている。一方で、温泉や湧水といった恵みを与えてくれたり、平成の噴火災害後も平成新山と名を改め、今は観光のシンボルともなっている。
島原の郷土料理のひとつ「具雑煮」は、島原のもうひとつの悲劇的な歴史である島原の乱がもたらした料理と言われている。鍋に丸いもちと鶏肉、穴子、ちくわ、白菜、ゴボウ、レンコン、凍み豆腐などたくさんの具が入っている。見た目にはかなりボリュームを感じるのであるが、味わってみると結構さっぱりとしており、野菜中心のヘルシーな料理といえる。
そもそも、島原の乱のときに籠城していた農民らが、いろいろな具を入れて煮込んだ料理というのが始まりと言われている。もちろん、当時とは比べ物にならないくらい洗練された料理になっており、長崎県を代表する郷土料理にも選ばれている。体もぽかぽかと温まる料理なので、とくに冬場は格別。もちろん、年間を通して食べることができる。
(この項おわり)
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