測定方法@ PTIOによる一酸化窒素、二酸化窒素の測定
私たちは霧ヶ峰に注目して窒素酸化物濃度の測定した。これは2002年3月までは有料だった霧ヶ峰ビーナスラインが2002年4月に無料化され、交通量が増えることによって窒素酸化物濃度がどのように変化するかを検討しようと思ったからだ。
測定は、一酸化窒素・二酸化窒素補集液をフィルムケース内のろ紙に染み込ませ、測定地点に設置し、それを24時間後に回収して、蒸留水で抽出しザルツマン試薬と反応させ吸光度から濃度を求める方法で行った。大気中の窒素酸化物は一酸化窒素と二酸化窒素がほとんどと言われている。 ところがいくつか報告されている窒素酸化物の測定は、二酸化窒素だけのものがほとんどであり(1)、一酸化窒素を測定したものは少ない。本研究では、一酸化窒素の測定も合わせて行い窒素酸化物全体の様子を見ることにした。
1.実験方法
(1)NO2の捕集(フィルムケースによる捕集)
@トリエタノールアミン10mlにアセトン溶液90ml加え捕集液にした。
A図のようにフィルムケースに帯状に切った濾紙を入れ捕集液を0.2ml入れた。
B測定場所でカプセルのふたを開け、カプセルの口を下に向けて、セロハンテープで観測場所に取り付けた。
*高さは人の鼻の位置が望ましい。直射日光が当たる所は避ける。
C正確に24時間空気に触れさせてからふたをして回収し分析した。
(2)NOの捕集(フィルムケースによる捕集)
@(1)のNO2捕集液に0.2gのPTIOを加えて、以下同様に取り付けた。
※ PTIOは、NOを酸化してNO2として吸着する試薬である。
(3)分析(ザルツマン試薬の吸光度からの濃度算出)
@捕集したカプセルに純水8mlを加え30分間抽出後、軽く振り混ぜた。
Aこれを2〜6℃に冷却後ザルツマン試薬2mlを加えさらに冷却しながら30分間反応させた。亜硝酸イオンが存在していれば、カップリング反応によってアゾ染料が発生して赤く発色する。
Bカプセルを室温に戻して波長545nmの吸光度を測定し亜硝酸ナトリウムによる検量線に照らして濃度を求めた。NOの分析では、1%アスコルビン酸溶液0.2mlを加えて、残ったPTIOの色を消した。
C求めた値は諏訪保健所発表の連続観測の値を元に補正した。
NO2濃度(ppm)=検量線から求めた値(NO2μg/ml)×56/捕集時間(分)
NO濃度(ppm)=〔{検量線から求めたNOxの値(NO2μg/ml)}-{検量線から求めたNO2の値(NO2μg/ml)}〕×60/捕集時間(分)
*56と60は換算係数(文献より)
参考文献
(1)たとえば塚田清隆氏ホームページ、http://www.oct-net.ne.jp/~kankyo/