燃料電池の製作
燃料電池の作り方
まず、いくつかの試みた中で、最も効率よく電流が得られた燃料電池セルを紹介したい。
製作に当たっては、山梨大学渡辺政廣教授と内田裕之教授にご指導いただいた。
@触媒の作成
両極ともに白金触媒が優れ(1)、しかもその白金を細かく分散させることで効率が上がる。そこで、活性炭に白金を担持させ、白金担持活性炭触媒をつくった。
具体的には、塩化白金酸0.2gと活性炭1gを水ーエタノール混合溶媒60mlにいれて1.5時間還流した。白金を担持させるにはNa2S2O4で塩化白金酸を還元させる方法(2)が知られているが、この方法は、高校でも扱いやすいようにと白金コロイドの作成法(3)を応用したものである。
A電極の作成
ガス拡散電極には、気体を透過させて電流を導きしかも腐食しにくい材料としてカーボンペーパーが使われている(4)。触媒粒子同士の結合を良くするために水素イオン伝導性の高いナフィオンを加え、カーボンペーパー上に@で作った触媒を貼付した。
具体的には、@で作った白金触媒0.1gに酢酸ブチル5mlを加え、超音波洗浄機を使って触媒をできるだけ細かく分散させた。そこに、ナフィオン溶液1mlをゆっくり滴下させ、よく混ぜた後に円状に切ったカーボンペーパー上に吸引ろ過して乾燥させた。
B電解液
0.5mol/l硫酸をろ紙(直径5cm)にしみこませた。
Cセル容器の作成
導入した気体を電極全体に拡散させて有効反応面積を増大させるために金網を入れ、ゴムパッキングをはさんで気体が漏れないようにした。
さら電極全体を挟むアクリル板を加工する必要があったが、地元製造会社でネットワークを組んで活躍されている大橋さんに協力していただくことになった。
D燃料電池の組立
図のようにAで用意した電極の触媒面を内側にしてBの電解液をはさみ、Cの部品を重ねてボルトでしっかりとめた。
燃料電池の組み立て図
アクリル板AA' 金網BB' ゴムパッキングCC' 電極DD' 電解液(ろ紙)E
完成した燃料電池
参考文献
(1)高橋武彦、「燃料電池」、共立出版(1992)
(2)渡邊政廣、触媒、308, 31(1989)..
(3)戸島直樹、現代化学、158, 52(1984).
(4)M.Watanabe el at., Chemical Letters, 8, 1441(1989).