差出人: Takagi Shigehira 件名 : 5月13日 「ももこの話」も読んじった。 日時 : 1999年5月28日 19:59 ・・・読み終わってから、この3部作は、本当は「あのころ」「まる子だった」「も もこの話」と続いているのだと知った。モモコ エッセイ集は早くも残り一冊。順当 にいけば「まる子だった」であったのだが、大差なさそうだ。 それのしても、さくらももこはいつもホテルで缶詰めになって「書かされる」ような 状態らしい。僕はエッセイというものには、「日々のさりげない言葉を積んでいく」 ようなイメージがあるのだけれど・・・。やっぱり文才なのかしら。 僕は今まで思い流していたことをこの機会にできるだけ引っぱり出して字にしている だけで・・・。ま、それもエッセイ。稚拙ではあれど、エッセイはレベルさえ問わな ければ無限である。その文字の列の中に、読者は共感を見つけ、自分と照らし合わせ てみたりする。他人の考えに、惚れる。  それにしても、この本(「もも子の話」)は僕自身、共感できたり関連して文章が 書けそうなテーマが特に多かった。思うに、マーフィーの法則ではないが、エッセイ を読むとき、共感する部分が(、時として、それだけが)特に印象に残っているよう な気がする。結構考え方の違うところも多いが、それはあくまでも他人の考えとし て”流し”、共鳴したところを拾い集めて、ついには作者に共感し、「私(僕)、結 構この作者に似てるかも」とまで思ってしまう。シニカルな視点で言うと。 まあ、もともとエッセイなんて気楽な分野なのだし、素直に受け入れればいいのかも しれないが・・・。  というわけで、今日のテーマは「もも子の話」関連の羅列だー。   <タバコとメダカとレディーボーデン>  唐突だが、僕は3つのものを並べるのが(言葉をね)好きだ。何となく、二つ並べ るよりも落ち着く気がする。中学時代から作り続けている邦楽最新ヒットセレクショ ンのカセットテープにいつもオリジナルのタイトルをつけ続け、季節感を込めてみた り、何かをパロディーにしてみたりと、一応10年以上の試行錯誤の末のおぼろげな 結論だ。並べる物が2つだとなにか比べているような感じもするし、まだ先に続きそ うな気がする。3つならば完結感もあるし、やはり僕には落ち着くし、しっくりく る。ま、人それぞれだとは思うが。  さて、前置きが長くなって最後が駆け足になる、という”宮部みゆき傾向”がある ので(笑)テーマに入りましょう。3つ並べりゃ落ち着くとか言っときながら、3つ のテーマで収まるかしら? 一日2ページと決めて書いてみると、最初は何か凄い量のような気がしても、最後は いつも尻すぼみになっている。まあ段々ネタがなくなってくれば、短くなっていくか もしれない・・・。  さて、タバコ。ポリシーに環境と、色々と考える要素があって、これは深いテーマ かもしれない。とは言っても、未だにこいつは自分の中でしっかりした位置づけがで きていないし、「何で吸ってんの?」という非常に基本的な質問をぶつけられたとし たら、その場でそのたび考え込みそうな気がする。テンションの低いときであれば、 間違いなく「何となく」と答えそうな気がする。 ストレスもあるし、気を紛らわすという効果を期待して、という当たり前の理由は勿 論あるけれど、もともとのきっかけは多分「反抗」なのだから、少々不純であるし、 そのこともあって未だタバコに対するポリシーを持ちえていないのだろう。  しかし、たとえ何十年と自らに禁じてきたこの禁断の葉っぱでも、一度口にし (て、肺に入れ)てしまったら、あとは流れとなり、習慣となっていく。段々吸い方 もスムーズになる。そして「MY吸い方」みたいなものが確立してしまう。僕の場合は 口をとがらせて吸っているらしく、仕事中先輩たちによくからかわれた。ま、楽しん でもらえりゃ万々歳、である。  とはいえ、僕はヘビースモーカーではない。タバコなしでも居られる。禁煙の場所 で敢えて吸いたいとは思わないし、今みたいに禁じられている状況ならば、別に何ヶ 月だって吸わぬまま暮らしていけるだろう。  ただ、高校に入る位までは決して吸うつもりはなかった。一緒に暮らすジイちゃん は喫煙家だったが、他の家族は僕も含めて皆嫌がっていた。でも親戚の元船乗りのお じさんなどは、いつもパイプでピースを吸っていて、何となくカッコ良かった。  また、中学までは同世代のタバコにも幸いあまり縁もなかった。ましてや良い子路 線を着々と歩いてきた僕にはタバコは遠い世界だった。  高校に入って、急にタバコが近くに現れた。当時クラスでかなり仲良くしていたS という奴が居て、そいつは家庭の事情があって一人で暮らしていた。そしてSの家に 泊まったり、飲み明かしたりすることも多かった。(「ドーンパープル」の美しさを 肌で知ったのもこの頃だ) そこに集うのは不良ではないが、少々問題アリ、という位置づけになりそうな奴らが 多かった。僕はそのころ優等生タイプよりはそういう人たちと仲良くしていたし、居 心地も良かった。また、現にそういう人たちにも僕は可愛がられていた(同い年だけ ど・・・)と思う。ま、得てしてそのS宅の夜はタバコの煙で真っ白かった。それで もこの頃はまだ嫌煙ポリシーが強くて、たとえ火をつけて口にくわえても、肺に入れ なかったものである。まあ、ありがちなエピソードとして、「高木、一度深く吸って みろよ」と言われて吸い込んでみて、当然ゲホゲホと悲しいくらいにムセて、皆の笑 いを誘ったことはあった。でもそんなことも高校3年間を通して2,3回だけだった だろうか。今思っても、あれだけのタバコに囲まれてよくそれだけで済んだと思う。 意志もかなり強かったし、ポリシーも強かったのだろう。ポリシーというものはその 規模に反比例した長さの時間、持ち続けることが必要なのだ、と今ふと思った。  ただS宅で一晩明かした次の朝、ものすごくタバコ臭い服を洗濯に出すとき、「親 は僕も吸ってると思ってるのかなあ?」という疑問も漠然としてあった。でもポリ シーは強固であったし、後ろめたい気持ちは全くなかった。  ・・・・・  ・・・予想通り、というか、「タバコ」だけでも書ききれない。  まだ前編という感じだ。・・というわけでこの3つのテーマでしばらくは引っ張る ことになりそうだ。  人生、あまり欲張らない方がいいかもしれない。 ・・・・・タイトルならばいいが。 ***************************             S311号室より         たかぎ しげひら ***************************