あるひあるときあるばしょで・・・・・?
「へえ、なかなかやるじゃねえか」
こうじは不敵に笑っていた。目の前の男を見て。
男はぺっと、唾を吐き捨てる。
「けっ、子分がやられても眉一つうごかさねえんだな」
「こんなやつら子分にしたつもりはねえよ。うざったくついてきてるだけだ」
その点に関しては感謝してやってもいいかな・・・と、幸治は思った。
にいが じん
目の前の男―――新牙 仁という男に。
「さて、なら始めようか」
「とっととかかってきな―――それとも、こっちから行くか? チキン野郎!」
そして・・・二人は拳を握り合い・・・・
「いてててっ!」
「まぁた、ケンカ!? 痛い思いしてなにが楽しいの? ・・・マゾ?」
翌日・・・登校中に、光が顔をボコボコにした仁に向かってあきれたように言う。
「誰がだっ! ったく・・・・」
「隙ありっ!」
後ろから飛んで来た声と共に仁の後頭部に鈍い痛みが走る。
振り返ると、拳を前に突き出したまま硬直している光輝の姿があった。
「あれ・・・? なんで俺の一撃をくらって―――」
「光輝ぃ・・・俺、今日・・・機嫌わりいんだわ」
「へ―――?」
ひきつる光輝の顔。そして―――
1分後
路上にゴミ屑のように横たわる光輝を後ろにして、仁と光は学校へと歩いていく。
「くそ・・・不覚にも光輝の攻撃を食らうとは・・・痛みでぜんっぜん気付かなかったな」
にしむら こうじ
と、仁は昨日のあの男―――西村 幸治との事を思い返していた。
発端は何だっただろうか?
たしか、帝都二中の奴等に呼び出しくらって、行ってみると
いつも仁がボコボコにしてる奴等と一緒に、幸治の姿があった。
とりあえず雑魚を蹴散らしたのだが・・・
(ち・・・あんな強い奴が二中にいたとはな・・・)
「で、仁。あんたがそんなになるってめずらしいわね。誰に負けたの?」
光が興味津々と言った風に尋ねてくる。
「誰がいつどこで負けた!」
「え、違うの? そんなにボコボコだから、てっきり負けたのかと・・・」
「ふん・・・向こうだって俺と同じだぜ。少なくとも俺以上のダメージを与えてやった」
「ふ・・・ん、それでも互角っていったところ? 誰なのよ」
「・・・いや、よくはしらねえけど・・・西村幸治って言う・・・」
「え?」
「なんだ、なにかしってんのか?」
怪訝そうに眉を寄せる光に仁は聞き返す。
「あ、ううん・・・どこかできいたような名前だったから・・・」
「へ、まあきいた事はあるかもな。かなり強かったし。俺がしらねえのが不思議なくらいだ」
そういって、仁はもっとも酷い痣を撫でた。
朝起きると全身に激痛が走った。
「・・・・・・・いでぇ」
全身、激痛に動けないまま幸治はベッドの上で横たわっていた。と―――
「くぉらっ! 幸治、いつまで寝てんのよ! 学校行く事忘れてるんじゃないでしょーね!?」
幼なじみの綾の声。
「え〜と・・・」
幸治は困った。痛くて動けない。
幸治が困っているうちに、家のドアがカチッと開く音がする。綾が鍵を開けたのだ。
数秒後、幸治の部屋に綾が入って来た。
「ったく、なにして―――ど、どうしたの!? アンタ!」
「いてぇ・・・」
綾は幸治の姿を見て目を見開いた。
幸治は何故か学生服のまんまで、ベッドに寝ており、顔はボコボコに張れている。
「ちょっと、幸治!」
綾は応じの体を揺さ振る。
「いでででででででっ!」
「え・・・? な・・・!?」
幸治の痛がり様に、綾は幸治の学生服をめくる。
「な、なにこれ・・・」
幸治の腹はあちこち青いあざになっていた。おそらく全身こうなっているのだろう。
「あんたいったいなにを・・・そんな事よりも、救急車!」
綾はぱたぱたと幸治の部屋を飛び出した―――
「てめえらっ! 昨日の奴はどうした!?」
仁はボロボロの体のまま、二中の生徒の溜まり場へとのり込んでいった。
―――そこは不況でつぶれたバーの二階で、大概二中のガラの悪い奴等はココにいる。
「ひ、ひぃっ!?」
「オラ、応えろ! 西山幸治はどこにいるかってきいてんだ!」
「し、しらねえよ! だいたい、あいつは二中の奴じゃねえし・・・」
「なに? んじゃ、どこの学校の奴―――」
と、聞き掛けて、昨日幸治が学生服姿だった事に気付く。
てっきり二中の奴等と一緒にいるから二中のやつと思っていたが
・・・ここらへんで、普通に学生服きてるとこって・・・
「草原中?」
その時の仁の言葉は自分でもマヌケだと思った。
草原中と言えば、真面目と言うわけでもないが、不良の不の字も見当たらないような優良校だ。
「仁! アンタなにしてるのよ!?」
いきなりバーに跳び込んで来た女がいる。光だ。
「げっ! 光!? なんで、お前がこんな所に・・・」
「オレが教えたんだよ」
と、光の後ろから光輝が顔を出す。
「光輝、てめえ!」
「ふっ・・・光ちゃんの頼みとあっちゃあ、断れないしな」
「・・・・・まぁ、いいけどな」
仁はあっさり立ち上がると、バーを出る。
「あれ? もう帰るの?」
どこか残念そうに光輝。
「ああ。もう用は済んだ・・・しかし、草原中だと? あんなガッコの奴に俺は引き分けたのか?」
悔しそうに拳を握り締める。
「草原中?」
光の声に、仁は振り向かずに応える。
「昨日俺とケンカした奴だよ。まったく・・・俺も腕が落ちたもんだぜ」
ケンカの腕なら落ちた方が世界平和のためよ!・・・と、光の声が飛んでくるはずだが飛んでこない。
「?」
不思議そうに、仁が光を振り返ると・・・
「あ、思い出した! 草原中の西山幸治!」
「あ? 知ってるのか!?」
「うん。確か、物忘れが激しい綾の友達だ」
「はぁ? 綾の友達?」
「うん。といっても、妹の綾の事じゃないよ。草原中にも綾って娘がいるのよ」
「へえ、それで?」
「うん。その友達が西山幸治っていうんだけど・・・」
「そいつだ!」
仁はいきなり決め付ける。
「え、でも、もしかしたら、同姓同名の別人かも・・・」
「そんな偶然に同姓同名の奴がいるか! おい、そいつがどこにいるかわかるか!?」
「えと・・・って、知ってどうするつもりよ!」
「当然! 決着をつけにだな・・・」
「絶対教えない」
「何でだよ!」
「ふん!」
光は仁を無視してスタスタと早歩きで進む。
「おい待てよ・・・・」
その後ろを仁が追う。
「・・・・・とりあえず、オレの存在意味って何?」
そんな二人の後ろ姿を見送って、光輝は寂しそうにぼつりと呟いた・・・
(ちっくしょう・・・あの野郎、やってくれんじゃねえかよ!)
あきら
白い病室。昭は白という色がキライだったが、まあどうでもいい事だ。
にいが じん
そんな事よりも、昨日のケンカ相手。新牙 仁とかいったか・・・
なんとなくぶちのめした帝都二中の奴等の頼み
『一中のに強い奴がいるから倒して欲しい』
別に二中の奴等の願いなど叶える気はなかったが、強い奴と言うのには心ひかれた。
だから、わざわざ出向いてやったのだが。
「幸治の身体とはいえ、俺と互角に戦うとはな」
幸治
昭は自分の身体を見回した。体中あざになって、包帯やシップ薬があちこちに張られている。
「ち・・・この身体が完全に俺のものだったら・・・あんなやつ・・・」
昭は幸治の身体で、白い病室で一人呟いた。
西山幸治には一人の弟がいた。
過去形である。
と、いうのも産れたと同時に死んでしまった。母親と共に。
だが、肉体は死んでしまったが、精神体は幸治の意識の中で生き、成長して幸治の身体を操るほどになった。
それが昭である。
「しっかし、あんたってたいした回復力よねー」
病院の帰り道―――
商店街を歩きながら、綾があきれとも、感心ともつかない声で幸治に言う。
「なにが?」
「だって、あんだけの怪我を1日でほぼ回復させちゃうんだもんね」
「・・・・・・・・・」
「幸治?」
「おおっ」
いきなり幸治は声を上げて、ぽんっと手を打つ。
「・・・俺って怪我してたのか!」
「アンタのその顔に張り付いているもんはなんだぁぁぁっ!」
「何だろう? ビックリマンシールかな?」
「シップに決まってるでしょ!」
「決まってるのか」
「決まってるの! ・・・たく、あんたって相変わらずね」
「ハハハハ・・・そんなに誉めるなよ」
「誉めてない!」
「―――ところで一つ聞きたいんだけど」
唐突に幸治は真剣な顔をして綾を見る。
「な、なに?」
ドキッとして綾は幸治を見返した。
「あんた誰?」
「地獄に落ちろぉぉぉぉっ!」
綾のその一撃で、幸治の顔のあざがまた一つ増えた―――
学校からの帰り道―――
光輝はなにをするでもなく、商店街を歩いていた。
めずらしく一人だ。
(う〜ん、仁の馬鹿に勝つにはどうしたらいいかな・・・)
そんな事を考えながら人の波を渡っていく。
ふと・・・
「痛いじゃないか、綾」
(ん?)
馴染みのある名前を耳にして、光輝は振り向いた。
「あんたがとてつもないボケかますからでしょ!」
「だって・・・度忘れって奴で・・・」
「度忘れにもほどがある!」
見ると、人だかりができていて、一人の少年と一人の少女がなにか言い争っている。
二人とも光輝と同じくらいだろうか? 少年の方は怪我をしているようで、あちこちにシップ薬やら張ってある。
(なんだ? 人違いか・・・)
そう思って、立ち去ろうとした時。
「あ・・・」
少女がまわりに人だかりができているのに気付いたのだろう。
恥ずかしそうに辺りを見回して、
「ほらっ! いくわよ、幸治」
(え?)
立ち去り掛けた光輝は、少女の言った名前に再び振り返る。
(幸治・・・・だって? じゃ、じゃあ、もしかして・・・)
「ちょっとまったっ!」
光輝は思わず少女たちの前に飛び出していた。
「お前、西山幸治か!?」
「え、えと・・・」
少年は何故かちら・・・と、少女を見る。
「そうよ」
何故、少年の代わりに少女が答えるのかわからなかったが、光輝は次の質問を投げかける。
「草原中の?」
「え、えと・・・・」
「そうよ」
再び幸治は少女を見て、少女が代わりに答える。
「一昨日、仁とケンカした!」
「え、えと・・・」
「あんた、そんなことしたの?」
「そんなことしたのかな?」
少女の問いに幸治は問いで返す。
「何でわからないのよ!」
「いやだって、記憶にないし・・・」
「あ・ん・た・はぁぁぁっ!」
少女が幸治の首を絞める。
(・・・・・・・・・難だかよくわからないけど、とりあえず仁と引き分けたって言う幸治に間違いなさそうだな)
そう判断して、ふと思い付く。
(まてよ? もし、オレがこいつに勝てば、仁に勝った事になるんじゃないか?)
「西山幸治!」
「ふえ?」
幸治は首を絞められたせいか、青い顔をして返事をする。
「というわけで、とりあえず勝負だ! かくごぉぉぉぉぉっ!」
「へ?」
と、呆けた顔を浮かべる幸治の顔面に――――
ずがああっ!
――――光輝の飛びげりがまともに幸治の顔をとらえ、幸治は路上に倒れる。
「さぁ、かかってこい! ―――あれ?」
光輝は叫ぶが―――返事はない。
「おや? もしかして、これで終わり・・・?」
幸治の顔を覗き込む。どうやら、完全に失神してるようだ。
それを確認して、光輝の顔に笑みを浮かぶ。
「やったぁぁぁっ! これでオレは仁に勝ったぜ! これから俺は最強の男―――」
「いきなりなにするのよ!」
どげしぃぃっ!
<最強の男>は<最強の女>にあっさりと一撃で倒された。
「仁っ! 勝負だ!」
自信満々の声が聞こえてきて、仁は後ろを振り返った。
学校の帰り道。さて、これからゲーセンだ雀荘だパチンコだっていう憩いのひととき。
「光輝・・・俺のライフワークを邪魔する気か?」
仁はうんざりと光輝の顔を睨みつける。
だが、いつもなら多少は後ずさるはずの仁の睨みに、光輝は小馬鹿にしたような笑みを浮かべる。
どこか変だ。いつもと違う―――そんな奇妙な雰囲気を仁は感じていた。
せっかく、小うるさい光をまいたところだというのに・・・・
「ふっ・・・草原中の奴なんかに負けた程度の男が!」
「んだと・・・・?」
幸治のこめかみに青筋が浮かぶ。
それを見てさすがに光輝は怯んだようだったが、気勢をはって続ける。
「ふ、ふん、いっとくが仁! いつものオレと思うなよ!」
「ほお・・・どこか違うのか?」
ボキボキと手を鳴らす。
その音に、光輝は一歩だけ後ろに下がるが、すぐに前に出る。半歩だけ。
「オレは昨日、お前が引き分けた西山幸治に圧勝したんだ!」
その後に綾に完敗した事はもちろん伏せておく。
「なに?」
「そういうわけで、今日がお前の不敗神話の命日だ! いくぜぇぇぇっ!」
光輝は叫びながら仁に飛び掛かった。
十秒後
「・・・・どこがどう違ったんだ?」
本気で不思議そうに仁は、地面に寝そべる光輝の頭を踏んづけながら聞いた。
「ば、馬鹿なぁ・・・さてはお前、なんかやっちゃいけない危ない薬でドーピングを・・・」
「おっと足が滑った」
ずっ、と仁の靴の裏が滑り、膝が折れる。そしてそのまま光輝の背中へと膝を落とした。
「ぐえええええっ!」
「誰がヤクなんかやるか、コラ! お前、本当に幸治に勝ったのか?」
「もちろんだ。だからこうして正々堂々とお前に勝負を挑んだんじゃないか」
「そいや、お前。めずらしく不意打ちじゃなかったな」
「納得したか? 納得したなら―――」
「?」
「オレに心置きなく負けてもいいぞ」
「ほほう、そゆ事考えるのはこの頭か? この頭か? この頭か?」
仁は両手をグーにして光輝の頭のこめかみをぐりぐりとする。
「ぐおおおおおっ!? それは48のいたぶり技の一つ『ウメボシ』だな!? ぐぁぁぁぁっ!」
「やかましい!」
仁は手をグーにしたまま、光輝の頭を殴りつける。
ごすぅっとおよそ人の頭を普通に殴ってもそんないい音はしないだろうなーという音がして、光輝は気絶した。
「さて・・・・西山幸治か・・・」
確か光輝は昨日商店街の方に用があるとかいって・・・・あったとしたらそこらへんか。
「さすがにいねえかな・・・・」
昭は幸治の身体を操り、商店街へと来ていた。
昨日、幸治が帝都一中の奴に殴られた場所だ。
そいつは確かに『仁』という名前を叫んでいた。もっとも、その時、幸治は気を失っていたが・・・
「くそ・・・やっぱり昨日のうちにシメとくんだったぜ! けど、綾がいたしな・・・」
幸治の身体とはいえ、昭が『使え』ばたいてい負けはしないのだが、
染み付いた習性というか、条件反射というか、綾に対しててだけは弱い。
(・・・いつか完全にのっとってやるからな)
心の中で呟く。
(しかし・・・これじゃ、帝都一中に乗り込んだ方が早いか?)
そう、考えた時だった。
「あれは・・・・・・!」
目当てではないが、目当ての男を見つけて昭は駆け出した。
「さすがにいねえかな・・・・」
仁はきょろきょろと商店街の中を見回す。
最近駅前にできたデパートのせいで客の姿はまばらだった。
「ちっ・・・これなら草原中に乗り込んだ方が早かったか・・・?」
そう思いかけた時。
「見つけたぜ! 新牙 仁!」
求めていた男の声が聞こえた。
「久しぶりだな・・・・」
「この前の決着・・・付けにきたぜ!」
二人は不敵に笑みをかわす。
「いくぜ!」
「きやがれっ!」
はじめに攻撃を仕掛けたのは昭の方だった。
「先手必勝!」
明は真っ正面から正拳を放つ!
(あたるかっ!)
仁はそれをサイドステップでかわす。が、
(なに!?)
拳は途中で止まり、その止めた反動で明は仁にまわしげりを放つ。
「ちっ!」
明の蹴りが仁の鼻先をかすめて通りすぎる。
(やるじゃねえか! なら、今度はこっちの番だ!)
仁は明の蹴りが通り過ぎると同時に突進する。
「うっ!?」
昭は体勢を立て直そうとするが、それよりも早く仁の一撃が幸治の身体を捕らえる!
ずがあああっ!
昭は派手に吹っ飛んで、近くの電柱と激突する!
「へっ、どうだ!」
「・・・きかねえな!」
昭はゆらりと立ち上がる。
「この程度じゃ、まだまだだな!」
(この身体、伊達に綾の攻撃を受け続けてはないって事)
「ち・・・ほざけ!」
仁は昭に向かって突進した!
しばらく互角の攻防が続く。
仁の攻撃は何回かヒットするのだが、昭は倒れない。逆に仁のスタミナが切れてくる。
また、昭の攻撃もスタミナ切れの仁に何度か攻撃を与えるが、仁は巧みに急所を避けて致命打にはならない。
そんな攻防が、何十分と続き・・・・・・・
「だけど、本当に偶然よね」
買い物籠を持った綾が光に向かって笑いかける。
「そうねぇ。まさかこんなところで会えるとは思わなかったわ」
光もそういって笑みを返す。
「綾って、いつもこの商店街で買い物してるの?」
「うん。ところで光はなんでこんなところに?」
「私は仁っていう、不良を捕獲しに来ただけよ」
「ああ、光がいつもいってる・・・幼なじみだっけ?」
「そう。・・・まったく、あんな奴と幼なじみだなんて人生の汚点よね」
「幼なじみが人生の汚点ねぇ・・・・」
と、綾は自分の幼なじみを思い浮かべる・・・
(あれは・・・なんだろう? 汚点というよりは・・・お荷物かな?)
「ま、あたしでよかったら手伝うから」
「そういえば、綾って空手ならってたんだっけ。でも、大丈夫。あいつもあれでカワイイところあるんだから―――」
ややはにかみながら、光がいった時。
「ケンカだケンカだーっ!」
「中学生同士がケンカしてるぞ!」
・・・・という声が聞こえた。
「「まさか」」
二人は顔を見合わせて、同時に呟いた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
「ック・・・ハァ・・・・やるな・・・」
「お前もな・・・」
ボロボロの体、血だらけの顔で二人はお互いに笑みを浮かべる。
その笑みにはお互いを『敵』というよりも『仲間』というような絆があった。
「そろそろ・・・決着を着けようぜ」
仁が両手を握りしめ、やや左手を前に出す感じで構える。
「そう・・・だな・・・」
昭は両手を握らずにやや、右足を前に出して、やや前傾に構える。
シーン・・・と辺りが静まり返り・・・・そして!
「「なにやってんのよ!」」
という声と共に、二つの物体が飛んで来た。学生鞄とハクサイ。
「「ぐおっ!?」」
互いに意識を向け合っていた二人は飛んで来たものを避けられずに、まったく同じ悲鳴を上げて倒れる。
「仁っ! またケンカして! いい加減にしないとそのうち死ぬよ!」
光が倒れている仁の襟首をつかんでゆさゆさとゆすりながら叫ぶ。
「うをっ、っととまてっ! おちちけっ!」
言葉が上手く発音できないほど揺さぶられながら、仁は制止の声をかける。が止まらない。
「まったく、あんたはあんたはあんたは〜!」
思いっきり揺さぶられながら、仁は意識が遠くなっていくのを感じていた。
「こ〜う〜じ〜! アンタまた凶悪な人格が出てるの? もしかしてこの前の怪我もそのせい?」
「あ、えとだな。これはなんというか男の勲章とか・・・」
「そんなの知らない!」
ごすっと、綾の蹴りが幸治の身体を捕らえる!
幸治の身体はまるで空気しかはいっていないかのように軽やかに吹っ飛んで、地面に激突する。
そのまま動かない。どーやら完全に意識を失ったようだ。
仁はそんな幸治になにか『同士』のようなものを感じつつ、白い闇へと意識を失っていった・・・・
結局。
最強は幼なじみなのかもしれない。
ちゃんちゃん♪
ろう・ふぁみりあと他人のキャラの後書き〜(いいのか? オイ)
ろう:ども、ろう・ふぁみりあです〜
綾:今回出番ナシの綾で〜す
ろう:はい? 綾さん、ちゃんと出たじゃないですか。
綾:それは「あるひ〜」の綾さんでしょ! 私はIQ300にしてノモス大陸の準ヒロインである緑奈 綾よ!
ろう:・・・・そういえば出すの忘れてました。
綾:ま、いいけど。ところでこれってあなたの書いた小説と私たちの小説の合作だけど。
ろう:にゅう。合作の例になるかなと思って考えた話ですが・・・
綾:ダメダメね。
ろう:うっ・・・・
綾:まず、私たちどころか自分のキャラすら把握してないし。
ろう:ぐはぁ。
綾:アクション、やっぱり苦手だし。
ろう:ぐさぁっ!
綾:極め付けはラスト! なによ、あの適当な終わり方は!
ろう:・・・・・・・・あうあうあうあう・・・・えと、反面教師とかそういう感じで・・・
綾:仕方ない。それで許してあげますか。
ろう:あうあう〜、どーもすみません・・・
綾:・・・のかわり、なにかおごってね♪
ろう:みゅう・・・あ、ではこっから、ノモスキャラの産みの親である闇腐さんのコメントっす。
闇腐の自爆なコメントっ!
闇腐:ども、闇腐です。
仁:おい、俺も参加させろ。
闇腐:げげ、仁。ここは俺のコメントだって.........。
仁:うるさい、邪王炎殺連獄槍!!
闇腐:うぎゃああああああああっ!!(死)
仁:馬鹿が黙ったとこで感想だな。
やっぱりテンポがいいな。ギャグありシリアスあり........バランスが絶妙。
キャラの扱いがうまいよ、やっぱり。本編もろう・ふぁみりあさんに書いてもらった方がいいかもな。
闇腐:そんなあ........ここは俺のコメントなのに.........(泣)
仁:とくに光輝。思ってた通りの動き方してるよな。
後ラスト。最高。5分間くらい笑い転げてたからな。闇腐が。
おおっと、ゲーセンがしまっちまう。またな!!(退場)
闇腐:ちくしょう.......言いたいこといってどっかいきやがった.......(泣)