差出人: Takagi
送信日時: 2000年10月27日金曜日 21:31
件名: げひら的観戦記(10.27 アジアカップ決勝トーナメント準決勝 日
本vs中国)

<Result>
−2 得点者:オウンゴール、西澤(中村?)、明神(高原)
<メンバー>

    西澤   高原
     (→柳沢)
         森島
 中村      (→奥)  
               明神
      名波
          稲本
           (→望月)

  服部    松田   森岡

         川口

<げひら的MIP>ミスを自ら取り返した
明神
<文章方針>よく勝ったなあ。と感嘆。

 中1日で迎えた準決勝。ここまで割と平坦な道を順調に歩いてきた日本代表。完封した試合がないのはちょっと残念なところだったけど、それでも(サブメンバー中心だったカタール戦を除き)圧倒的な攻撃力でほとんど危なげなく勝ち進んできた。優勝まではあと二つ。準決勝の相手は中国。「雑技団?」と
西澤は笑ったそうだがどうも無気味さがある国。中東の不気味さとはなんか違うところ。春に対戦した親善試合の時には0−0で引き分けていて、「トルシエのパサーを並べるチームの是非」みたいな論議も起こったのだが、その時とは比べ物にはならないだろう。チームとしてかなり成長を遂げたと思うので。でも同じく中国も名将の呼ばれ高いミルチノビッチ監督のもとでフィジカル頼みのサッカーからかなり組織的なサッカーに生まれ変わり、成長したとのこと。そうはいっても試合前の予想では圧倒的に日本有利だった。

 スタメンで意外だったのは
松田が入ったという点。イラク戦の中澤は悪いパフォーマンスではなかったし、前回の観戦記でも触れたけど、僕は松田森岡を並べて使うことはちょっとリスクが高いと思うので、先発はイラク戦とまったく同じ11人かなあと思っていたのでちょっとそこだけ意外に感じた。でも松田の復帰はコンディションが戻ったと言う事なんだろうし、心配なのは中1日というスケジュールでの疲労のひきづりくらいかなあと思っていた。
 しかし試合が始まってみると思ったよりも中国のディフェンスがきちんとしていてビックリした。プレッシャーのかかるプレスでパスコースもかなり消されてしまい、黄金の中盤がほとんど機能しなくなった。しかも疲れもやっぱりあるのかこぼれた球をほとんど中国に拾われる。そのため殆どツートップの存在が消えたまま序盤の時間は流れていった。
 そして10分経過。今までの試合を思い起こしても最初の10分でスコアが動かないのが変な感じさえした。とはいえ、ペースは中国。日本もボールを回したり、サイドチェンジを試みたりとなんとかペースを戻そうとするものの、やはり疲れからからしくないパスミスもがあったりと、どうも中国ペースで時間が流れる。でも”悪い時間帯になんとかしようとするトライ”というのは今までの日本代表にはそんなに見られなかったような気がするので、この辺は経験豊富な今のメンバーのよさだろう。
 しかし、ついにスコアが動く。ゴールを挙げたのは意外にも(?)日本。上がってきた
松田が左サイドの名波へ。そして名波が大きく右の高原へ。高原が低く折り返したところを森島が豪快に押しこん・・・だと思ったら押し込んだのは相手ディフェンダーの足だった。でもここは中国の一瞬のスキをついた日本の展開力のゴールでモリシのゴールと言ってもおかしくないオウンゴールだった。

 なによりも選手のカンフル剤になるはずのゴールだったのだが、やっぱり波には乗れない。むしろまだ中国ペース。やっぱり日本の選手がボールを持ってもボールの出し所がなかなかない。しかもパスコースの選択肢も少なくされている。思ったよりも手ごわいゾーンディフェンスに攻めあぐねている所に食らった同点ゴール。これは日本の先制シーンと同様中国に大きく左右に振られて完全にディフェンスが崩されてのゴールだった。ペースは握られてるし、ちょっと嫌な予感がよぎる。しかも嫌な予感が別のところで的中。相手の決定的な形につながりうる突破を許しそうになった
イナが後ろからのファールで止めてしまい、イエローカードを受ける。これによりイナは累積2枚で次の試合は出場停止。この試合に勝ったとして決勝戦はイナ抜きで戦わなければならなくなった。これはファンとしては辛い所。でもイナのもらった2枚のイエローも遅延好意などの余計なイエローではなかったので、これは仕方ない所と割り切るしかない。と思った。

 後半もゾーンディフェンスの前に攻撃陣はまだイマイチ形を作れない。逆に安易なパスミスがあったりして何度もピンチを迎える。日本も
西澤が開いたりして何とか崩そうという意識は見られるものの、なかなかうまくいかない。
 そんな中でここまでずっと右サイドの攻守に貢献してきた
明神が決定的なパスミスをしてしまい、それをかすめとった中国選手がそのまま持ち込んでゴールネットを揺らしてしまった。・・・逆転。イラク戦で許した先制点なんかとは重みの違う試練。「まさか」が頭をよぎる。そう、オリンピックでまさかの敗退を喫したアメリカ戦。あのアメリカもディフェンスはどちらかと言えば組織で守るチームだった。日本は同タイプのチームには弱いのかぁ?
 と思ったのは事実だけれど、このへんから幸いにも状況がちょっと変わってくる。中国のファールが多くなってきたのだ。そしてそのチャンスを日本は生かす。いい位置でもらったフリーキックを
俊輔が直接狙う。そのボールはバーに嫌われたがそのリバウンドを西澤が頭で押し込んで同点!よく追いついた。ここが今の日本の強さだ。僕は5本のPKより3本のフリーキックの方が点に繋がるとは思えないけれど(笑)、俊輔のフリーキックは無形文化財でもいいね。とは思う。
 そして同点になって、フィジカルからかメンタルからか、中国のプレスがここで弱くなってきた。やっぱり序盤からあれだけいいプレスをかけてきたのだから消耗も大きかっただろうと思う。けれどそうなってくると日本の中盤は息を吹き返す。パスも繋がるし、トップにボールが入る。そうなるとまた必然的に中国のファールも増え、イエローも何枚か出た。そしてファールをもらうともれなくついてくる
俊輔のフリーキック。得点にはつながらなかったものの日本のリズムを取り戻すには充分だった。
 
イナ明神も相手ペナルティーエリアに顔を出すようになって、惜しいシュートも何本かあった。そして勝ち越しゴールを奪ったのは明神高原の落としたボールに走りこんでのいいシュートだった。明神自身(インタビューでも言っていたが)失点につながるパスミスをやらかしてしまったのは相当悔しかったのだろうし、期するところはあったのだと思う。でも高原のアシストも良かった。やっぱりいいポストプレーはチャンスにつながってくる。そんな見事な明神の2試合連続ゴールだった。職人だね。

 試合はもう走り疲れが見える中国が追いつくことはなく、逆にプレスさえ機能し始めた日本が逃げ切った。今日は終了間際のプレーはこの前よりは良かったように感じた。でも苦しい試合だったかれど90分で勝てたのは大きい。延長はやっぱり消耗するからね。
 そして次はいよいよ決勝戦。
イナが出れないとなると必然的にボランチには明神が入るのは間違いないだろう。そうなると右サイドに望月を入れるか、あるいは森島を右サイドに入れて2列目に小野を入れるかといった選択になると思う。でもモリシは2列目で使いたいし、右サイドはある程度バランスを取る役目を、というトルシエの考え方でいけば望月が入るのだろうか?まあそうやってメンバーを想像するのも楽しいけれどイナ抜きでという条件がつくのがやっぱり辛いね。
 決勝の相手はサウジアラビア。予選では4−1で圧勝したがその直後に監督が解任され、新監督はあっという間に結果を出してきた。きっと相当リベンジに燃えているはずだ。
 でも今の日本は殴り合いでは負けない。それだけの攻撃力は持っている。そしてサウジ戦では右サイドに入る選手の出来がかなり勝負の鍵を握るだろう。
 そう思うとやっぱり
望月かな?そしたら今まで結構惜しいシュートを放っている彼のゴールが見たい。そろそろ取ってもいいと思うので。
 あとはディフェンスもこの試合の2失点を反省して今度こそ完封して欲しい。どうも時々落ち着いてみていられないシーンもある
川口にも今度は完封してもらいたい。そのぐらいの事をやってのけなければ日本の正ゴールキーパーには戻れないような気もする。
 厳しい事も書いたけど、決勝はまたリアルタイムで応援するよ。フォルツァニッポン!アジア王者まであと1つ!