Birth0Death

第四〇話 新たなる旅立ち


サティ、サッサ、クラウス、ララ。

そしてルドの剣を握り締めたまま離さない,ロナ。

ララの力で、五人はラインへと一気にテレポートした。

そうでもしないと、とてもじゃないが進めない。

それぐらい、五人の表情はどんより暗い。

 

「お、見えてきたっ!!マルたちのご帰還だ~っ!!」

テレポート特有の空気の歪みを感じ取り、カリンが町中の人々にマルたちの帰還をつげたようだ。

町の入り口にはラインの住人がどさどさと、集まっている。

「おかえりなさいっ!サティ!!」

「おう、元気だったか、サッサー!」

労いの言葉がサッサとサティにかけられる。

それに答える元気は二人にはなかった。

どんより暗いパーティーに対して、ラインの住人は底抜けに明るい。

すでに宴会の準備すらしてあるようだ。

なぜだか、ララ、クラウス、ロナまですんなり迎え入れられている。

だが、やっぱりパーティーはどんより暗い。

 

「・・・あら?マルは?」

ルリの軽い言葉に、サティたちはなおさら暗くなる。

「マルは・・・この剣に・・・・」

上手く説明できない。ただ、ロナはその剣をルリに見せる。

わけもわからず、ルリはそっとその剣に触れる。

 

 

(あ、ルリちゃんただいま~)

 

 

「・・・・・・今、声が聞こえなかった?」

「え?」

うつむいたロナが、さっ、と顔を上げる。

 

(いやあ、今の今までさ、気絶してたんだけど・・・)

 

「・・・・・・・マル?」

剣に触れるか触れないかのところで、聞こえてくる、マルの声。

(ど~も、意識はあるみたいだ☆)

のんびりした口調がテレパシーのように直接語りかけてくる。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

ロナは呆然と剣を見つめつづける。心なしか、剣が照れているように思える。

 

(ロナ、みんな。心配かけてごめん)

 

「・・・・マルッ!!!!」

泣き出したのは決してロナだけではない。

「マルのバカヤローッ!!」

サッサは鼻水と涙をボロボロ流しながら、叫ぶ。

(ははは。ごめんごめん)

剣だからわからないが、おそらくマルは困ったような苦笑を浮かべていることだろう。

「な、なに?どういうこと??」

サティは混乱気味。

「なんやねんなっ、泣いて損したわ」

そんなことを言いながら、ララはまた泣いている。

 

 

マルは死んだわけではない。

ルドの剣と同化して、ここに生きていた。

 

・・・・・・・・・・しぶとさは世界一かもしれない。

 

「だけど、これからどうするんだ?」

クラウスの一言に一行が再び暗くなる。

意識はあってもマルは剣。

「大丈夫だよ、みんな、冒険は好きでしょ。探せばいいんじゃないの?剣になった人を元に戻す方法」

ルリの前向きな意見に、暗かった一行はぱあっと明るくなった。

「そうだな、そうだよなッ!!」

サッサは元気に叫ぶ。

「悪いわね、みなさん。私たちはもうちょっと旅に出るわ」

サティはラインの住人たちに向かってにこやかに手を振る。

(じゃあ、いってきま~っす!!)

マルの声が、ここにいる全ての人々のもとに響く。ライン住人たちは呆然と彼らの背中を見送った。

 

 

こうして、マルたちの新たなる冒険の旅がはじまった。


タクスの部屋♪

剣マル(納得いかん―ッ!!)

タクス「わ。ルドの剣改め、剣丸、どうしたんですか?!」

剣丸(漢字変換すなーっ!!ってか、僕は剣のまんまかよ!!)

タクス「ええはなしやないですか(T_T)自らを犠牲に、世界を救ったわけですよ英雄ですよ、英雄」

剣マル(話的にはOKだけど、僕的にはノーサンキューだよ!)

タクス「ああ、そんなことだからタクスの部屋のマルは裏マルだ、なんてことになるんですよ」

剣マル(ま、どうせ最終回だし、いいけどさ)

タクス「突然やさぐれないでくださいよぅ。ほら、本編では剣マルを元に戻す方法を探しに旅立ったってことになってるんですから」

剣マル(フッ。まあ、何年後かにはうまい具合に剣から人に戻る方法も見つかって、で、僕とロナとは結婚と・・・)

タクス「だあああああっ!!最後までそれをいうかっ!!」

ロナ「うん?呼んだ??」

タクス「ああーロナvvvさりげに抱きつ・・・ララ「ロナになにすんねんっ!」ララの足がタクスの鼻にクリーンヒット。

タクス「ピンポイント過ぎて痛いです(T_T)」

サティ「鼻血出てるわよ」

サッサ「最後までカッコわりぃぜッ(笑)」

タクス「うわっ、君たちまで来てたんですね!?」

クラウス「俺も来た」

タクス「どあっ!?どこにいるんですか、クラウス」

クラウス「天井裏だ。お前の部屋は狭すぎる」

タクス「天上裏からこんにちはなんて、ちょっと可愛らしいじゃないですかーっ!!」

クラウス「お前の部屋が狭いのが悪い」(←ぶすっとしてる)

タクス「え・・・と」

 

タクス、辺りを見まわす。

 

タクス「まあ、確かに狭いですけど(汗)」

優「今までに登場した人全員いるもんね」

タクス「だーっ!?作者までっ!そして、なぜちゃぶ台の上に正座」

 

無言で微笑む作者、優。

 

アクトク「さすがに、四畳一間じゃ狭いぜ~」

ルーワ「まーあたしたちは浮いてるけどねー」

アクトク「浮いてる?!うわー!!!」

タクス「ゴーストやってるのに、今気付いたんですか、アクトクさん」

アクトク「なんてこったい(T_T)」

タクス「まあ、死んでるんですから」

優「そういうことをネタにするのはやめようよ!(びしっ)」

 

サティ「あーもー、なんだかめちゃくちゃね」

サッサ「これだけ集まってたらなッ、あっちじゃバッツが荒れてるし」

 

バッツ「ああーマルーマルー(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)」

アイズ「泣くなバッツ。ってかルーワのことはいいのかーっ!!」

 

サッサ「あっちじゃ、晩酌始めてるし」

 

魔王「ドラドよ、まあ飲め飲め」

ドラド「魔王様じきじき酌をいただけるとは、ありがたきしあわせ。さあさあ王も」

魔王「おーととととと」

 

サティ「・・・おやじね、あれは」

サッサ「あっちじゃ・・・・ほのぼのいい話がはじまってるし」

 

子マル「アークお兄ちゃん!!」

アーク(子アクトク)「ああ~マルかよ」(←ぶっきらぼうに。でもとっても嬉しそう)

子マル「また遊べるね!!」(←目を輝かせている)

アーク(子アクトク)「ふん。しょーがねーから遊んでやる」

子マル「うん!!!」

 

サティ「・・・・子マルが呼び出せるんなら、少し前の剣じゃないマルも出られるんじゃないかしら(汗)」

タクス「・・・・あ。(←今気付いた)」

剣マル(あ。ってなんだよ。あ。って!!)

タクス「さ、さあ。(←誤魔化し笑い)まあ、ほらほら、最後なんですから、何か一言・・・」

剣マル(ここまで読んでくださった美奈さん・・・じゃなくってみなさん。本当にありがとうございました)

優「美奈さんって誰さ」

剣マル(これから僕は剣から人に変わるための旅に出ます。)

タクス「まあ、剣だけじゃ旅はできませんけどー」

ロナ「私がいるから、大丈夫」

タクス「ああロナ(T_T)」

剣マル(コホン。えー、続きいいかな?)

ロナ&タクス頷く。

剣マル(えー。みなさんも、それぞれの目標に向かって、旅に出る・・・というかもう、その旅路の真っ最中だと思います)

タクス「なんだか話が変な方向になってませんか(汗)」

剣マル(その旅路の中で、山もあれば谷もあるでしょう。進むことが困難な泥沼もあれば、心地よい草原もあるでしょう。)

タクス「そろそろまとめてもいいころじゃないですかー(汗)」

剣マル(どんな人生を送るにしろ、楽しいことばかりではありません。いや、かえって、つらいことのほうが多いかもしれない。)

 

♪~暮れなずむ町の~光と影の中~

  ~去りゆくあなたへ~贈る言葉~♪

 

タクス「ああ、なぜ『贈る言●』が流れるのでしょう」

剣マル(それでも、進んでいく勇気を、みなさんは忘れないでください。その旅路のどこかに、必ず楽しいことはあるのですから!!そう、そして・・・)

優「だあああーっ!!!みなさま、ここまで読んで下さいまして、本当にありがとうございました!!!!!

タクス「これで、終わりです!!」

剣マル(だから・・・・え?!終わってる!!?)

 


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