−よし江のひとりごと−

Webサイトはバリアフリー

2001年 4月15日掲載

 このページは、部分的にCSS(Cascading Style Sheets)を使用しています。閲覧にあたっての注意事項が、「このサイトについて」のページに掲載されていますので、ご覧ください。


ひとりごとのページへ ホームページに戻る


−はじめに−
 「Webサイト」って何?と思われたかたもいらっしゃるかと思われますので、少し説明させていただきます。
 「Yahoo!コンピュータ用語辞典」によると、Webサイトというのは、「1冊の本のように、ひとまとまりに公開されているWebページ群。また、そのWebページ群が置いてある、インターネット上での場所。」と定義されています。本来、「ホームページ」というのは、Webサイトにアクセスしたときに、最初に表示されるページ(トップページ)のことを言いますが、日本では、Webサイト全体をホームページと呼ぶのが一般的なようです。(「アスキーデジタル用語辞典」より。)
 ということで、皆さんには「ホームぺージ」の方がなじみやすいかと思いますが、ここでは、「Webサイト」と呼ばさせていただきます。

−本題−
 昨年、政府が打ち出した、日本新生プランの重点項目の一つに、「IT革命の飛躍的な推進」が掲げられ、それを受けて今年1月に、「e−Japan戦略」が策定されました。
 それによると、5年以内に世界最先端のIT国家、すなわちインターネットを通じて、豊富な知識と情報を交流する「知識創発型社会」の実現を目指し、そのための重点施策として、電子商取引の普及や電子政府実現のための法制度の整備、安価な高速ネットワークの整備などの他に、情報格差を解消し、高齢者や障害者を含むすべての国民がインターネットを利用できるように、必要な知識・能力を身につけるための講習会や、使いやすいIT関連機器の開発促進などの施策を、強力に推進するというものです。これを受けて、全国各地で、国からの補助で全額がまかなわれる、無料のIT講習会が実施されており、この4月からは諏訪市でも行われています。
 このような講習会の実施により、インターネットを利用できる人が増えることは、私のWebサイトへのアクセスが増えることも期待でき、とてもすばらしい施策だと思います。
 
 しかし、すべての国民がインターネットを利用するのに必要な知識・能力を身につければ、それだけで、すべての国民が、インターネットを通じて必要な知識や情報を入手でき、ITの恩恵が受けられる、情報格差のないIT社会が実現できるのでしょうか。
 
 インターネットを利用しているのは、健常者(特に体に何の障害もない人)だけではありません。目の不自由な人(視覚障害者)も、少なからず利用しています。中には、ご自分でWebサイトを作成し、公開されているかたもおられます。
 目の不自由なかたは、パソコンの画面に表示された内容を見ることができません。このような目の不自由なかたのために、表示された内容を点字に変換して表示する、「点字ディスプレイ」や、音声合成の技術を利用して音声に変換して出力する、「音声読み上げソフト」といったものが開発され、市販されています。中でも、Webサイトの閲覧専用に開発された、「音声ブラウザ」と呼ばれるソフトは、比較的安価な値段で手に入れることができ、このソフトの登場によって、目の不自由なかたも、気軽にWebサイトを閲覧できるようになりました。
 私のこのWebサイトの動作確認に使用している、「ホームページリーダー」というソフトも、この「音声ブラウザ」ソフトの1つです。
 しかし、この「音声ブラウザ」ソフトは、どんなWebサイトでも、それを完璧に音声に変換できるわけではありません。例えば、絵や写真といった画像情報は、音声に変換することはできません。どんなに見栄えの良いWebサイトでも、「音声ブラウザ」が正しく音声に変換できなければ、貴重であるはずの情報も、目の不自由なかたにとっては、全く意味のないものになってしまいます。
 目の不自由なかたにも利用しやすいWebサイトにするためには、その作成にあたって、音声や点字に正しく変換できるように、それなりの配慮・工夫をする必要があります。どうすればいいの、と思われたかたは、例えば、「バリアフリーWebデザインガイド」をご覧ください。目の不自由な方々にも利用しやすいページにするためのポイントが、非常にわかりやすく解説されています。
 少なくとも、政府や自治体などの公共機関のWebサイトは、目の不自由なかたに限らず、他の障害者や高齢者など、どんな人でも利用できる、いわゆるバリアフリーなWebサイトであるべきですが、残念ながら、私が確認しただけでも、少なくとも音声ブラウザソフトに対し、充分な配慮がなされていないWebサイトが、少なからず見受けられます。
 
 すべての国民が、インターネットを利用できるようにするために、利用者を対象にした、IT講習会はもちろん大切ですが、それだけで終わったのでは、新たに、インターネット弱者を生み出すのではないか、というのが、ここで私が言いたいことです。
 それを防ぐためには、Webサイトを作成する人たちに対する講習会や指導などを実施し、「バリアフリーなWebサイト」を作成するのに必要な知識・技術を普及させるための施策も必要だと考えます。現在の政府や自治体の取り組みでは、このような視点が欠けているように感じるのは、私だけでしょうか。

−余談−
 ここのテーマとは特に関係ありませんが、ちょっと気になったので、一言述べさせていただきます。
 現在、公職選挙法では、決められた枚数の公選はがきと、決められた場所へのポスターの掲示を除いて、文書類を配布・掲示する選挙運動は禁止されています。そして、1996年に出された旧自治省の見解は、「Webサイト」を利用した選挙運動も、この「文書類の配布・掲示」に該当し、選挙法に違反するというものです。
 そのため、現時点では、候補者が直接有権者に訴えかける手段が、電話や、街頭や選挙カーでの演説という、実質的に音声による手段だけに限られていると言えます。
 カンのいいかたは、もうお気づきかと思いますが、このような音声による手段では、耳の不自由な人(聴覚障害者)には候補者の訴えは届きません。すなわち、現在の選挙制度では、耳の不自由なかたは、選挙管理委員会が発行する選挙公報や、新聞記事といった、他の人たちに比べて著しく限られ、しかも第三者による間接的な情報だけに基づいて、どの候補者に投票するかを選択せざるを得ない状況であるということになります。
 「選挙権」という、民主主義にとって最も大切な権利を行使するのに、一部の人がこのように限られた情報しか与えられないというのは、とても不公平であり、現在の公職選挙法は、「法の下の平等」を保証した憲法に違反しているのではないかと思わないでもありません。


ページのトップへ ホームページに戻る ひとりごとのページへ