差出人: Takagi
送信日時: 2000年4月13日木曜日 16:43
件名: おっきな輪♪<4>

 今日はなんか暑かった。春には春の暑さがある。夏は夏で「むわっ」とくる暑さがあるけれど、今だとこの暑さで充分むわっとする。もちろん夏のそれは全然比べ物にならないのはわかってるんだけどね。

 そんな中、午後は時間のかかるパソコンのハードディスクの「最適化」の作業をやっていた(→正確には「実行」だけクリックしておけば、あとは勝手にやってくれる)ので、ずーっと気になっていたこの前読みかけた吉本ばななの小説「アムリタ」の下巻を何日ぶりかで手にとった。今日の気分はプレステよりも小説だったということだ。
 そういえば、一人暮らしをしていた頃、夏のメッチャ暑い日に汚い自分の7畳の部屋にこもって確か(「アムリタ」ではなかったが)吉本ばななの小説に熱中していたことがあったのを思い出した。断片的に。ただその後でメチャクチャ腹が減ってご飯を2合炊いてレトルトの辛いカレーをかけて汗をかきながら全部食べたのを思い出した。今日この本を再び開いたのは気温の影響も無かったとは思わない。

 そうなるとやっぱり例の(?)カウチポテトスタイル。もちろん布団はひいてない、でも日当たりはすごく良いアカリのベッドで横になって仰向けになって本を開く。話が再び流れ出す。あ、BGMがいるな、と思って隣の僕の部屋のラジカセのところにいって、ボニーピンクかしらん?と思ったけど、今日はちょっとちがうかな、とちょっとだけカッコつけてフライングキッズのベストにした。浜崎タカシの荒い声が流れてくる。
 それにしても、ばななの本を読んでいるとどうしてこうも感受性とやらが刺激されるんだろう。本を読んでいる、読み進めているのにも関わらず、読み進めながら色んなことに思いが飛んでしまい、あれれ、どんな展開だったんだっけ、と今読んでいたはずの文章を再びちょっと戻ることも何度もあった。それは今日だけでなく。言わば共鳴とでもいおうか。

 フライングキッズについても考えた。彼らの音楽はとってもストレートだ。良くも悪くも。だから好きだし、友達にも捧げる。僕の青春時代にはさりげなく常にフライングキッズはかかっていた。そのせいか、ベストアルバムに収められた曲たちは友達や仲間や恋人とドライブした雰囲気を時々見せてくれた。
 浜崎タカシは(ひいては、フライングキッズは)とっても(その名前のせいもあるかもしれないが)やんちゃだと思う。気取った言い方で言えば『等身大の青春』だ。爆風のような裏通り風ではないが、表通りでもない。でも彼らの音楽を聞くとなんか背中を押された気分がする。車を運転しながら聞くとちょっとアクセルにかける力が増える。そんな気がする。彼らはいつもなんか同じ階にいて、同じ高さで背中を押してくれる、そんな音楽を届けてくれた。少なくとも僕には。
 青春ってとってもやんちゃだ。「とりあえず行ってみようぜ」という良く分からない、でも少なくとも前には進むパワーがあって、そのパワーを共有することが僕は何より嬉しかったし、それが出来たらもうその人は真の友達だった。少なくとも心の中にお互いの共有のところが出来ていた。それが青春の何よりの醍醐味。だから青春は終わるものじゃないし。
 それは僕たちの全盛期(?)も今も昔もかわらないことだと思う。そして、その無邪気な欲望は大雑把でいいのだけれど、抑え方を知っておかなければ、とんでもないところまで走ってしまう。愛知の悲しい少年たちは「とりあえず〜」の無邪気さでとてつもないところまで走ってしまった。大雑把をはるかに超えたところでも社会も止めてくれなかった、見て見ぬ振りをしたから。怖い。少年たちも、社会も。わきまえ方を教えるのは社会だ。少年達にも社会にも。その機会はいくらでもあった気がする。

 そんなことを思ったりして、時々戻ったりしながら「アムリタ」を読んでいった。これをちゃんと読むのは1,2年ぶりだろう。時々なんか読みたくなる。通算で4,5回目にはなるだろう。吉本ばななは好きだがこんなに何回も恋しくなる小説はない。高校時代に初めてエッセイを書くきっかけとなってくれた「とかげ」という短編ぐらい。ほかに挙げるとすれば。ということは相当好きなのだろうね。
 でも不思議だ。読むたびに日常に対する答えが見つかる。それも毎回別の個所で。
 そしてこれを読むのはいつも一年以上のスパンを置いているので、その間にまかりなりにも色んなものに触れ、感じ、出会いとか別れとかあったりして、僕も少しは大きくなっているはずなのに、この小説の”高さ”(みたいなもの)には辿り着けない。読んでいると、いつもこの小説は上の”階”にあるんだ。と感じてならない。高くから言葉たちが、文章たちが降ってくる感じ。すごいなあ、としか言えない。圧倒されて読む。いつも。
 ちなみに、今回辿り着いた「日常の結論」はこのくだり。ここを読んで、僕は思わずそのページの角を折っていた。こんな条件反射はばななの小説を読んだときぐらいにしか感じない。だから無断引用も許してもらおうか。そんな理屈はダメなのはわかってるけど、引用させてもらおう、やっぱり。


<21.CRUEL P253>
「友達がいれば」
 きしめんがいじらしいほど大まじめに言った。
「そうすれば、どんな人がどんなに何かをしてきたって、大丈夫なんだよ、守る力のほうが強いから、友達に恥ずかしくなくありたいっていう意志のほうが強いから。」
「うん。」


 僕には必要な本らしいです。これは。



◇◇◇◇◇TAKAGISHI◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

    Cdma−One2。遂に申し込みハガキ送りました。月内か?

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