まちあるきレポート 最北の旅・稚内紀行

難行苦行?稚内温泉への道

 今回の目的のひとつ、稚内温泉を目指す。雨が降ったり止んだりで、雲行きがかなりあやしかったが、せっかくここまで来たので何とか温泉に入りたいという思いで、ノシャップ岬から歩いて目的地まで行こうと考えた。

 距離にすれば約2キロというところで、まあ、歩いてたいへんだという距離ではない。天気がよければ、稚内の西海岸を横目にしながらのシーサイドラインの散歩となるところだ。しかしこの日はあいにくの雨。結論から言えば、後悔先に立たずということになってしまったのだ。

 雨が風にあおられて、完全に横から吹き付けてくる。まずカメラが濡れたら一大事とばかりに、私はカメラを抱えて傘の陰に隠して歩いた。お陰で、ズボンはびしょびしょになってしまったのである。しかも、靴も少しずつ水がしみこみ、靴下も悲惨な状態。それでも一向に止まない雨に、私のいらだちもどんどんつのるばかりである。

 右手は海、左手は自衛隊の基地が延々と続き、私自身の悲惨な状態はますますひどくなるばかり。ようやく自衛隊の基地がとぎれたが、まだまだ稚内温泉はほど遠い。ついに、耐えきれなくなり、小屋付きのバス停を見つけて避難。ここでバスを待って、稚内市内に帰ろうと考えた。だが、ここまできて引き返すのもしゃくである。それに濡れてしまったものは仕方がない。ならば、意地でも目的地を目指さなければならない。それに、体も少し冷えきっている。

 私は気持ちを入れ替えて、再び歩き始めた。そして歩くこと約30分、ついに稚内温泉に到着した。

(たび白書より)

最北の温泉・稚内温泉

稚内市民温泉保養センター

 温泉は強食塩泉だという。ズボン、靴下、靴がびしょびしょで気持ち悪くてしょうがない。私はすぐさま服を脱ぎ捨てて、湯に飛び込んだ。お湯はヌルヌルしていて、いかにも体が暖まりそうな感じだった。わずか数分しか入らなかったが、それだけでもずいぶん体が暖まったような感じがする。雨の中、情けない思いをしながらも、ひたすら稚内温泉を目指したかいがあったというものである。

(たび白書より)

稚内紀行トップへ戻る