−よし江のひとりごと−

諏訪湖周合併に大義はあるか

2004年 9月 5日掲載

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・はじめに
 諏訪湖周3市町合併の是非は、9月15日から行われるアンケート調査の結果によって、決まると言っても過言ではありません。
 今、私たち諏訪市民は、自分たちの将来を、自分たちで選択しなければならないという、大きな局面を迎えています。6市町村合併に関するアンケート調査の時もそうでしたが、今の状況は、その時とは大きく異なっています。
 6市町村合併には、スケールメリットがありました。行財政改革においても、枠組みが大きくなることで充分な効果が期待できました。市民サイドからみても、分権型合併という新しい試みによって、住民の手に小さな単位の自治権が託される、住民参加型の自治体になるという希望も持てました。私たちの生活圏が、すでに6市町村全体に広がっていて、それがまとまることに対する違和感も、あまり感じられないという住民感情もあったように思われます。
 これに対し、諏訪湖周3市町合併には、どのような大義があるのでしょうか。
 今回は、あふれる情報をどのように整理し、自分たちの将来をどう選択し、今後のまちづくりにどのように関わっていかなければならないかを考えてみたいと思います。


1.合併推進の背景
 今回、国が主導して、全国的に合併を推進している背景には、以下のような、国政レベルでの事情や国の考え方があります。
 ・小規模な市町村が、税収の伸び悩みや高齢化・少子化の進展などの、社会情勢に対応していくのは、極めて困難になっている。
 ・国の地方交付税特別会計は、税収減による財源不足を補うために、多額の借り入れ等を行なっており、現行制度の維持は困難になっている。
 ・地方分権を推進するために、行政課題の多様化・高度化に対応して、政策立案・遂行能力を高めるという観点からも、自治体の規模拡大が必要である。


 国も自治体も、財政状況が大変厳しい状態であることは事実ですし、その解決策として、「合併」も選択肢の一つであることは、私も否定はしません。しかし、単に合併するだけで、全ての問題が解決するわけではありません。これまでのシステムや意識の抜本的な改革、「地方自治のあるべき姿」という視点での議論を、充分に行なっていく必要があると思います。


2.行財政システムの転換
 これまでの行財政システムは、活発な企業活動によってもたらされる、継続的な経済の成長・拡大を前提としたものでした。しかし今後、日本経済は成長率が低下し、いずれは縮小経済に転じるのは、避けられないと言われています。
 現に、キャノンのような一流企業においても、売り上げの増加を目指すのではなく、限られた売り上げの中でも、利益が確保できる経営体質への転換に取り組んでいると聞きます。
 これからは行政においても、収入を増やすことを考えるのではなく、本当に必要な政策に、重点的に予算を配分し、無駄な支出は極力カットしていくという、メリハリのある行財政システムに転換して、財政支出の縮小を図っていく必要があります。


3.住民意識の転換
 私たち市民も、今までのように、何でもお上(行政)にまかせておけばよいという、依存体質から脱却し、自分たちでできることは自分たちでやるという、自治の原点に立ち返って、行政に対しても、口を出すだけでなく、手も出すという考え方に、切り換えていかなければならないでしょう。


4.合併特例債、補助金などに対する考え方
 今回、合併すれば、特例債の発行が可能になり、合併に伴う経費に充てられる補助金が受けられます。これによって地元の産業界が期待している、大型公共事業への投資が可能になります。
 しかし、過去の公共事業に使われた、公債(借金)の償還金が重くのしかかって、現在の危機的財政状況を招いたように、合併後に、特例債を使って大型公共事業を行なうことは、たとえ、その半分は国が補填してくれるとはいっても、私たちの子どもの世代に、多大な負担となって、のしかかってくることは目に見えています。
 合併に賛成している人の多くは、特例債の活用による経済の活性化と、それに伴う行財政の健全化を、主な合併推進の理由としていますが、このような考え方は、先にも述べたように、今後の日本社会の動きに、逆行していると言わざるを得ません。


・結論
 私は、今回の諏訪湖周3市町合併は、見送るべきであると考えます。  合併の目的や課題、「あるべき姿」にするためのシステムづくりなどを、時間をかけて充分に検討する必要があると思うからです。
 「単独では財政がもちそうにないから、とりあえず合併してそれから考える」という姿勢は、無責任であり、危険でもあると思います。
 少なくとも、合併しても、10年後からは合併特例債が使えなくなり、交付税も減らされるので、それに対応するための財政計画の検討・立案を、「新 市建設計画」における、最優先の課題にするべきだと考えます。
 もちろん、現在の地方財政システムの限界を考えると、諏訪市にとって、合併が有効な選択肢の一つであることは明らかであり、今後も検討していく必要性は、充分にあると思います。
 しかし、合併は単なる「器づくり」に過ぎず、その中身をどうしていくかが最大のポイントです。そのためには、現行のシステムの延長ではなく、新たな自治体を作るという観点からの、前向な検討が必要になると思います。


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