差出人: Takagi
送信日時: 2001年6月3日日曜日 0:09
件名:
げっひー的観戦記(01・6・2 FIFAコンフェデレーションズカップ予選リーグ 日本VSカメルーン)
Result:2−0 得点者:鈴木(中田浩)、鈴木(森島)
メンバー:
鈴木 西澤
(→中山)
中田英
小野 (→森島) 明神
(→服部)
稲本 戸田
中田浩 森岡 松田
川口<CAP>
げっひー的MIP:文句なしに鈴木。
文章方針:凄い。凄い。凄い!!
今日の名言:「Fantastic!」
沈まぬ太陽の上を日の丸をつけた青い鳥が颯爽と飛んでいったね。
Go on Babyニッポンイレブン!ついにまた世界の一流と戦える日がやってきた。そう、「浪速の黒ヒョウ」パトリック=エムボマ(なんか背中の名前はちょっと違ったけど・・・)率いるカメルーン。現在アフリカ大陸の中で実力はナンバーワンだと言われ、シドニー五輪でも金メダルを獲得し、レギュラーメンバーのほとんどがヨーロッパ等のビッグクラブで活躍している。と誉め始めたらキリがないけれど、ワールドカップやオリンピックで展開していたサッカーは、アンビリーバボーな身体能力を生かしつつ、それに頼り切らない魅せるサッカーだった。しかもこのコンフェデレーションズカップにはほぼベストメンバーを送り込んできて、気合充分。今日の試合は正直あまり勝てるとは思っていなかった。1−1くらいで引き分けられたらそれは勝利に値するなあと思っていた。ごめんなさい。
今日も大盛り上がりの新潟スタジアム。スタメン発表にまず驚かされた。最終ラインに入った松田、今日はスターターで右サイドに入った明神は順当と言っていい起用であったけれど、なんとツートップで西澤と組むのはなんと初代表のアントラーズの鈴木だった。このトルシエの思い切った采配にはみんなビックリ。鈴木というとJリーグでは手を使って押し込んだ(ように見えなくもない)ゴールを決めたりもしたし、どうもちょっとラフファイターなイメージがあって、でも長身の割にポストプレーがうまいなあ、という印象もあるちょっと今までにいなかったタイプの選手。でも確かに敵に回すと嫌な選手だからトルシエはそこに賭けたのかなあ、という感じ。でも心臓は大きそうな鈴木もいきなりこのビッグゲームで飲まれなければいいが、という感じだった。
他のメンバーを見ると、まあ順当なメンバーかなあという印象。中でも意地を見せたいのはカナダ戦では途中出場だった明神、そして結局出番のなかった松田であっただろう。もともと守備能力の高さは折り紙つきの2人が右サイドでどれだけ頑張れるかが、前回は右サイドから何度かピンチを迎えたこともあるし、ある程度鍵になってくるだろうなあとは思っていた。
ボランチは2枚。カナダ戦でなかなかのパフォーマンスを披露し、これから定着していきそうなイナと戸田のダブルボランチ。強敵カメルーンを前に、もちろんディフェンスラインの3人だけでは抑えきれないと思うので、両サイドも含めてどれだけ連係して攻撃を摘んでいけるか、という思いで見ていた。ある程度ディフェンシブになるのは仕方ないけれど、日本にもいるハイセンスなパサーを経由したカウンターに光明を見出し、勿論勝つつもりで挑んで結果引き分けならばバンバンザイかなあというところだった。しかも飛び込んできたブラジルがカナダと引き分けたというニュース。日本の方に吹く風をちょっと感じた。
そして試合前のセレモニー。ほぼ四万人が埋めたスタンドから聞こえて来る君が代の大合唱に胸が熱くなった。ホームゲームなんだ、みんなで戦うんだ。とブラウン管を通して身体で実感。こういうのっていいなあ。
さあ、ホイッスルが響き、試合開始。不屈のライオンカメルーンが牙をむく。一番心配だったのはこの試合開始直後。おそらく容赦ないカメルーンの猛攻を日本がなんとか凌ぐという展開になるだろうなと思っていた。その時間にはなんとか点は与えなさんな、と祈ろうと思ってたら、ちょっと違う展開。日本代表イレブンは前線から激しいプレスを仕掛け、カメルーンと渡り合っている。しかも中盤で奪い取ったルーズボールを持って鈴木が左サイドを駆け上がり、すばやい折り返しに西澤が飛び込む。ボールはゴールバーを越えたが、ふてぶてしいまでに映る鈴木をはじめとして、世界を相手にしても、怖じない、一歩も引かないプレーヤーが増えてきたのも確実なレベルアップよ。しかし、いいプレスはかかっているものの、このプレスがもつだろうか、という危惧もなくはなかった。
しかし、そんな弱気なおいらを一気に吹き飛ばしてくれたのは日本の金髪ライオン鈴木だった。左サイドの中田浩二からの見事としか言いようがない対角線の大きなパスを走りこみながら上手くトラップし、キーパーと1対1になった鈴木が落ち着いてゴール左のサイドネットに転がしこんだ!なんと開始10分そこそこ。誰もが予想し得なかった伏兵の誰もが予想し得なかった早い時間の先制点。願ったり叶ったりの理想的ともいえる展開で日本はアドバンテージを取る。
でもどちらかといえば、むしろ日本の方が支配しているような感じ。相変わらずサポートもプレスも速く、どんどん前からプレスがかかってカメルーンのパスミスを誘い、ボールを奪ったら奪ったで惜しげもなくスペースに展開し、そこにトップが飛び出していく。先制点もあってみんなノッている感じだった。
もちろん冴えていたのは攻撃だけではなく、カメルーンにあまりいい形を与えないディフェンス陣もだった。特に森岡。今日は他の選手がたとえ抜き去られても、スペースに大きいボールが放り込まれても、最後に必ず立ちはだかる、くらいの存在感を見せてくれた。ポジショニングの妙、カバーリングの妙、というかね。まあカメルーンが思ったほど大きな展開を仕掛けてこなかったというのもともすれば守りやすかった要因なのかもしれないが。
とはいえ、エムボマ、エトーのツートップをはじめ、やはりカメルーンの選手の身体能力は目を見張るものがあり、時として3人がかりくらいで守っても抜き去られる場面もあった。そうなると数的不利か決定的な場面を迎えてしまうもの。しかし幸運な事に今の川口は当たりまくっている。今日も前半だけで1,5点は確実に防いでくれた。本当、心強い。
多少のディフェンスの隙を突かれた危ない場面もあったにはあったけど、それ以上にオフェンスが良かった。例えばボランチのイナと戸田は器用に色々な所にポジションチェンジを繰り返し、相手のディフェンスを充分困惑させていた。それにしても日本の選手たちは足技がうまくなったなあと思う。あまりボールを奪われないもの。しかもどの選手もよくフィールドを見ているし、ある程度距離があっても精度の高いパスが出せる。イマジネ−ションサッカーとでも言おうか。ゴールネットを揺らせないのはフィニッシュのほんの僅かな所で惜しいところ。でもそんなうちに前半は終了。日本はほぼワンタッチでボールを回せたし、それもほとんどボールが止まらない華麗な展開だった。前半はカンペキといっていい出来だったのではないかな。
さあそして後半。なんか気分的にはハーフタイムなしで前半の勢いそのままで後半に入りたかった。15分が水を差す結果になったらイヤだったから。トルシエもこれだけいい出来だったらなかなか選手は代えにくいだろうしなあ。まあ、後半の課題としてはどれだけ走りつづけられるか、ということでしょ。走り負けたら絶対にやられると思ったからね。
後半開始して、ちょっと気になったのは中盤とディフェンスラインとの距離。ここがあいてしまうといいスペースとして使われちゃうんだよねーと思ってヒヤヒヤして見ていたが、大事には至らず、そのうち修正が入ったようだった。
攻撃に関しては鈴木がポストプレーなどで存在感を相変わらず見せていたが、ちょっと攻め手を欠いてきた印象。そうしたらモリシがスタンバイし、やっぱ代え時だったんだと思う。でも誰と代えるかという所で、トップのどっちかかなあと思っていたらなんと中田ヒデだった。確かにここにモリシが入ればフォーメーションはそのままだし、ヒデも良くはなかったが悪くもなかったのでトルシエは思い切ったなあと思う。でもモリシ投入でのセレッソホットラインで今日は鈴木にお株を奪われていた西澤が生きるかなあ?と思っていたら、いきなり生きた。
右サイドに流れたカメルーンのボールをともすればファール取られてもおかしくないくらいの勢いで奪い取った西澤がモリシにつなぎ、モリシが折り返したボールにヘッドで応えたのは・・・またしても鈴木!!!セレッソコンビの執念が生んだゴールとも言えるけど、Aマッチ初出場でいきなり2ゴールも叩き込んでくれる鈴木ってかなり頼もしい。日本は今まで割とディフェンシブなフォワードが多かったからなあ(苦笑)。
2点のリードはかなり大きかった。カメルーンもどうもパフォーマンスが脅威、とまではいかない。時折個人技から切り開くチャンスもノリにのってる川口の壁は破れない。しかも日本も例えばイナから長いスルーパスが鈴木に通り、まさかハットトリック?と期待してしまう場面もあった。
この時間は日本も守備を重視しながら、でも虎視眈々とカウンターの機会は常に狙ってるという試合運び。そういう時には小野がいい起点として光る。そうだ、彼も今ノッている!
そしてトルシエは西澤に代わり、中山投入。この投入も気持ちを保つ上で重要だった。現にカメルーンは明らかに焦りを隠せず、苛立ちのアクションも目に付くようになってきていたから。
更にトルシエは「欠かせない漢」服部も投入。代わってピッチを出る際に深く一礼した小野はすごくいい顔をしていた。満足げだった。
結局終始、諦めず、カッコつけず、集中も切れず、人任せにしないサイコウのパフォーマンスを見せた日本がカメルーンに予選敗退の烙印を押した。
なんとブラジル戦を残して決勝トーナメント進出を決めちゃったぜ。グレイト!
ブラジル戦はいい状態で挑めるのもあるし、また無理をしない布陣でもいけるのが大きい。特に森岡やイナ、戸田などイエローをもらっている選手は温存という選択肢もある。いずれも決勝トーナメントで欠かせない選手だからね!
でも今日はサイコウの試合を見せてもらいました。フォルツァニッポン!!
