差出人: Takagi
送信日時: 2001年6月8日金曜日 22:35
件名:
げっひー的観戦記(01・6・7 FIFAコンフェデレーションズカップ準決勝 日本VSオーストラリア)
Result:1−0 得点者:中田英
メンバー:
鈴木 西澤
(→森島)
中田英
小野 <CAP> 波戸
(→服部)
稲本 戸田
中田浩 森岡 松田
(→上村)
川口
げっひー的MIP:はい、当然ヒデですね♪
文章方針:よく頑張った、みんな。
今日の青嶋名言:「全ての運を身につけなくては日本!」
さあ、たどり着いてしまった決勝トーナメント。決勝の一試合目と言う意味ではどうもシドニーのアメリカ戦が頭をよぎった。でも今日の試合に関しては健闘の末の惜敗なんて姿は見たくねーぜーと思いながら、録画したビデオを再生スタート!
スタメンに関しては今のいわば一軍メンバーだろうなあ、と。スターターはツートップでスタートしたカメルーン戦のメンバーに近いかなあと思っていた。出場停止やケガの選手もなく、(あくまでも現時点での、だが)ベストメンバーでホームで戦えるのは嬉しい。まあイエローや帰国問題は気にせずに問答無用でぶつかれBaby!という感じ。でも予選リーグでのイエローはリセットされたと聞いてちょっとホッとしたおいら。イナ戸田森岡、みんな一枚ずつもらってたからねえ。
そしてスタメン発表。やっぱりほぼ予想通りだった。まあスリーバックの左は服部かなあと思っていたが、ちょっと驚いたのは中盤の右サイドに波戸が入ったこと。正直、堅く行って明神だろうと予想していたので。波戸はちょっとディフェンシブになってしまう傾向が見られたので、持ち前のスピードでどんどん勝負してスペイン戦みたいにうまくオフェンシブに転がればいいなあ、と期待。もちろんバランスは保ちながらだけどね。
ちょっと注目してたのは、オーストラリアにはポポヴィッチなど、サンフレッチェ広島でプレーしている選手が何人かいるため、もしかしたら”未完の大砲”久保の起用もありうるかな?と思ったけれど、さすがにそれはなかった。鈴木も西澤もよく考えたら外せないもんなあ。
そしてテレビではフジテレビゲスト解説のベンゲルが語る。それを訳すのは”あにき”ジョン=カビラなのだが、明らかにベンゲルの言葉に「inamoto」とか「toda」とかいう単語が混じってるのに、どうもそこは飛ばして訳してくれる。個人的にはその辺のベンゲルの意見を聞きたかったので、ちょっと頭に来た。
それにしてもオーストラリアの10番の選手はなんでも身内の結婚式があって帰国したとか。そのへんがさっすが外国という気がする。例えば日本の選手が家族の結婚式で代表の試合を休んだら、なんかその結婚式の当事者の方が気遣いがなっとらんとか言って矛先を向けられそうな気がするもんね。
そんな中、セレモニーは進み、キックオフが近づいてくる。が、なんともとんでもない勢いで叩きつけるすごい雨。どうも荒れそうな雰囲気が漂っていたが、そんな中でも君が代を大声で一緒に歌う満員のサポーターには頭が下がる。それにしても、雨、雨、雨。そんなコンディションだとキーパーのファンブルは怖いし、一つ一つのプレーもいつもより気を使いそうだった。精神的な消耗も小さくないコンディションだろうしね。でもそれはオーストラリアとて同じ。この雨が涙雨にならないことだけを祈りつつ、さあ運命のキックオフ。
どうも最初に主導権を握ってきたのはオーストラリア。フィジカル的な高さ、強さは前もって情報が流れていたし、制空権を渡すのはある程度仕方ないかな、と思っていたけど、なかなかどうして、足元のプレーも光る。なかなかしっかりした技術でしっかり中盤でつないでくる。序盤でオーストラリアのコントロールミスを拾ってカウンター仕掛けてリズム作れればなあと期待していたが、とりあえず日本は受ける側になってしまった。もちろん受けてばかりではないが。
ところで僕的にはちょっと不安要素だった波戸だけれど、期待していた前へ前へのプレーを見せ、雨の中、声を振り絞って力を与えてくれているサポーターの声に応えている。また攻めだけではなく、守備にしても持ち前のスピードで光るものを見せてくれる。
しかし、展開としてはどうも主導権を握られているもどかしい展開。乾いたピッチだったらどうだったろう、なんてたられば論は置いておいて、どうもいつもより日本のファールが多いような気がするし。高く強い相手に多くのセットプレーを与えるのは決して賢い選択とはいえないと思うから。まあセットプレーはなんとかディフェンスや川口の踏ん張りで凌いでいるものの、どうもマイボールになってからの展開がうまくない。中盤を通り越してのロングパスが目に付く。まあ選択肢の1つとしては必要なんだけれど、オーストラリアの壁のようなディフェンダーの前になかなかロングパスから先へ繋がらない。確かにコントロールミスのリスクは伴うけれど、もっとショートパスで押し上げていってもいいのに、といった印象。全然攻めてない感じ。
そんな中、森岡が痛み、タンカでピッチの外へ運ばれたと思ったら上村と交代してしまった。これは正直痛かった。今日本で一番オールマイティーなリベロであり(オフェンス力では松田の右には出られないが♪)、更にこの大会ではかなり読みが冴えていた森岡だけに痛かった。それに交代の指示がやけに早かったのも心配。ひどくなければいいけど。そしていきなり呼ばれた上村にしてもアップは充分ではなかったろうし。
ここからまた危ない時間帯が続く。出るのは溜息ばかりなり。どうもアクシデントで日本のディフェンスが落ち着ききれてない印象。まあオーストラリアがタフだったというのもあるけど、本来ならもっとボールに絡んで起点となるべきダブルボランチがほとんど目立たない。流れなのか。でもぽっとイナや戸田がボールを持つとそこから得てしていい攻撃の形が作れる。数的にも優位になるし。運動量が足りないとも思えなかったがイマイチから回りしてるようなそんな気分だった。
相変わらずの劣勢だったがディフェンスの中から少しずつ、少しずつリズムが生まれてきているような感じ。特に根性を見せたのが上村。非常に雨の似合う相手を怖れぬ泥臭いディフェンスをしてくれる。気付けば彼もサンフレッチェの選手だったね。そういえば。
しかし相変わらず空中戦は完全にオーストラリアに掌握されている。そうなるとなかなか支配率も上がってこないしね。雨は相変わらず激しく降り続き、選手はどちらもグショ濡れになりながらのプレー。でも激しい雨足にもかかわらず転がったボールが水溜りでビシャッといきなり止まったりということはなかった。横国の芝ってやっぱり相当イイのかなあ?
そしてだんだん守っていく中で、川口の気迫、松田のクレバーなディフェンス、身体を張って食い止める戸田の献身などから、少しずつペースを掴んでくる。イナもいいカットを見せたり、やっと存在を誇示し始めるものの、どうもいつもほどの憎らしい位の中盤の存在感まで行かない。確かに前線の2人も相当激しいコンタクトを受け、マークされ、かなり封じられていたが、そんな時だからこそ本来いいモノを持っている戸田やイナのミドルシュートで慌てさせる選択もあったような・・・。雨は相変わらず激しく、1つのプレーでどうにでも転がりうる試合。そんなことを考えたらできるだけ自陣のゴールから遠い所にボールは置いておきたかった。
そんなどちらかといえば、試合を握られている中で、やっとゴールネットが揺れた。いや、ヒデのフリーキックが撃ち抜いた。雨の日のセオリー通り低く抑えられて、それでいて威力抜群、コントロールバッチリのナイスキック!見事に炸裂した。ともかく得点。そしてこのフリーキックを獲得した身体を張った鈴木のプレーにもちゃんと拍手を送らなければ。
さあ、願ってもないリードを奪って前半の残り時間はあとわずか。これで一気に流れが変わるかな?と思ったらなかなかどうして、そうは豪州の問屋は卸してくれなかった。でもその前に立ちふさがる川口。ここのところの状態のよさの裏打ちなのか、自信のオーラが漂っている。なんとも頼もしい、と感嘆した所で前半終了の笛。
そして後半スタート。どうも雨は小降りになったような感じもして、ピッチコンディションが良くなれば日本がもうちょっとペース握れるかなあと思っていた。そしてそろそろディフェンスもオーストラリアに適応できるか、かな、という感じ。
そこで光ってきたのはボランチの戸田とイナの敵の攻撃を遅れさせる、いわゆるディレイさせる動き。この2人の位置で時間をかけさせればディフェンスもしっかり整える時間ができるし、割と落ち着いて守れる。とはいえオーストラリアも相当日本は研究したのだろう、ショートパスに個人技を織り交ぜる、日本を髣髴させる展開で形を作ってくる。
こうなるとキープ力勝負かなあと思っていた矢先に鈴木が一発レッドで退場。これはかなり痛かった。もともと鈴木と、やりあった相手のポポヴィッチはヒデのゴールのフリーキックのきっかけのファールの時もこの二人の交錯だった。この時はもちろん加害者と被害者が逆だったけれど。
しかし、10人も痛いし、鈴木がいなくなったのも痛い。今の日本が相手を捕らえるときの木場の、もとい牙の部分に当たるプレーヤーだけに。でも仕方ない。これだけ相手を怖れぬプレーヤーのリスキーな部分がたまたま表に出てしまっただけの話。今までそれ以上のプレーを披露してくれたんだ。これは仕方ない。
仕方ないが、もちろん苦しい。まだ30分以上残しての数的不利はやっぱり大きい。1点リードしている状態なのが救いなくらい。ここからはワントップで凌いでいく流れを余儀なくされる事になってしまった。
しかしボールが拾えない。パスなどに誰かが反応してそこからボールがこぼれてもまた拾われてしまう。これが人数差???カウンター狙いは致し方ないが、あまり意識がディフェンスに行き過ぎるとよくないよ。あのスペイン戦のようにね。それにしても時間が全然流れない!
時折のカウンターにしてもヒデ1人で攻めてる感じ。そう見ると西澤も下がりすぎのような。でもそれでも1人で形を作ってしまうヒデってやっぱり凄いプレーヤーだなあと改めて思い知る。
守りも顔を蹴られても踏ん張る上村だったり、不安要素はいっぱいのはずなのに落ち着いてる川口だったりと頼もしい。崩されかけても最後の一線では必ず誰かが食らいついている。これが成長の証かな?
でもさすがの消耗戦でオーストラリアにも疲れの影が見える。そうすると日本のカウンターが冴えてくる。ヒデを軸に、運動量の落ちない波戸など、中盤もそこそこ絡み、ゴールを脅かす。ここで一点取れれば良かったけど、なかなかそうもいかず。惜しいシュートはあったんだけどね。
そして西澤に代えてモリシ投入。感覚的にはこれでゼロトップだけれど、この展開では仕方なかろうか。オーストラリアも疲れからかシュートがなかなか枠に行かず、助けられてる部分もあった。とはいえこの時間になってもオフサイドの裏を突かれ、ヒヤヒヤする場面は少なくなかったが。
これで逃げ切れば「神風」ならぬ「カミアメ」なのかな、なんて思いつつ、祈りつつテレビを見つづける。と、オーストラリアにもレッドカード!よかった。これで数的には互角。むしろ有利。
こうなったら足が止まったら負け。それを承知しているかのようにイナにしろ、モリシにしろ、攻めでも守りでも果敢に仕掛けていく。苦しいが、あと少しだ、と何回つぶやいたか分からない。
でも、やっと、長い笛。うおーーーーー。決勝だ!やった!やった!やった!
相手はフランス。5−0の記憶を打ち破るいいチャンスだ。ヒデはいないし、森岡も厳しいかも知れぬ。そして鈴木は出場停止とネガティブ要素も確かに多いが、それでも4試合やって気付けばいまだ無失点のディフェンス陣がいる。そしてこれだけのサポーターがいる。みんながいる。
ロードトゥーリベンジ!示談なんてオチはなしだよ(笑)
