差出人: Takagi
送信日時: 2000年11月24日金曜日 11:26
件名:
げひら的天王山観戦記(11.23 ガンバ大阪vs鹿島アントラーズ)
<Result>1−2 得点者:新井場(柳本)
<メンバー>
吉原 ブーレ
(→小島)
山口貴 森下
(→松波) (→木場)
イナ ビタウ
新井場 宮本 ダンブリー 柳本
都築
<げひら的MIP>ナシです。敢えて言えば、実況の山本アナの言葉。
<文章方針>(ぐぅ)←ぐうの音も出ません。
ついにこの日がきてしまいました。1位鹿島アントラーズと勝ち点1の差で2位のガンバ大阪との直接対決。もし90分でガンバが敗れることがあったら優勝の望みは絶たれる。絶対に勝たなければならない試合だった。しかもガンバのホームスタジアム万博競技場は満員。このたくさんの関西チームのJ初優勝を心待ちにしている人たちのためにも、もちろん僕らの僕のためにもこの試合は落とすわけにはいってもらいたくなかった。
ガンバのスタメンはベストメンバーと言っていいだろう。ただ早野監督は”司令塔”の二川ではなく”運動量”の森下を配した。ディフェンスラインは4バックに戻し、前回名古屋戦の”3バック+両サイドバック”という形は取らなかった。それも面白いかなと思ったんだけど。
試合が始まると、Vへの壁というものがいかに厚くて硬いかというのを実感する。アントラーズの試合運びというのがテクニックにも裏打ちされていて、あまりに巧い。まるでガンバイレブンに”格上”というのを誇示するかのように。そしてアントラーズは誰が目立つというわけではない。ディフェンスはしっかりしてるし、誰かがボールを持つとちゃんと近くにもらい手がいる。悔しいが個々の技術もしっかりしているのでいつのまにか形を作られてピンチになっている。そういう強さでガンバゴールを脅かしてきた。柳沢も(まるでケガをした平瀬が乗り移ってるかのように)積極的にゴールを狙ってきて、序盤からガンバの”13人目の選手”のゴールバーが2本もシュートを止めてくれたりした。そのたび「よし、ツキはあるぞ」とつぶやきながら胸を撫で下ろした。
しかし、かたやガンバのディフェンスはというと最終ラインではね返すのみの守備。それをまたアントラーズに拾われて攻められてまた大きくクリアして、という繰り返し。たまにクリアボールがブーレのところに飛んでもやっぱり頭では競り負ける。そうなるとカウンターでなんとかゴールを、ということになり、ビタウ、イナといった長いボールも蹴れるパサーのひらめきにかかってくるのだが、インターセプトなどから彼らが起点になろうとしてもどうも回りのフォローが一歩遅れ、「速いカウンター」が仕掛けられない。そんないいムードも少ない中で”運動量”のモリシ(た)がプレスに攻撃にがんばりを見せ、「俺は誰より優勝したいんだ」と言う気持ちが伝わってきた。それが伝わったのか、いつもならなかなかこういう展開だと前へのボールがあまり出てこなくなるガンバもどんどん前線にボールを放りこんでくる。まただんだんと新井場、柳本の両サイドバックも攻撃参加を見せ、オフェンスが少し厚くなる。でもパスもクロスも精度が良くなかったけれど。
しかし、少しいい攻撃がで来てきたといっても試合は圧倒的なアントラーズペース。小笠原にはセンターライン附近から超ロングシュートをあわや決められそうになるし、最近よく出ているフォワードの鈴木と言う選手もポストプレーもパスもうまい。「こんな選手がフロンターレにいたのか?」という感じだ。小笠原、ビスマルク、中田コージ、熊谷と様々な起点から色々な形を作ってガンバゴールに迫って来る。手数が多い。ガンバのディフェンスはオフサイドも取れず、柳沢に鈴木に裏へ抜け出されてばかり。ここで少しでもオフサイドが取れればあれだけ支配されもしなかっただろうけど。
しかし、やはり圧倒的に支配され、それに見合う(?)ように先制点、2点目と立て続けに決められる。1点目は確かに鈴木のシュートがダンブリーに当たって都築が逆を突かれてしまったものだったが、それまでにヤナギ(さわ)に2点は取られてもおかしくなかったのでそんなことは言ってられない。しかし、2点のビハインドはあまりに痛かった。ここまでいつも通りメモを取りながら見ていたのだが、そこからメモを取るペースが落ちた。ちょっと冷静に見ていられなくなったのかもしれない。当たり前だけど。
しかし、前半の最後になってやっとガンバに流れが来る。やっといい形でボールを持ったブーレが強烈なシュートを放つがこれはゴールの中に回り込んだファビアーノにクリアされる。「前半はここまでか」と思った終了間際に新井場がペナルティーエリアの(相手ゴールに向って)左側のすぐ外でファールをもらってフリーキック。それが完全にミドルシュートレンジでフリーになっていた柳本へ。そこから新井場にボールが入って(シュートの当たり損ねだったかもしれない)ダイレクトで決めてくれた。イバちゃんアリガト。自分でフリーキックを獲得して自分で決めた。本当に頼りになる男だ。これで1点差。まだいける。と思いながら前半終了。
「3強」のもう1チーム柏レイソルもホームで1点を追いかける展開だという。まだドラマが待っていると期待しつつ、信じつつ、後半へ。ガンバは森下に代えて木場が入る。(木場、ツネさん、ダンブリーでディフェンスラインを組んだ)名古屋戦のフォーメーションかな?と思ったらそうではなくて木場はボランチに入ってイナ、ビタウが高めのポジションを取る。
そして笛が鳴る。後半の立ち上がりはかなりいい感じ。前半攻めあぐねていたのがウソのように押せ押せ。リズムも出てきた。木場効果?でも中盤で前半ほどアントラーズからプレスがかからなくなって結構フリーで持てる事が多くなる。そうなると、ビタウ、イナ、山口貴のパサー陣は引けを取らないセンスを持っている。しかしゴールは脅かすもののネットは揺らせない。
そこでベンチも動く。吉原に代えて小島投入。コジの抜け出す動きからチャンスも生まれるが、ゴールまでは繋がらず。しかし、このまま90分が終わってしまったら優勝は消えてしまう。攻める。攻める。攻める。セットプレーを取る。でも点は取れない。
山口のボレー、新井場のミドル、そしてブーレのヘッド。いずれも紙一重でゴールならず、アントラーズのイエローも辞さない時間稼ぎにもやられ、無情の笛。
優勝の夢は消えた。
ホント、無念。本気でチャンピオンシップは乗り込むつもりだったのに、昨日は辛い夜だった。ここまで頑張ってくれたイレブンには拍手を送りたいが、やっぱり優勝して欲しかった。
だが、終盤に来て優勝争いのライバルとの直接対決に(ホームの万博でお客さんもいっぱい入ったにもかかわらず)(どちらも90分で)敗れたというところに今のガンバの弱さがあると思う。経験なのかもしれない。若さなのかもしれない。でもいずれにしても、この優勝争い、そして僕よりも数億倍悔しいであろうガンバの選手たちはこの経験こそ糧になる。(ビタウ、ブーレも含めて)若い有望な選手が揃っているのだからもっと伸びて欲しい。そして日本一のクラブチームになってもらいたい。それは僕の夢でもあるから。
気は早いけど、来期の事を考えると新井場の可能性はミッドフィールドの方がもっと生きる気がするし、ブーレとビタウの2年目のコンビネーションも楽しみだ。また、チーム自体も(外国人が残留するとして)もっとブーレにあわせる必要はあると思う。ブーレは足下でのポストプレーでは強さを発揮するから。
そして、育成、補強するのならディフェンダーだろう。健在だが衰えも出てきているダンブリーや柳本の”代わり”になれる選手を補強なり育成しなければ。ある程度の駒は揃っているのだから、ここからチームとして育っていくべきだと思う。
ガンバ黄金時代はこれからです。
でも日曜の試合(国立)は僕としても楽しみだなあ。

<追>
山本浩アナは言いました。「1つ1つのプレーが90分間につながる」と。
このガンバ大阪の1年間は、例えば苦虫をかむような展開で苦しかったファーストステージもセカンドステージにつながったように、来年以降に繋がっていきます。つなげなくてはダメです。今年を戦い抜いたこのメンバーを中心に来年につなげていけるかが課題でしょう。