光触媒の原理
酸化チタンTiO2は白色の粉末で、毒性が無く安定なため、食品や化粧品に使われている。この酸化チタンはn型半導体であるため、上図のようにバンド構造もっている。
これに酸化チタンのバンドギャップに相当する光(380nm)を照射すると、価電子帯の電子は励起されて伝導帯に移る。一方、価電子帯にできたホールは半導体表面で酸化作用を示す。このとき、普通の半導体は非常に不安定になるが、酸化チタンは大変安定に存在できる。このことが酸化チタンが光触媒として優れていることの理由である。
水中では、励起によって生じたホールの酸化作用により、水が分解されて酸素が発生し、内部に進んだ電子が水素を発生することは、本多−藤嶋効果として知られている1),2) 。
この酸化力を利用したのが光触媒であり、抗菌殺菌作用、酸化作用によって汚れを分解する、有害物質を酸化する、超親水性によって水滴や曇りを防ぐなどの効果が知られている。その効果は、酸化チタン粉末や酸化チタン薄膜としてタイル、鏡、電球、壁材など身近なものに応用されている。3)
参考文献
1)藤嶋昭、渡辺俊也、橋本和也、「光触媒のしくみ」、日本実業出版社(2000).
2)佐藤真理ホームページ、http://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/2024/top.html
3)産業技術総合研究所ホームページ、http://www.aist.go.jp/aist_j/dream_lab/kankyo/a.html