差出人: Takagi [Haruru@swm.root.or.jp]
送信日時: 2000年3月15日水曜日 23:46
件名:
げひら的観戦記(3・15)フレンドリーマッチ:日本代表vs中国代表
RESULT:0−0
メンバー:楢崎<CAP>、中田浩(→中村)、松田、森岡、稲本潤一、名波、小野(→服部)、中田ヒデ、望月、城(→カズ)、中山
げひら的MIP:7時30分のヒデ
文章方針:失望は匂わせたくないが・・・。
引き分け。でもコパアメリカなんかとは意味合いが違う。ホームゲーム、現時点のベストメンバーということを考えればこのゲームは「運が悪かった」では終わってはいけない。前半のようなポテンシャルの高さが90分プラスロスタイム間維持されていての引き分けだったら本当に運が悪いんだと思うが・・・。疲れた選手を替える権利を持ちながら変えなかったベンチ、いやトルシエ采配にも疑問が残った。今日は何が何でも、どんなことをやっても勝って欲しかった。凄く悔しい。
BS1でスタメンを確認したとき、「やっと役者が揃ってきたな」という感じだった。ディフェンスの真ん中には予想に反して松田が入った。僕の予想センターバックの森岡は右のサイドバックだった。復帰初戦だったからいきなりセンターバックは任せられないという判断なのか?それとも松田の方がここのところの数試合で信頼を得たのか?松田も確かに能力は高いと思うけど、真ん中には森岡が座った方がしっくり来る気がする。ピアスもさりげないし。でもこの2人でサイド適性が高いのは森岡という判断だったのかも。スタメンで意外だったのはこのくらい。疲れが気になるヨーロッパ組を誰かスーパーサブ的に使うのかなあとも思ったけど揃ってスタメン。イナはもちろんスタメン。しかも名波を左ウイングに行かせ、テルを追いやっての出場は立派。でもテルもスタメンで見たい選手なのに・・・。でももっとディフェンシブに挑む試合でダブルボランチになったら競演してくれると思う。
そして試合開始。いきなりの前半3分に城が負傷臭くて「おいおい、飛行機代高すぎだよ!」と思わずなつかしのリネカーが頭をよぎる。でも何とか大丈夫でほっと一息。
相手の中国は今のところアジア内では格下という位置付け。とはいえ先日のアジアカップ予選のようなわけには行かない。下といってもやや下ぐらいだからだ。その中国は名将ミルティノビッチ監督に率いられて迎える初戦。やはり身体能力は高い。そしてボールへの執念が強い。でも組織力、足元の技術では明らかに日本が勝っていた。つまり、まあ互角。でもホームの利と総合力で日本やや上か?という感じ。
でも海外組、特にヒデとナナがどんどん引っ張る。やっぱりこの二人が入ってもらわなきゃ。もともといいパサーが多い中盤に更にこの二人が入ってぐいぐい引っ張っていく。もちろんオフェンスだけではなく、ディフェンスでも高い位置から果敢に仕掛けていく。そしてそんな彼らに刺激されたのか、パスもいつもより少ないタッチでつながっていくし、ロングフィードもどんどんいいところに出る。森岡や中田浩のロングフィードの精度の高さは知っていたが、今日は松田からもなかなかいいボールが出た。「長いボールが蹴れる選手」というのがトルシエのディフェンダー選考の要素だそうだがそれは良く分かった。
松田ももうかなりフラット3(のコントロール)には慣れたよう。全然バタバタしていなかった。森岡もついに「要」の4番を背負ったが「おかえりなさい。お待ちしてました」という感じ。安心してみていられるディフェンダー。ちょっとオフサイドのかけそこないは気になったけど、それはどっちの責任かわからない。
そしてイナ。今日は特に前半の長めのパスが気持ちよかった。今日は最近で一番チームに効いていたんではなかろうか?やっぱり周りのレベルが上がると相対的にいいプレーが出てくるあたりが大物っぽい。それでも特に望月サイドにぽんぽんと気持ちいいボールを放り込む。どっちかといえば右への展開が好きなのかな?イナは?
でもセリエAに行って更に優雅さがましたヒデと更にプレーのハングリーさがました名波。ここを中心に高いレベルのいいパスがどんどん出てくる。前半30分ちょっと前には右のヒデから左のナナへの長くて美しすぎるグラウンダーのスルーパスが通ったりして、点が入るのは時間の問題だと思っていた。この辺では。最近の日本代表の試合の中では間違いなくピカイチに面白いゲームだった。
でもやっぱりこのワクワクする中盤に比べるとフォワードの層の薄さは否めない。中山を90分使わねばならない今は特にそう思う。これはちょっと人選も気になる。もっとだれかいる気がするのに。久保とか入れて欲しいんだけど。超個人的には。結果的に無得点、しかも振り返れば枠に行ったシュートはゼロという前半は(人選から含めた)フォワードの責任が大きい気がする。
そしてハーフタイムあけて後半。どうもベンチ采配に納得がいかなかった後半。最初は良かった。前半そのままの勢いでヒデの視野の広さや、城もやっとポストらしい仕事もしてチャンスメイクもした。(これは前半からだが)中盤もお互いにポジションをフレックスに入れ替えて様々なオフェンスの形を見せてくれた。
・・・が、ゴールが遠い。ネットを揺らした中山隊長のヘディングシュートもオフサイド。そうしているうちにだんだんスタミナが切れてくる。そうなるとテク・組織力の差で試合を支配しきれなくなってくる。そこで投入されたのは小野に替わって服部。中田浩に替わって俊輔。でも俊輔が本格的にアップを始めると神戸ユニバーは最高に盛り上がって、僕が見たいものをみんなも見たいんだなあ、と思う。でも名波の2列目はもっと長い時間見たかったけどね。
試合時間が90分に近づくにつれてヒデもイナもみんなもスタミナが切れているのは明らかで、特にヒデからのパスミスが目立つようになってしまった。これは黙っててもボールが集まってくるから仕方ない部分も多々あるし、もともと欧州組に90分フルに期待するのはこのハードスケジュールでは酷だったような気がする。今日は交代枠は5人まで持っていたのだし、中盤のサブもそうそうたる面々だったのだからあと2枚の「カード」も使って欲しかった。3人までしか替えないのがトルシエのポリシーなんだとしても。おかげでタイムアップに近づくにつれてヒヤヒヤする時間が多くなるばかりだった。
そして結果的に引き分け。これは結果は結果だ。でもこの場所、この戦力で負けはしなかったものの無得点で引き分け。本当はこのまま3日ぐらい置いてAマッチをやってほしいところだがそれもない。この試合で判断するとしたらトルシエの進退は本当に考えるべき時期なのかもしれない。若い世代に専念してもらうとか・・・。
面白かった。少なくとも前半はずっと。後半もベンチの采配次第で良くなれた気がするだけに残念だ。「急造チームだったから」という言い訳はきかない。なぜならば、これからもっと日本人は海外に出て行くだろうから。でも出て行くのがミッドフィルダーだけでは寂しい。世界のゴールをこじ開けてくれるフォワードはどこかにいないのだろうか?と切に願う。
