差出人: Takagi Shigehira 件名 : 6月25日 〜♪2人を つないでいく〜 日時 : 1999年6月25日 15:55  うーん。体がなんとなく退院に備えて変化しはじめたのかなあ、と思う。ここのと ころ、どうも寝付くまでに、以前よりも時間がかかるのだ。  そうは言っても「眠れねーよ」って泣き言を言いたくなるほどではないのだけれど ・・・。それでもこれまで、9時だ10時だにホイホイ、サクサクと眠れていたあの 寝付きの良さとは違ってきている。ここのところ雨続きで、寝るときに「暑い」と感 じることはまずないし、今までであれば順当にサクッと睡眠の世界に飛び込んでいけ そうな感じなのに、サクッとは眠りに入れない。うーゴロゴロという時間をはさむ。  ゴロゴロ、というのは布団にくるまってみたり、足を出してみたり、腕を出してみ たりしつつ、体位(?)を変えているときのことである。うつぶせ、横向き、仰向け といろいろ試してみながらその夜にしっくり来るものを探す。ただ、結局は横向きで 落ち着いてしまう日が多い。うつぶせは刺激が強いので。たいていしっくりした体位 が見付かって、いつしか寝ているもので、そのことに関しては昨日にしても例外では なかった。  でも不思議なもので、そうやって寝付けない夜があり、その中でしっくりくる体位 が見付かると(例えば仰向けで腹の上で手を組むとか、片足だけヒザを折るとか・・ ・)その後の数日はその体位に”すがる”事になる。「あの夜これで眠れたから・・ ・」という安心感があるのだと思うが、実際その暗示にかかって、しばらくはその体 位で寝付く。基本的に冒険をしない僕の性格がこのへんに出ている気もするが。  昨日は例によって「どっちの料理ショー」を見てから眠ったのだけれど、テーマ は”和朝食VS洋朝食”で、アジの開きやらクロワッサンやら、お浸しやらオムレツや らと、心をくすぐられるものが山のように出てきて、胃酸はだいぶ出たに違いない。 結果は和朝食の圧勝だったが、あのみそ汁もうまそうだった。 この番組は入院以来本当に欠かさず見ている唯一の番組だが、(「古畑」の第一回: 市川染五郎編は検査の夜のつらさで見れなかった)、この番組は考え方によっては今 のテレビ界で最もシンプルな番組だと思う。パネラーは食欲のみに沿ってコメント し、ジャッジする。関口宏と三宅裕司がいくら盛り立てても、世界のどこから特選素 材を調達してきても、結局パネラーの「食べたい」欲に応えた方が勝つ。単純でいい じゃない。  でもパネラーはそれでいいとして、この番組のスタッフはよく頑張っていると思 う。ネタを集めるスタッフはもちろんだが、いろいろ細かいところを毎週毎週試行錯 誤している、というのもある。CMに入る、CMを挟むタイミングとか。そんなところに 感じる向上心がとても好きだ。僕がこの番組を離れられない理由はこのへんにもあ る。  また昨日は夕方、薬剤師のヒラグリさん(仮名)がとりあえず週末までの薬をまと めて持ってきてくれた。ついに薬の自己管理、スタートというわけである。(これま では毎回の食事前に看護婦さんが持ってきてくれた) これからは欠かさず薬を飲む、ということをベースにして暮らさなきゃ、と誓った。   <少年>  少年は歩きつづけていた  小さい頃 父の繰り返し教えられた  「マイペースで歩け」  それだけだけを考えて  少年は歩きつづけていた  水たまりに足をつっこんで  水たまりは冷たいのだと知った  水たまりで汚れるのだと知った  人とぶつかって転んで  そんなこともあるのだと知った  急いで歩く人を見て  忙しそうだなあと思った  思わず人を傷つけて  その悲しそうな顔を見て  こういうのはやだなと思った  思わず人を怒らせて  その本気の表情を見て  もうちょっと気をつけようと思った。  そして少年は  マイペースで  歩きつづけた    少年は歩きつづけていた  小さい頃 父に何度もさとされた  「失敗は繰り返すな」  そんなことも考えるようになり  少年は歩きつづけていた  下を向いて歩いていたら  ごつん、と頭をぶつけて  あ、上も見てなきゃいけないや  そう思うようになった  上を向いて歩いていたら  石ころにつまづいて  前につんのめった  あ、足下にも気をつけなきゃ  そう思うようになった  頭もぶつけて  足でつまづいて  はじめて、前を向こうという  ところにたどりついた   そして少年は   マイペースで   歩き続ける  少年には     それが      精一杯だけど。 ###########################     タナカレイナってアキノヨウコの目に似てない?         たかぎ しげひら (夏至過ぎの南311号室より) ###########################